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金色の九尾lll  作者: ブレイブ
第二部一章、愛理とワールドセイバー
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十三話

王城


協力者の男と後で城の外で落ち合うと先に決めあった愛理とセシリアは、辺りに人の声が聞こえなくなるまで箱の中に隠れていた。


(人の声が聞こえない、もう出ても大丈夫かな)


愛理は人の声が聞こえなくなったと判断できた時点で箱の中から出る、セシリアも愛理が外に出た音を聞いて箱の中から出て来る。


「さてどうします?」


「二人は捕まってるなら牢屋に居るさ、そして牢屋は大抵地下にある、あの城の地下に向かおう」


「了解です」


二人は馬車から降りて、まずは食料庫の入り口近くの壁に張り付き外の様子を伺う、愛理の視線の先の王城の中庭には数人の槍を持った兵士が歩いている。


「うーん、・・・走ろっか」


「先輩らしい作戦です、まぁ良いですけど」


二人は身を低くすると兵士が周囲に見えなくなった隙を突き、足音を立てないように全力疾走をする、幸い外はもう暗いので全力で駆け抜ければバレなかった。


「はぁー、行けたぁ」


「ですねぇ」


中庭を走り抜けた二人は息を整えてから静かに下に降りる為の階段を探して王城の中を歩く、すると兵士が一人こちらに歩いて来る、愛理は相手が一人である事を幸いとして、スッと彼の後ろに回り込み喋れないように口を押さえ拘束し、近くの部屋に連れ込んだ。


「な、何者だ!?」


「こう言う者だよ」


「!」


何者だと聞いてくる男に愛理はワールドセイバーの紋章を見せる、すると男はすぐに黙った。


「私達が聞きたい事は一つです、この城に捕らえられている人が居るはず、その人はどこに居ますか?」


「地下だ」


「そう、情報提供ありがとう」


仲間二人は地下にいると兵士から聞いた愛理は男に手錠をかけて地球支部に送った、そして部屋から出ると再び地下に向かう階段を探して通路を歩く。



牢屋


「ヘマしちまったなぁ、ミーヤ」


「そうね、ラバル、部長絶対に怒ってるわ・・・、どうしよう・・・」


ラバルとミーヤが捕まった理由、それは黒いアーマーデバイスを確認し回収しようと触れた瞬間、黒いアーマーデバイスは突然力を発した、二人はその力により吹き飛ばされ頭を打ち気絶したのだ、その後兵士達に見つかった二人は拘束され、現在に至る。


「・・・」


「「部長!?」」


「しー!です、先輩方!、確かに部長と愛理先輩はそっくりですけど、間違えないであげて下さい」


明日奈に怒られると不安に思っていた二人は、ヌッと現れた愛理の顔を見て明日奈だと思い驚く、それを見ていたセシリアが目の前にいるのは愛理だと伝えた。


「はー、なんだ久城か・・・」


「なら安心ね・・・」


怒った明日奈は怖い、彼女の部下である二人は勿論それを知っている為、今怒られる事はなさそうだと、ホッと安心する。


「ふふふ、それじゃ出してあげるね?、ラバル先輩、ミーヤ先輩」


愛理はエクスカリバーを引き抜くと、牢屋のドアを斬り裂き二人を自由の身にした、自由の身となった二人はフラフラと牢屋から出て来る。


「酷い怪我ですね・・・、大丈夫ですか?」


ラバルとミーヤは拷問されたのか酷い怪我をしている、それを見たセシリアは心配する。


「大丈夫だ、久城、頼むわ」


「はいはーい」


ラバルに頼まれた愛理はセラピーを召喚し、召喚されたセラピーは早速治療を始めた。


「それで?、先輩、任務はどうするの?」


「やるさ、でも俺達には捕まった時に武器を奪われてな、得物がない、だからお前達が引き継いでくれ」


「分かりました」


「黒いアーマーデバイスはこの城の四階にあるわ、触れたら弾かれて私達みたいになるだろうし、もう壊しちゃいなさい」


「分かった」


「それじゃあ、部長に怒られて来るわ、また後で会おうぜ」


セラピーに怪我を治してもらったラバルとミーヤは転移し地球支部に帰って行った、帰った二人はこれからたっぷりと明日奈に怒られるだろう、愛理は二人に同情しつつ、セシリアと共に四階に向かう。



四階


禍々しい魔力を感じる城の四階、二人は嫌な魔力に気分が悪くなりつつもその根源に向かう、するとそこには数人の男達が集まり、その中心には黒いアーマーデバイス、そして一人の少年が黒いアーマーデバイスに触れようとしていた。


「駄目!、それに触れちゃ!」


黒いアーマーデバイスに触れ、適合者だった場合どうなるかを知っている愛理は少年を止めようとするが遅かった、少年の体は黒いボディスーツに包まれその手には剣が持たれている。


「何者かは分からんが侵入者だ、殺せ」


少年の近くにいた男は少年に愛理達を殺せと命令したが、次の瞬間下半身がなくなったように感じ、地面に落ち絶命した。


「ひっ、ヒィィ!」


少年の周囲にいた男達はそれを見て逃げようとするが一人残らず、少年の刃に捉えられ絶命する、最早少年は目に入った者を殺す殺戮マシーンだ、意識を失いまではもう止まらない。


「このままじゃ彼にこの国が滅ぼされる・・・、止めるよ!セシリア!、スピリットフォーム!、モード精霊王!」


「はい!」


愛理は殺戮マシーンと化した少年を止める為に、スピリットフォームモード精霊王に変身し、セシリアと共に向かって行く。



「ハハハ!」


少年は向かって来る愛理とセシリアに手を向け手からビームを放つ、愛理はそれを見てセシリアを抱き抱えて躱し、ビームが放たれた先を見る。


「くっ!」


二人が躱したビームは王城の壁を突き抜けその先の城下町まで破壊していた、破壊された場所から火が付き城下町は燃え始めている。


「この!」


セシリアは彼の死角に入り込み、彼の頭目掛けて渾身の一撃を加える、しかし・・・。


「なっ!?」


セシリアの攻撃は全く効いておらず、少年は全く怪我をしていなかった、そして少年は自分の攻撃が通じず驚くセシリアに向けて剣を振り下ろす。


「セェイ!」


その剣を愛理が受け止めた。


「攻撃が通じなかったくらいでパニックになるな!、死ぬぞ!、動け!」


愛理は少年の攻撃を受け止めつつセシリアに動けと言う、その言葉を聞き我に返ったセシリアは後退し、それを見た愛理も少年の剣を押し返すと一旦下がる。


「やれる?」


「大丈夫です」


「良し」


下がった愛理はセシリアに話しかけ戦えるかどうか聞く、セシリアはしっかりと愛理の瞳を見て大丈夫だと頷き、それを聞いた愛理はセシリアの肩を叩き、再び少年を見据える。


「行くよ!」


「はい!」


二人は再び少年に向けて走り出す、先に少年に取り付いたのはセシリアだった。


「セシリア!、体力なんて考えるな!、全力の一撃を撃て!」


「はい!」


愛理の言葉を聞いたセシリアは全力で身体強化を使い、少年に攻撃を放つ、その一撃を受け止めた少年の足が浮いた。


「良いよ!」


愛理は足が浮いた少年に全力の斬撃を放つ、愛理の剣は少年の胴体を捉えた。


「!!」


少年の胴体には、大きな切り傷が出来た、しかし黒いアーマーデバイスの機能か、一瞬で修復されてしまう、そして少年は全身から光線を放った。


「くっ!、やめろ!」


少年の光線は城をどんどん破壊して行き、街も破壊して行く、広がって行く被害を見た愛理は光線を止めるべく、少年に一気に接近する。


「ハァ!」


少年は近付いてくる愛理を見て光線を止め、愛理に剣を振るう、愛理はその攻撃を潜り抜け下から斬撃を放った、少年はその斬撃に反応し、攻撃を受け止めると愛理の顔を殴り蹴り飛ばした。


「くぅぅ!」


一先ず遠くに行った愛理をターゲットから外し、少年は近くのセシリアを狙う、一瞬で彼女に迫ると立ち上がろうとしている愛理に向けて放り投げた。


「セシリア!」


愛理は飛んで来るセシリアを受け止めた、そして彼女の無事を確認すると、セシリアは気絶していた、放り投げられた時に意識を失ったのだろう。


「よく頑張ったね、セシリア、後は私に任せて」


愛理は眠るセシリアの頬を撫でてから、彼女をシールドで守り、剣を構える。


「エクスブレイカー」


静かに技を発動させる愛理、その間にも少年は愛理に迫っていた。


「はぁぁ!」


そして少年の剣の切っ先が首にもう少しで触れると言う所で愛理は、頭を下げて剣を躱し、エクスブレイカーを少年に当てた、エクスブレイカーを喰らった少年は地面に倒れ意識を失う、少年と分離した黒いアーマーデバイスが地面に転がる。


「これが壊れていない、黒いアーマーデバイス」


愛理は黒いアーマーデバイスに触れようとする、しかし・・・。


「消えた!?」


黒いアーマーデバイスは愛理の目の前から消えた、驚く愛理はどこに消えたのかと周囲を見渡すが見つからず、黒いアーマーデバイスに逃げられたと落ち込む愛理は、セシリアの意識が戻るのを待ってから、少年を抱き地球支部に一度戻り病院に少年を任せた後、協力者の男の元に向かった。




「ククク、お前達にこれを渡すわけにはいかん」


愛理の目の前から消えた黒いアーマーデバイスを持つ、何者かは怪しく笑った後、消えた。




チーム72


協力者の男にワールドセイバーからの報酬を渡した愛理はチーム72に戻って来た、ワールドセイバーの端末に入って来る情報によるとリリミザ国に別のエージェントが向かっており王への事情聴取を行うようだ、黒いアーマーデバイスをどこから手に入れたのか聞くつもりなのだろう。


「・・・」


愛理が部屋に入ると助けた二人が正座をしていた、恐らく明日奈に怒られた結果、反省してなさいと、正座をさせられているのだろう。


「お帰りなさいです」


「ただいま」


愛理は出迎えてくれた相棒に笑いかけつつ、今回の任務の報告書の作成に取り掛かった。

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