一話
チーム72
「黒いアーマーデバイスの調査?」
「ええ、あれを野放しにしておくわけにはいかないの、危険すぎるからね、だからうちの支部がアレの調査をする事になった、具体的にはどこで作られているのかを探る、これが今回のうちの支部全体に与えられた任務よ」
「支部全体って、大掛かりな任務だな」
「それほど黒いアーマーデバイスが脅威だと、本部も判断しているのだろう」
黒いアーマーデバイス、手に入れたかけらを技術部が調査した所、誰でも使えると判明し、ワールドセイバーはその危険度をSランクに設定した、もし大量に犯罪組織に渡った場合、大量の暴走した黒いアーマーデバイサーが町で暴れるだろう、変身した明日奈と愛理すら苦戦する黒いアーマーデバイサーは明確な脅威である、その為ワールドセイバーは黒いアーマーデバイスの危険度をSランクに設定し、地球支部全体に調査任務を与えたのだ。
「これまで私達が受けていた任務はどうなるのですか?」
「通常任務もこれまで通り遂行するわ、支部のエージェント全員が怪しい場所に乗り込む訳じゃないからね、と言うわけでラバルとミーヤ、任務に行って来なさい」
「はいはい」
「了解」
明日奈に任務を与えられたラバルとミーヤのコンビは敬礼すると転移して行った。
「あの先輩?、さっきから魔力の出力を上げたり下げたりしてますけど、何してるんです?」
二人を見送ったセシリアは先程から感じていた愛理がやっている事の意味を聞く。
「魔力操作の練習だよー」
「・・・、意味あるんですか?」
「あるよー、精霊二体召喚出来るようになるよー」
「へー、二体召喚・・・、って、二体召喚!?、それって凄い事ですよ!?」
「だねー、むずかしーもん」
セシリアが驚く程に二体召喚は高難易度である、愛理も白花との前回の修行を終えた後、魔力操作の練習を常に行っているが、まだまだ出来そうにない。
「そりゃ難しいですよ・・・、それで出来そうなんですか?」
「分かんない・・・、でも絶対に半年以内に出来るようになってみせるさ」
セシリアも愛理の真似をして魔力操作の練習をしていると明日奈が二人の肩を叩く。
「そろそろ休みなさい、急いで鍛えても意味がない事が多いの、ゆっくりやりましょう」
「・・・、うん」
愛理は魔力操作の練習をやめて、筋トレをしようとする、すると明日奈にポコンと頭頂部を叩かれた。
「痛い・・・」
「休みなさいと言ったでしょうが」
明日奈に頭頂部を叩かれる事で愛理は自分は焦っているのだと実感する、そして焦る原因は前回の任務の際の敗北が原因でもあるだろう。
俯く孫娘を見た明日奈は孫娘に近付くと抱き締める、過去何度もそうして来たように。
「私、もう子供じゃない」
「ふふふ、そうかしらぁ?」
明日奈に抱き締められプーと頬を膨らませる愛理、明日奈はそれを見てクスリと笑い更に強く抱き締める、更に強く抱き締められた愛理は後輩であるセシリアに見られていると自覚し頬を赤く染める。
「お婆ちゃん、もうやめて、セシリアが見てる」
「いやよー、可愛い孫をもっと抱きしめるのー」
愛理が離して欲しいと言っても明日奈は離さない、愛理は抱き締められる体勢から顔を動かしセシリアを見ると彼女はニマニマしていた、セシリアのそんな表情を見て更に顔を赤くした愛理は更に強くもがき明日奈の拘束から抜け出した。
ようやく抜け出せて尻尾と耳の毛を逆立て肩で息する愛理と、まだまだ抱き締め足りないと徐々に愛理に迫って行く明日奈、そんな二人を遮ったのは、明日奈の端末のアラームだった。
「はいはい、なんでしょう?」
明日奈は愛理と戯れるのをやめ、仕方なしに通話に出る、そして暫く話した後、呼び出されちゃったわ、と二人に伝えると部屋から出て行った。
「相変わらず、嵐のような人ですね」
「ふふ、そうだね」
???
どこかの世界に存在する工房、不気味な雰囲気が漂うこの工房で、黒いアーマーデバイスが生み出されて行く。
「どうだ?、何機製造できた?」
「五機です」
「遅い、最低でも十機製造しろ」
「わ、分かりました」
工房に黒いアーマーデバイスを製造させている男は、彼の拠点に転移する、そして転移したその足で倉庫に入る、そこには・・・。
三十機ほどの黒いアーマーデバイスが保存されていた。
 




