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金色の九尾lll  作者: ブレイブ
第二部一章、愛理とワールドセイバー
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十一話

アイリス社


二日後の夕食の時間、この日の勤務を終えている愛理とセシリアは早速行動を始めた、まずは夕食に向かわず警備を行なっている警備員達を避けて、監視カメラが無いビルの裏口から本社の中に入り込む、次に本社の構造図から場所を完全に把握している資料室に二人は向かう。


「ここからの警備員達の動きは知らない、気を付けて行くよ、セシリア」


「はい」


夕方の休憩時間は昼の休憩時間と同じく一時間だ、愛理とセシリアはその間に動きを把握出来ていない、本社内部の社員や警備員を避けつつ目的地の四階資料室に向かい、アイリス社と犯罪組織の関係を示す資料を見つけ出す必要がある。


愛理とセシリアがいるのは一階、愛理の狐の耳は二、三人の足音を捉えているが、それ以上いるかもしれない、その為二人は注意しながら物陰から出て一階を歩く。


「飯だ、飯!」


二人が身を屈めて通路を進み階段の側まで来ると、上から慌てた様子で降りて来る男の声と足音が聞こえて来た、先にその音を捉えていた愛理はセシリアに人が来るとジェスチャーすると、近くの音で誰もいないと判断できた部屋の中に入り避ける。


数秒待つとバタバタと工場側にへと足音が遠ざかって行った、二人は暫く待ってから部屋から出て二階に登る。




四階


二人はそのまま四階まで安全に登りきり四階に入った、しかしここには警備員が多い、やはり何者かが資料室に入り込むのを警戒して人員を置いているのだろう、そして人員が多い事により更にアイリス社への疑いが深まる。


「どう抜けるかですよぉ?、先輩」


「そうだね・・・」


壁に張り付き通路の先を伺う二人は警備員達を抜ける方法を考える、あまり派手な方法を使うと人が集まって来る可能性もあるため、静かな方法で彼等を出し抜く必要がある。


「先輩は妖狐なんだし、変化の術とか出来ないのですか?」


「ごめんそれ一番苦手・・・」


愛理は師である白花から変化術の授業も受けているが、まともに変身出来た試しがない、それに下手な妖狐の変化術はドロンと派手な音がなる為、変化術が苦手な愛理がこの局面で使うべきではない。


「うーむ、ダメですか、レオも召喚した時に派手に光るから駄目ですよね・・・、どうします?」


「うーん、あっあれ・・・」


悩む愛理が見た物、それはスプリンクラーだ、あれに水を発生させれば混乱した警備員達に隙が出来そうだ。


「よーし」


愛理は、スプリンクラーのセンサー部分を狙ってこれまた苦手な火の魔法を手に灯すとスプリンクラーの近くに放った、近くに火を感知したスプリンクラーは設定された機能通りに動き、水を撒き散らし始める。


「なんだ!?、なんだ!?」


愛理の思惑通り警備員達は混乱し右往左往する、二人はその間に駆け出し、資料室に入り込む。


「さぁて、外で騒いでるうちにお仕事、お仕事」


「帰りは転移するだけだから、楽ですね」


二人は帰りは寮の掃除用具室に転移する予定だ、この資料室にも本来は転移で入り込めたら良かったのだが、構造図には写真が記載されておらず、隠れて侵入する必要があった。


慌てる警備員達の声が聞こえる中、二人は資料を漁る、次々と保管されている資料を確認し、今回の任務の目的である犯罪組織とアイリス社の関係を記した資料を見つけ出すのだ。


「あった、主要取引先を記したファイル」


「本当ですね、でも大体は信頼出来る国家ばかり・・・」


愛理が見つけたファイルには犯罪組織の記載はなかった、それを見て愛理とセシリアはアイリス社は白だと判断する事にしようとしたが・・・?。


「ん?」


二人は同時に引き出しの奥に何か扉のようなものがあるのを見つける、二人は頷き合い、引き出しを抜き取ると、奥の扉に手を伸ばし開けた。


「真っ黒なファイルです・・・」


「あやしーね・・・」


二人はファイルを開き中を見てみる、すると中にはズラリと犯罪組織の名が記されていた、これは明確なアイリス社と犯罪組織の関係を示す証拠だ、二人は証拠として数ページだけ写真に撮り、ファイルを元に戻す、ここでファイルを持ち去る訳にはいかない、ファイルを奪った事がバレればアイリス社にスパイが入り込んでいた事がバレる、それは避けたい。


「任務完了、さっさと辞表出して、地球支部に帰ろっか」


「はーい」


任務を終えた二人は、まずは掃除用具室に転移し、それからアイリス社に辞表を提出し、地球に帰って行った。



地球支部


夜中に地球支部に戻って来た愛理とセシリアは、証拠の写真を明日奈に提出した、証拠の写真を受け取った明日奈は早速上層部に提出し、それを見た上層部はアイリス社の検挙を行った。


「ねっ?、お婆ちゃん、アイリス社はどうなるの?」


「あの会社がある、国が管理する形で国営企業になるようよ、彼等が作るビーム兵器の品質は非常に良いものだからね、潰す訳にはいかないのよ」


「ふぅん」


愛理はこれで犯罪組織に兵器が渡る事がなくなれば良いと考えるが、それはないとも思う、犯罪組織と関わりがあるのはアイリス社だけではないはず、それらを全部潰さなければ犯罪組織に武器は渡り続けるだろう。


「さっ、良い働きをしてくれたあなた達に何か美味しいものを食べさせてあげる、外に食べに行きましょうか?」


「はい!」


「うん!」


明日奈とセシリアは、美味しいものを奢ってくれると言う明日奈の言葉に喜び、喜んで先を行く明日奈に着いて行くのだった。

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