四話
犯罪組織本部
ワールドセイバー地球支部は複数のチームを投入して犯罪組織本部に攻め込んでいた、過去から実績のある明日奈有するチーム72は部隊の最前列に並んでいる。
「私達の役目は噂の兵器の確認と回収よ、良いわね?」
「うん」
「はい!」
明日奈より今回の作戦の役目を聞かされた愛理は、相棒であるセシリアと、チーム72のリーダーである明日奈と一緒に男達が言っていた兵器を探しながら、犯罪組織の本部を走る。
「はいっ!」
セシリアは彼女の武器であるハンマーを用いて迫る組織の構成員を殴り倒して行く、愛理は銃で足を狙い行動不能にし、明日奈は素手で殴って倒して行っている、愛理は明日奈に殴られた敵が壁にめり込んでいるのを見たが、見なかったことにする、多分死んでいない。
「撃て!、撃てぇ!」
圧倒的な強さを見せる愛理達を恐れた構成員達は、愛理達を倒す為に大型のガトリングガンを持ち出して来た、銃口から撃ち出される無数の弾が愛理達を襲う。
「当たらないでね!」
愛理は迫る弾を躱しながら前進しガトリングガンを衝波で殴り上げ破壊した、後方に控えていた明日奈とセシリアがガトリングガンを使って来た者達を纏めて倒す。
「装備が良いですねぇ」
「うん、ちょっと厄介だね」
今回はガトリングガンは一つだけだったが、流石にこれ以上の個数になって来ると、通常状態では無傷では済まないだろう。
「まぁ、複数使われたら、こっちは変身よ」
「だね」
変身すると言い合い頷き合う二人を見て、セシリアは少し不満そうにする、セシリアはまだ新人である為、アーマーデバイスなどの変身手段を持っていないのだ、そんなセシリアの今の目標は上層部に認めてもらい、アーマーデバイスを手に入れる事だ。
「いっぱい、いっぱい頑張りましょう、先輩に追いつく為にも」
地下三階
ワールドセイバーのエージェント達は次々と構成員達を倒して行き敵施設を抑えて行く、何人かは諦めて投降して来る者もおり、その場合は傷付けずにワールドセイバーの手錠をかける。
愛理達は地下三階、研究施設なような場所に来た、立ち並んでいるカプセルの中には何もいないが、中から何かが這い出た跡が残っている、恐らくワールドセイバーの突入を受けて組織は研究成果をここから連れ出したのだろう。
「中に何がいたのでしょうか?」
「さぁね、でも残っている跡を見るにまだ近くに居るはず、急いで追うよ」
「ええ」
この跡を残した者が、今回の目的である兵器の正体かもしれない、愛理達は兵器を取り逃がす前に急ぎ、更に進もうとするが・・・?。
「・・・っ!」
先にここに辿り着いていたと思われるエージェント達が血を流し倒れていた、明日奈が脈を測ってみるが感じない、死亡している。
そこで愛理と明日奈の耳がピクリと反応する、何かが迫る音を聞いたのだ、それを聞いた明日奈は左方向に大きく飛び、愛理はセシリアを押し倒し迫る者を躱した。
愛理達は迫って来た者の正体を見て驚く、彼はアーマーデバイスのような物を身に纏っていたのだ、しかしその色は黒く、装着者である少女には意識がないようだ。
「アーマーデバイス・・・」
「それも黒い・・・」
アーマーデバイスの製造はワールドセイバーでしか行われておらず、製造工場は厳重な監視が行われている為、盗み出す事は不可能である事はワールドセイバーのエージェント達の中での常識だ、その為少女が身に纏っているアーマーデバイスのような兵器は、別の組織が開発した物だと考えられる。
「ホワイトローズ、あれのサーチを」
恐らく少女との戦いは避けられない、明日奈は戦う前に情報を得る為、ホワイトローズに彼女の装備をサーチさせた。
「Yes、軽くサーチしてみた所、ワールドセイバーが保有するアーマーデバイス以上の性能だと確認、強敵です、注意して下さい」
「ありがと、・・・聞いたわね、手加減出来る相手じゃない、可哀想だけど無傷で倒そうとは思わないで」
「はい・・・」
いつまでも攻撃して来ない敵をこれ以上待つつもりがなくなったらしい少女は、身を低くしてから三人に向けて飛びかかって来た。
「スピリットフォーム!、レオ!」
少女の攻撃は愛理が受け止める、しかしレオモードでも力負けし、ズルズルと靴が地面を滑り後退して行く。
「先輩のレオモードよりもパワーがある・・・、でも!、背中が隙だらけですよ!」
セシリアが少女の背中を取りハンマーを振り上げ攻撃しようとするが、少女は愛理を押し込みつつ、足を後ろに振り上げ蹴りを放って来た、セシリアは何とか少女の蹴りをハンマーで受け止める。
「・・・」
少女は愛理とセシリアを振り払い、光弾を放って来た、振り払われた二人は躱せず攻撃を喰らってしまう。
「二人とも!、やるわね!」
今度はプラチナモードに変身した明日奈が、少女と打ち合う、しかし明日奈の素早い攻撃も少女は簡単に追い付き、徐々に明日奈を上回る剣術を見せると、明日奈の胴体を斬り裂いた。
「カハッ!?」
胴体を斬られた明日奈は血を吐き片膝を着く、少女は片膝を着く明日奈を無表情のまま斬り捨てようとする。
「させない!」
パワーにはパワー、スピリットフォーム、タウロスに変身した愛理は、大幅に向上した筋力を活かした斬撃で、明日奈を斬ろうとする少女を無理矢理に吹っ飛ばした。
「大丈夫!?、お婆ちゃん」
「何とかね・・・、でもこの傷じゃ長くは戦えない、一気に終わらせるわよ」
「はい!」
すぐに立ち上がっていた少女に愛理とセシリアが同時に斬りかかる、少女は余裕で二人の武器を受け止めたが、愛理とセシリアは更に力を込めて少女の剣を弾いた。
「ごめんね・・・、プラチナストライク!」
大きく体勢を崩した少女の腹に明日奈がプラチナストライクを叩き込んだ、腹に強い攻撃を受けた少女は意識を保ち切れずにフラリと倒れる、同時に変身も解除された。
「これがこの子を変身させてたんだ・・・」
愛理は少女を変身させていた、丸い水晶玉を手に取る、しかし愛理が手に取った瞬間、弾は真っ二つに割れた、どうやら今の戦闘でダメージを喰らいすぎて崩壊したようだ。
「壊れちゃった・・・」
「一応提出しましょう、何か分かるかもしれないし、それとこの子も連れて帰るわよ」
「はい・・・」
二つに割れてしまったが、兵器の回収に成功し、目的を果たした愛理達は、愛理が少女を背負い犯罪組織の本部を後にした。
「・・・、ふん意識を保っていない装着車ではあんなものか」
モニター室のような部屋で一人の男が今の戦闘を見守ったいた、その背後には倉庫で話をしていた男達の死体が横たわっている。
「さて、あのお方に報告をせねば」
男は彼の主人に報告をする為モニター室を後にし、どこかに転移して行った。




