表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
金色の九尾lll  作者: ブレイブ
第一部、一章冒険の始まりと三尾
14/422

十一話

クーラの町


愛理達は町に出た、町は既に飛空艇の砲撃による攻撃に焼かれている、人々は燃え盛る炎から逃げ惑い、町の西側に向けて一斉に走って行く、西側に川があるのでそこに逃げて火を避けるつもりなのだろう。


「早くやめさせないと!」


まずはこれ以上町に被害が出る前に飛空艇の攻撃を止める必要がある、それが出来るのは変身すれば空を飛ぶ事が出来る明日奈だ。


「任せなさい、船を叩き落としてくるわ!ホワイトローズ!プラチナモード!」


『Yes、プラチナモード』


明日奈はプラチナモードに変身すると、空を飛び飛空艇に向かって行った。


「私達はあいつらの相手だね」


「はい」


町の南側からは黒尽くめの集団が近づいて来ており、この町の軍の駐留部隊と睨み合っている、後数秒で戦闘が始まる筈だ。


愛理とラフォリアは彼等と協力し、西側に逃げた町の市民を守る、これが今回の二人の仕事だ。


「行くよ!ラフォリア!」


「はい!」


明日奈とラフォリアは戦闘に参加する為に噴水広場の脇を通り、町の南側に向かう。



クーラの町、南


明日奈とラフォリアが走っている間に戦闘が始まった、黒尽くめの集団が100人程、兵士が50人ほど、明らかにこちらの戦力が劣っている。


「イフリート、足りない分の戦力になるよ!行って!」


愛理の命を受けたイフリートは屋根の上に登ると、黒尽くめの集団の真ん中に降り立ち一気に五人ほどの敵を薙ぎ払った、イフリートに薙ぎ払われた敵は周囲の家に激突し気絶する。


「頼りになりますね」


「うん」


愛理とラフォリアは敵の中心で活躍するイフリートを賞賛する、そして愛理とラフォリアの目の前に黒尽くめの男が二人現れる。


「ふん、小娘共が、死にに来たか!」


二人のうちの一人が愛理達に向けて迫る、それを見た愛理は剣を引き抜き、彼の剣を受け止めた。


「死ねぇ!」


そこでもう一人の男が愛理の真横から斬り掛かって来る、それを見たラフォリアはもう一人の男の剣を受け止め愛理を庇う、ラフォリアはそのままもう一人の男と戦闘を始めた。


「っ!くっ!」


力で押し込まれて行く愛理はこのままでは押し負けると判断し、剣を逸らした、逸らされた男はバランスを崩したたらを踏む。


「セェイ!」


愛理はバランスを崩した彼の後ろから斬りかかるが、もう少しで剣が当たると言う所で剣を止めてしまった。


(くっ!覚悟したのに!)


「ふっはは!敵に剣を振れないとはな!馬鹿め!」


男は自分を斬れない愛理を笑い、下から剣を振り上げた、愛理はなんとか剣を受け止めた。


「くっ!」


「このまま押し込んでやろう!」


男は再び愛理を押し込んで来る、愛理は再び剣を逸らし、男のバランスを崩させようとしたが、今度は読まれており左腕を掴まれてしまった。


「何度も同じ手を喰うか!」


愛理の手を掴んだ男は剣を振り上げ振り下ろす。


「くっ!」


このままでは殺されると判断した愛理の体が勝手に動く、男の剣が振り下ろされる前に男の肩を突き刺したのだ、刺された痛みにより怯んだ男は振り下ろすのをやめ、愛理に付けられた傷口を抑え後ずさる。


(・・・私)


愛理は相手を刺した自分の手を見る、その手は震えていた。


「よくもやってくれたな!クソガキ!」


「ッ!」


肩を刺された痛みに怒る男は剣を振り上げ愛理に迫る、愛理は男の剣を体を逸らして剣を躱し、男の手首を斬り付けた、手首を斬られた男は剣を取り落す。


「セェイ!」


次に愛理は男の顎を蹴り上げた、顔を蹴り上げられた事で脳が揺れた男は意識を失い倒れた。


「はぁはぁ・・・」


(出来た・・・出来ちゃうんだ、私・・・)


愛理は人を斬ることが出来てしまった自分を恐ろしく感じ、再び震える手を見る、そうしているうちにまた一人の黒尽くめの男が愛理に迫る。


「オラァ!」


「セェイ!」


愛理は男の横振りの一撃をしゃがんで躱し、低い体勢のまま男の足を剣で突き刺した、足を刺された男はバランスを崩し地面に手を着く。


(みんなを守る為なんだ!やるしかない!)


今度こそ覚悟を決めた愛理は、立ち上がりかけた男の顔を回し蹴りで蹴り飛ばした、愛理の回し蹴りを喰らった男はフラリと倒れ気絶する。


「ふぅ・・・」


二人目を倒した愛理は、一度息を整え、周囲を伺い、次に迫る敵と相対する。



「・・・」


明日奈は屋根の上から愛理の様子を見ていた、明日奈は予測していたのだ、言葉だけの覚悟では愛理は人を斬る事が出来ないだろうと、斬れるとしたら自身の命の危機に瀕した時だ。


そして命の危機となっても斬れない場合は、愛理を守り、次にまたこのような人同士の戦いとなった時、二度と愛理を人同士の戦闘に参加させないつもりだったが、その心配はもうせずに済みそうだ。


「プラチナローズ、行くわよ」


『Yes』


覚悟を決めた愛理なら自分の命は自分で守れると判断した明日奈は、空を飛び、飛空艇に迫る。





愛理がまだ覚悟が出来ていないのではないかと考えていたラフォリアは、一度追い込まれた愛理を見て駆け寄ろうとしたが、すぐに逆転したのを見て、自分の敵に集中する。


リーチの長い槍で男を牽制し、男の剣が自身に当たらないように距離を保ちながら、ラフォリアは相手の隙を伺う。


「いい加減俺に殺されやがれ!」


中々殺せない事にイラついた大振りの攻撃、ラフォリアは余裕で躱し、男の懐に飛び込んだラフォリアは背に構える槍の先端に付いた刃で男の胸を刺し貫いた。


「グハッ!?」


「あなた達、全員がお父様とお母様の仇、容赦はしません」


血を吐く男に冷たい視線を送るラフォリアは槍を引き抜く、ラフォリアの肩にもたれ掛かる事でなんとか立つ事が出来ていた男は支えを失い倒れ絶命した。


「さぁ・・・次」


憎しみの篭った瞳で黒尽くめの集団を見据えるラフォリアは、槍を背に構え、次の敵に向けて駆ける。



「ハッ!」


憎しみに心を染めたラフォリアは、次々と黒尽くめの集団の命を奪い去って行く、しかし怒りに任せた戦いでは注意が散漫となる、また男を刺し殺したラフォリアは後ろから迫る男に気付いていなかった。


「ラフォリア!」


愛理の声を聞きラフォリアは振り返る、振り返った先で見た光景は、自分とは全く違う、ラフォリアにとっては甘いとしか言えない愛理の戦いだった。


愛理は男の腹を斬り付け怯ませると、もう一度今度は腹を蹴り痛みにより気絶させた、男が気絶したと判断した愛理は振り返り、ラフォリアに笑いかける。


「危なかったね?大丈夫?」


「はい、ありがとうございます」


愛理の笑顔、自分から見れば甘いとしか言えない行動をする彼女の笑顔を見たラフォリアは、黒の空賊団を憎む気持ちが薄れるのを感じた、それほど愛理の笑顔は彼女にとって眩しく見えた。


(でも、こんな事で私の復讐は止まらない、絶対に私はあの男を殺します)


ラフォリアは愛理の笑顔を見て薄らいだ憎しみの炎を再び滾らせ、愛理に背を向ける。


「ラフォリア?」


そんな彼女を見て、何か冷たい物を感じた愛理は心配そうにラフォリアに声をかける。


「愛理、あそこ見えますか?、あの男が恐らくは、この地上部隊の指揮官です、アレを潰せばこの戦いは終わる、そう思いませんか?」


ラフォリアが指差す先、そこには黒尽くめの衣装に赤いラインが入った服を着る男がいた、その姿を見た愛理は確かに他の者とは服装が違うあの男が、指揮官かもしれない、あいつを倒せば戦闘を終わらせる事が出来るかもしれないと考えた。


「思う」


「なら、あの男を倒すのを手伝って下さい」


「良いよ、やろう」


赤いラインの男を倒そうとのラフォリアの提案を受けた愛理は、ラフォリアの隣に立ち拳を突き出す。


「これは?」


それを見たラフォリアは首を傾げ、突き出された拳の意味を聞く。


「約束、必ず生きて帰ろうってね、私とあなたの約束を拳と拳を合わせて、あなたと私で約束するの」


「なるほど、分かりました」


愛理の言葉を聞いたラフォリアは愛理の拳に自分の拳を合わせる、これで愛理とラフォリアは約束をした、必ず生きて帰るとの約束を。


「さぁ、行くよ!ラフォリア!」


「ええ!愛理!」


金色の髪を持った妖狐の少女愛理と、白色の髪を持った少女ラフォリアは、赤いラインが入った服を着る、男に向けて戦場を駆ける。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ