十一話
ミーナ島、遺跡
明日奈とベルガの剣がぶつかり合い激しい金属音が遺跡内部に響く。
「プラチナソード!」
「バーニングソード!」
ベルガは逃げ回りながら明日奈と戦う、距離を詰められ明日奈の斬撃が迫ると全力で魔力を張り巡らせた斬撃で攻撃を受け流し、また逃げる。
「逃げの戦法ってやつはやっぱり厄介ね!」
ベルガの戦法に焦れた明日奈は天井が低い遺跡内で羽を広げベルガの前に回ると剣を振るう。
「まだまだだぁ!」
ベルガは炎の壁で明日奈の斬撃をうけながすと、また逃げる。
「やるわね、あいつ」
『Yes』
明日奈はプラチナローズをガンモードに変えると、逃げるベルガを追いかける。
遺跡最奥地
ローズクイーンモードに変身したラベンダは愛理に向けて鞭を振るう。
「レオ、行くよ!、スピリットフォーム!」
『おう!』
愛理はレオと合体し、スピリットフォームレオとなる、そして迫る鞭を斬り落とす。
(斬れた?、こんな簡単に?)
たった一撃で斬れた鞭を不審に思っていると、突然無数のイバラが斬り落とした鞭から現れ、愛理に迫る。
「くっ!?、縮地!」
愛理は迫るイバラを剣で斬り落としながら、縮地を使い後ろに後退する。
「ふふふ、私のクイーンの能力はこうして無数のイバラを鞭本体から伸ばす事、そしてクイーンを斬り落とせば斬り落とすほど、イバラは増えるのよ!」
ラベンダは斬り落とす度に伸びるクイーンを何度も斬り落とし、斬り落とした部分を辺りに放り投げて散乱させた。
「囲まれた・・・」
今は攻撃は来ていない、しかし確かにラベンダのクイーンに愛理は囲まれている、その為周囲を警戒する。
「さぁ行きなさい!、我がイバラたち!」
ラベンダの命令通り、イバラは四方八方から愛理に迫る、愛理は迫るイバラを次々と躱して行く。
「ほらほら?、どうする?、これじゃジリ貧よぉ?」
「そうでもないさ!」
迫るイバラの隙間を見つけた愛理は、縮地を使い隙間を通りラベンダに迫る、ラベンダは後ろに下がりながら、愛理に鞭を振るう。
「遅い!」
愛理は更に縮地を使い、更に加速するとラベンダの懐に潜り、衝破を放つ、腹に衝破を喰らったラベンダの体はくの字に曲がり吹っ飛ぶ。
「相変わらず、厄介な小娘ねぇ!」
「それはどうも!」
大きなダメージを喰らったがまだまだ動けるラベンダは、再び愛理にイバラを放つ。
「スピリットフォーム、イフリート!」
再び囲まれるつもりはない愛理はスピリットフォーム、イフリートに変身すると、荒れ狂う炎でイバラを燃やし尽くした。
「炎でイバラを燃やし尽くしたか・・・、包囲攻撃は通じ難いって事ね、ならこれとかどうかしら!」
ラベンダはクイーンの先を地面に刺し込む、すると愛理の足元から鞭の先が現れる、愛理がそれを横に飛んで避けると、避けた先の地面からも鞭の先が現れる。
「今度は下からの攻撃って訳だ」
「そういう事よ!」
地面から伸びた鞭は愛理の足を掴むと、愛理を地面に叩きつける、斬り落とすとこの鞭は厄介だと理解している愛理は、手で足を掴む鞭を引き剥がすと走る。
「ホラホラホラ!」
走る愛理の足元に次々と鞭が突き出して来る、愛理は何とか左右にジグザグと移動して躱して行く。
(・・・、壁から水が漏れ出してる、なら!)
「スピリットフォーム!、アクエリアス!」
壁から漏れ出す水を見た愛理はスピリットフォーム、アクエリアスに変身する。
「おねーさんは、水って好きかなぁ!」
そして鞭が通る穴に大量の水を注ぎ込んだ。
「ッ!?」
愛理が放った水はラベンダが穴から鞭を引っ込める前にラベンダに迫り、ラベンダは穴から放出される水に怯まされた。
「蒼き人魚の撃鉄!」
愛理は怯むラベンダに蒼き人魚の撃鉄を放つ。
「くぅぅ!」
ラベンダは愛理の技をまともに喰らい、片膝をついた。
「チッ、潮時ね」
ラベンダはまだ愛理と戦おうとしたが、アーマーデバイサーの三人が後ろから入って来たのを見て、腰から煙玉を取り出すと地面に投げ囲まれるのを封じ、逃げ出した。
「逃げられた・・・」
煙が晴れるとラベンダは既にいなかった、そこにベルガに手痛い一撃を与え、撤退させた明日奈がやって来る。
「愛理?、まさか・・・」
「うん・・・」
「そう・・・」
明日奈は聖遺物を奪われたと落ち込む愛理の肩を叩き慰める、そして共に遺跡の外に出た。
遺跡前広場
落ち込む愛理と、明日奈は遺跡の外にいた、三人のアーマーデバイサー達は聖遺物が敵に奪われた事を先にソリビカ王に報告しに戻っている。
「落ち込まないでね?愛理、敵に奪われただけで無くなった訳じゃない、取り戻せば良いだけ、そうでしょう?」
「うん、そうだね、飛び戻せば良いだけ、だから落ち込むのはここまでにする!」
「ふふふ、その意気よ?、愛理」
明日奈の言葉を聞いて元気を取り戻した愛理は、突然すく側に現れた強力な闇の気を感じそちらを見る、明日奈も驚いた様子でそちらを見ている。
「く、ククク、凄い力だ、これは凄い力だぁ!、小娘!、貴様でこの力試させてもらうぞ!」
突然現れた闇の気の持ち主はアルファルドだった、力に溺れる彼は手に闇の力で作った剣を出現させると、愛理に向けて斬りかかって来る、愛理はスピリットフォームレオに変身しつつ応戦する。
「ホワイトローズ!、あれは!?」
「菜乃葉と言う少女と同じ力です!」
「そう・・・、プラチナモード行くわよ!」
「Yes!」
明日奈は愛理を援護する為、プラチナモードに変身しつつ、激しい斬り合いに突入している、二人の元に駆ける。
「くっ、強い・・・」
アルファルドの斬撃は隙がなく早くそして一撃一撃のインパクトが強い、常人より遥かに優れた身体能力を持つ愛理でも何とか腕が跳ね上がらないように収める事しか出来ない。
「セェイ!」
明日奈は愛理が押し切られ攻撃を喰らう前に二人の間に割って入り、アルファルドを無理矢理に弾き飛ばした。
「プラチナローズ!、レーヴァモード!」
『Yes!』
(あれはお婆ちゃんの最強の姿・・・、今のあいつはあれを出さなきゃいけないほどの相手って事なんだ・・・)
レーヴァモードに変身した明日奈にアルファルドが斬りかかって来る、明日奈はそれを力で押し返し、愛理と目を合わせる、愛理はそれを見て同時に攻撃を仕掛け、一気に仕留め切ろうと伝えているのだと理解する。
「煌めく黄金の!」
「レーヴァ!」
「獅子王剣!」
「ブラスター!」
二人の勇者は同時に今出せる最強の技を放つ、それを見たアルファルドは・・・。
「ハァァ!」
闇の剣でそれを打ち消した。
「ふん、半身を失ったか、流石は勇者と言った所だな」
二人の攻撃を喰らい、半身を失ったアルファルドは、二人を忌々しげに見つめた後、その場から消えた。
「二人目が現れるなんてね・・・」
「うん・・・、一人でも厄介なのに・・・」
愛理と明日奈は、二人目の闇の者の眷属が現れた事を報告する為、ソリビカ王都に戻って行った。




