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金色の九尾lll  作者: ブレイブ
五章、聖遺物を巡る戦いと九尾
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七話

フォックステイル本拠地


愛理がエクスカリバーの整備をしていると、事務所に備え付けられている、魔導通信機の呼び鈴が鳴った。


「フォックステイルの団長だな!?、例の女が現れた!、すぐに向かってくれ!」


愛理が電話を取るなり聞こえて来た声は菜乃葉が現れたとの報告、それを聞いた愛理は慌てて仲間達にそれを報告し、菜乃葉が現れた島へと向かった。




ササレ島


「あっはっは!、人間の魂ってのは、美味しいなぁ!」


菜乃葉は既にササレ島の複数の町を襲い、沢山の住民を殺しその魂を喰らっていた、その度に菜乃葉の力は増して行く。


「居たぞ!、各員、戦闘準備!」


魂を喰らい悦に浸る菜乃葉に相対するのは、自警団の者達だ、彼等は菜乃葉を囲み攻撃を開始した。


「ヒヒヒ!、痛くも痒くもねぇ!」


菜乃葉を囲む自警団員達は、次々と攻撃を仕掛けて行くが菜乃葉の体に傷は全く付いていない、その理由は彼等が聖属性の魔力を持たないからだ、その為菜乃葉に一切攻撃が通っていない。


「あはは!、死ねぇ!」


菜乃葉は黒い天使の羽を勢い良く広げ、無数の小羽を飛ばした、黒い羽は自警団員達の体に命中し、自警団員達は次々と倒れて行く。


「クッソォ!、攻撃を緩めるな!」


自警団のリーダーは継続して攻撃を仕掛けさせるが、やはり攻撃は通じず自警団員達はリーダーを残し全滅した。


「ヒヒヒ、自分の無能で仲間を失い全滅させた気分はどうだぁ?」


菜乃葉は絶望に染まった表情を見せる自警団のリーダーの首を掴むとギリギリと絞め上げて行く、既に対抗する気力を失っていた自警団のリーダーは抵抗せず、その命と魂を菜乃葉に奪われた。




「・・・」


愛理達がササレ島に到着した時には既に全ての町の住民達の魂が菜乃葉に喰らわれており、愛理には喰われた魂の嘆きの声が聞こえて来る。


「くっ!」


ササレ島の中心地の町の瓦礫の上に菜乃葉の姿を見つけた愛理は、メサイヤの高度を一気に下げて着陸をさせると周囲に噴水から漏れ出した水がある為変身出来る、アクエリアスフォームに変身しつつ、菜乃葉に向けて突っ込んだ。


アクエリアスフォームはレオフォームと同じく武器は剣のままで、周囲の水を自由に操る事が出来る、服はレオフォームの鎧の色違いであり水色だ。


「罪の無い人を何人殺したの!?、答えて!」


菜乃葉に斬りかかりつつ、その顔を菜乃葉に対しての怒りに染めた愛理は、彼女がどれだけの人を殺したのか問う。


「答えてやるよぉ〜、ガキィ、いっぱいさぁ、美味しかったぜぇ?」


「ッ!、このぉ!」


菜乃葉の言葉を聞いた愛理は自身の剣を受け止める菜乃葉の爪を押し切り、剣を左手に持ち替えてから彼女の顔を全力で殴った、愛理の強烈な右ストレートを喰らった菜乃葉は崩れかけている建物に向けて吹っ飛んだ。


「駄目ですよ、愛ちゃん、怒りの感情のまま戦っては、いつか私にも同じ事を言ってくれたでしょう?」


「・・・、ごめん、リアちゃん」


ラフォリアの言葉を聞いた愛理は、深呼吸をして落ち着きを取り戻す、その間にケーニと麗蘭も合流した、菜乃葉に対しての攻撃手段を持たない蒼狐とレベンはメサイヤで待機している。


「いってぇなぁ!」


瓦礫の中から飛び出して来た菜乃葉は、愛理達の上を取ると、連続して黒き闇に染まった魔法弾を愛理達に向けて放って来る。


「撃ち落とす!」


魔力弾は変身したケーニが全て叩き落とした、ケーニと同じく変身している麗蘭とラフォリアは菜乃葉に向けて一気に接近し攻撃を仕掛けるが、どちらの攻撃も躱され、二人は地面に叩き付けられた。


「あたしの羽を喰らいなぁ!」


菜乃葉は黒き天使の羽から小羽を倒れている麗蘭とラフォリアに発射しようとする、それを見た愛理は周囲の水を集め弾丸のように造形すると、菜乃葉に向けて発射した、迫る水の弾丸を見た菜乃葉は羽で全弾防ぐ。


「ハァァ!」


菜乃葉の視界は愛理の狙い通り水の弾丸を防ぐために羽で防御した為、塞がれている、愛理は菜乃葉に出来た隙を突き剣に魔力を纏わせ突きを放つ。


「チッ!」


愛理の剣に羽を貫かれる痛みに顔を歪めながら、菜乃葉は闇の魔力で剣を作ると愛理に向けて振るった。


「愛ちゃん!」


愛理に向けて迫る魔力剣を麗蘭が下から斬りあげる事で逸らす、その間に愛理とラフォリアは菜乃葉から離れ遅れて麗蘭も離れた、離れる愛理達を追い掛けようとする菜乃葉にケーニが放った無数の弾丸が迫る。


菜乃葉は自身に迫る弾丸をシールドで防ぐ、そしてシールドを消すと愛理達に漆黒のビームを放った。


「リアちゃん!」


「はい!」


愛理とラフォリアは息を合わせて体を回転させ同時にビームを斬る事で弾いた、ビームを弾かれ驚く菜乃葉に麗蘭が一気に迫る。


「喰らいなさいな!!」


麗蘭は菜乃葉の足元に起爆札を投げ、粉塵で菜乃葉の視界を奪いつつ、先程まで菜乃葉がいた場所に刀を振るう、麗蘭は確かに右手に手応えを感じたが、追撃はせずにすぐさま離れる、視界がないのはこちらも同じだからだ。


「・・・、よくもやりやがったな」


麗蘭が起こした粉塵が晴れると菜乃葉の姿が見える、菜乃葉は左腕を丸ごと失っていた、徐々に再生して行っているが、聖遺物で斬った為か、再生は遅い。


腕を斬り飛ばされ顔を怒りに染めている菜乃葉は右手を天に掲げて、宙に巨大な魔法陣を作った。


「纏めて死ねや!」


菜乃葉が魔法陣から呼び出したのは巨大な剣、その剣は猛烈なスピードで愛理達に迫る。


「駄目だ・・・、みんな私に掴まって!」


走って離れても迫る剣を躱せないと判断した愛理は仲間達に自分に掴まるように言った、ラフォリア達は慌てて愛理に掴まる。


「間に合え!、転移!」


愛理はメサイヤの近くの地面をしっかりとその目に焼き付け転移の魔法を発動した、目前まで迫る巨大な剣、もう少しで愛理達に当たると言う所で愛理達は転移した。





転移してメサイヤの近くに現れた愛理が見たもの、それは巨大な剣が地面を抉り地中に埋まって行くと言う光景だった。


「島が、落ちる・・・、みんな急いでメサイヤに退避!」


島が崩壊すると判断した愛理は仲間達にメサイヤ退避するように伝えた、それを聞いた仲間達は慌ててメサイヤに乗り込む、愛理もメサイヤに乗り込む瞬間、振り返り菜乃葉の姿を見ると、彼女は愛理の方を向いてニタニタと笑っていた。


「せめて一撃だけでも当ててやる!、蒼き人魚の撃鉄!」


崩落していく島から逃げる前に菜乃葉に一撃だけでも攻撃を当てようと思った愛理は、左手を突き出し、激しい水流により敵を滅する技、蒼き人魚の撃鉄を放った、しかしその攻撃は菜乃葉との距離が離れ過ぎていた為か当たる事はなかった。


「愛ちゃん!、もう駄目です!、島が崩落します!」


「分かってる!」


ラフォリアの言葉を聞いた愛理はメサイヤに乗り込み、崩落する島からメサイヤを離した、その次の瞬間には剣は島を貫き、島が崩れていく。


「あははははは!」


島が崩落して行く様子を見た菜乃葉は微笑いながら黒い天使の羽を羽ばたかせ去って行った。


「・・・」


愛理達は菜乃葉を追わず島が崩落して行く様子を呆然と見つめるしかなかった。

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