十三話
フォックステイル本拠地、明日奈の部屋
目を覚ますと明日奈はいなかった、愛理は身を起こすとホワイトローズがお腹の上で眠っている。
「起きて?、ホワイトローズ」
「うーん?、あぁ、おはようございます、愛理」
「おはよ」
愛理の声を聞いて目を覚ましたホワイトローズは愛理の顔に向けて飛んで行くと、頬を合わせる。
「仲良いわね」
ホワイトローズと触れ合っていると明日奈の声がした、愛理が声がした方を向くと、明日奈がドアにもたれ掛かりこちらを見ていた。
「おはよう、お婆ちゃん」
「おはよう」
明日奈の姿を見た愛理は彼女に朝の挨拶をし、明日奈も孫娘に挨拶を返した、孫娘との挨拶を交わした明日奈はベッドに座り、愛理は自身の尻尾を祖母の尻尾と合わせる。
「愛理、今日は特にやる事ないだろうし、ワールドセイバーのエージェントとして持っておかなきゃならない物を買いに行きましょうか」
「なぁに?それ?」
「行ってみれば分かるわ、さっ朝ごはん作ったから食べましょう」
「うん」
愛理は必要な物とはなんだろう?と思いながら、朝食を食べに一階に降りた。
魔導銃ショップ
ワールドセイバーのエージェントとして持っておかなければならない物、それは魔導銃だった、潜入捜査の際などに小回りの効く銃は間違いなく必要であり、そして魔導銃なら自身の魔力を使う為弾数も多い、その為ワールドセイバーのエージェントが選ぶ銃は基本的に魔導銃だ。
「銃なんて分からないなぁ」
「私もです・・・」
ワールドセイバーのエージェントとして必要な物を買うと聞いてラフォリアも一緒に外に出ていた、そして愛理もラフォリアも銃については良く分からないようだ。
「まぁ一番良い物はどれか聞けば良いのよ、私が買ってあげるから好きなのを選びなさい」
(・・・、お婆ちゃんが持ってるお金って、私達が稼いだお金なんじゃ?)
愛理が明日奈の財布の中身の出自を疑っていると明日奈は店主に一番良い銃はどれか聞いていた、そして店主が指差す場所に、愛理とラフォリアを連れて行く。
「いっぱいあるんだねぇ・・・」
店主のオススメ銃コーナーに来た愛理達は沢山並ぶ銃を見上げる、ここにある銃はコルトガバメントやS&WM39やベレッタ92FSなど、地球銃に似たものが多い、地球の銃に似た銃が多い理由は魔導銃は地球から異世界に転生した者がデザインや開発を担当している事が多いからだ。
「この世界製だから厳密に言うと別物だけど、私が使ってたのはこれね」
明日奈は沢山ある銃の中から、かつて使っていたベレッタ92FS型の銃を手に取り、愛理に渡す。
「軽いんだね」
「まぁね」
愛理は受け取った銃を構え、意外に軽いと言う感想を受けた、これなら戦闘中に左手に構えても違和感はなさそうだ。
「最高威力はコレみたいですね」
ラフォリアが手に取ったのはデザートイーグル型の魔法銃、重厚な銀色をしており、確かに強そうだ。
「でも威力が強すぎて魔力が高い人が使うと腕が吹っ飛ぶかもって書いてあるよ?、それならこれが良いかなぁ」
愛理は威力が高く、重量も軽いFNファイブセブン型の魔導銃を手に取った、そして構える。
「どう?」
明日奈がベレッタ92FS型の銃を選んだ理由は手に馴染んだからだ、その為愛理に彼女が選んだファイブセブン型が手に馴染むか聞く。
「良い感じ、試し撃ちって出来るのかな?」
「出来るみたいですよ?、ほら試射コーナーがあります」
「良し、試してみよう」
ファイブセブン型が手に馴染むと感じた愛理は今度は試射してみたいと思った、幸いここには試射コーナーがあるようなので、ラフォリアが見つけたそこに行き、魔導銃を構える。
「行くよー」
魔導銃は魔力を流し、スライドを引く魔導弾が装填される、愛理はそのセオリー通りに魔力を流しスライドを引くと、的を狙い撃つ。
「あらまぁ、上手」
愛理が放った弾は正確に的の中心を撃ち抜いていた、愛理の魔力の純度が高い為か、弾の威力も高く、的の先の壁が少し傷付いている。
「良い感じ、気に入った」
「ふふっ、ならそれにする?」
「うん!」
愛理が買うと決めた銃はFNファイブセブン型の魔導銃、愛理は明日奈と共にカウンターに向かい、サブウェポンとなる新しい武器を手に入れた。
ソリビカ王都
腰にホルスターを付け、その中にファイブセブン型の銃を入れた愛理はご機嫌な様子で街を歩く。
「強盗だ!、捕まえてくれ!」
新しい銃を手に入れた時にちょうど良いと言うかなんと言うか、強盗事件が起こったようだ、宝石店から宝石を盗み、店から飛び出して来た男は愛理達の隣を通り過ぎて行く。
「愛理、彼を止めなさい」
「了解です、リーダー!」
「まだそれやるのね・・・あんた・・・」
「リーダーってなんです?」
愛理は走って行く男の走って体が揺れる度に宝石が見え隠れする鞄の紐に狙いを付けると、撃った、愛理が撃った弾は紐を貫き、紐を失い男から離れた鞄は地面を滑る。
「犯罪は駄目ですよ!」
(み、耳に痛い・・・)
ラフォリアは男に詰め寄ると、男を背負い投げ気絶させた。
「ありがとう!、恩にきるよ!」
駆け寄って来た宝石店の店主は愛理達に感謝する、そしてすぐに兵士達が集まって来て、泥棒な男はお縄となった。
「さっ、帰りましょうか」
「うん」
男が城に連れて行かれる様子を見送った後、愛理達はフォックステイル本拠地に帰って行った。




