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金色の九尾lll  作者: ブレイブ
五章、聖遺物を巡る戦いと九尾
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六話

ソリビカ王都、王城


愛理はラフォリアと共にリリティーアに会いに来ていた、以前みんなで会いに行くと言ったものの、いきなり大人数で行ってもリリティーアが困るだろうとケーニに言われた為、今回は二人だ。


「よっ!、リリティーア!」


愛理は彼女の部屋に入ると満面の笑みでリリティーアに挨拶した。


「愛理!、お待ちしていました!」


愛理の姿を見たリリティーアは愛理に駆け寄ると手を取り、愛理が会いに来てくれた事を喜ぶ。


「そちらは、ラフォリア姫ですね、始めまして」


リリティーアは愛理には友として、ラフォリアには同じ姫として挨拶する。


「こちらこそ始めまして、リリティーア姫」


ラフォリアもスカートの裾を持ち上げて会釈しつつリリティーアに挨拶した。


「それでは愛理、今日は実は連れて行って欲しいところがあるのです」


愛理の手を取りながらラフォリアを見て挨拶をしたリリティーアは、愛理の方を向くと愛理にどこかに連れて行って欲しいと言った。


「んー?、私はあなたをどこかに連れて行くのは良いけど、許可は取ってるの?、私、勝手に連れて行ったって王様に怒られるのヤダよ」


「大丈夫です、お父様にはちゃんと伝えてますから、さっ!行きましょう」


「あっ、ちょっ!?、リリティーア!?」


リリティーアの言葉を聞き王に伝えてるなら大丈夫かなと愛理が思っていると、わんぱくお姫様は剣を手に取ると愛理の手を引き、彼女の目的地に愛理を引っ張って行く。


「待ってくださーい!?」


意外と足が速いリリティーア、そんな彼女に引っ張られて行く愛理をラフォリアも走って追いかける。


「・・・、前途多難ね・・・」


リリフィアもそんな彼女達を見守る為に、こっそりと着いて行く。



ソリビカ王都、冒険者ギルド


「あぁ、そうか、リリティーア、外の世界を見たいって言ってたもんね」


リリティーアが来たかった場所、それは冒険者ギルドだった、冒険者とは旅をする者、リリティーアにとっては外の世界の象徴なのだ、そんな彼等が集まる冒険者ギルドをリリティーアはずっと自分の目で見てみたかったのだ。


「はわー、これまではテラスから冒険者様達がこのギルドに入る姿を見るだけでしたが、ようやく中を見る事が出来ました、凄いです!」


ギルドの内を見れて興奮した様子のリリティーアは、キョロキョロとギルド内部を見渡して喜んでいる。


(・・・)


ラフォリアは嬉しそうなリリティーアを見て初めてギルドに入った自分と全く同じだと、頬を赤くしている。


「それで?、リリティーア?、依頼受けるの?」


冒険者ギルドに来たのならば依頼を受けるものだ、愛理は彼女に依頼を受けるのか聞いてみる。


「勿論です!、選んで来ますね!」


愛理の言葉を聞いたリリティーアはクエストボードに向けて走って行く、ギルド内にいる冒険者達にリリティーア姫だと驚かれながら。


「あの、愛ちゃん、私分かるんですか、恐らく高難易度の依頼を選んで来ます、そして駄目だと言っても絶対に受けると言い張ります、だから戦闘は私達が出来るだけ前に出ましょう、怪我をさせる訳にはいきませんから」


ラフォリアは初めて冒険者ギルドに入った時の自分を思い出し、愛理に彼女が確実に高難易度依頼を持ってくると伝える。


「分かってる、ホワイトローズ?、戦闘の時、リリティーアをサポートしてくれる?」


「了解です」


ホワイトローズなら敵の動きを予測してかなりの確率で攻撃を避けさせる事が出来る、その為ホワイトローズはリリティーアのサポートをホワイトローズに頼み、剣の精霊はそれを了承した。


「愛理!、決めましたよ!」


そして、リリティーアは依頼書を持って愛理達の元に戻って来た、彼女が受けた依頼とは・・・?




トンマチャ山


ここはトンマチャ山、自然豊かな山で様々な魔物や動物が生息している。


「ここがトンマチャ山、ここにドンドンモグーラが居るのですね」


リリティーアが持って来たのは大型のドンドンモグーラの討伐依頼、ドンドンモグーラとはモグラの魔物で、地面から飛び出して通りかかった獲物を捕らえる習性を持つ、小型の彼等は小さい動物を狙う為、人間としては脅威にならないが、今回の大型のドンドンモグーラは大きな動物を狙い、その大型の動物の中に人間も含まれている為定期的な討伐が必要だ。


そして大型の彼等は地面の中を進むスピードがとてつもなく速く、熟練の冒険者でもその動きの速さに翻弄され、地面からの連続攻撃を受けて苦戦する事が多い。


「ドンドンモグーラは、この山の岩石地帯にいるみたい、そこを目指して歩こっか」


愛理は周囲に複数の王城で感じたものと同じ人の気配を感じながら、リリティーアに岩石地帯に行こうと伝える。


「分かりました」


素直なリリティーアは愛理の言葉に頷き、楽しそうな様子で森の様子を眺めている、ずっと王城の中で暮らしていたリリティーアにとって、愛理はラフォリアにとってはなんでもない森の様子でさえ物珍しいものなのだろう。


そして依頼書に記されている地図を元に岩石地帯に向かう愛理達の目の前にゴブリンが現れる。


「早速来ましたね!、戦闘です!」


ゴブリンを見て戦う気満々で剣を抜いたリリティーアは、私達が戦うからと愛理が言う前にゴブリンに向けて走って行く。


「・・・」


愛理はリリティーアを止めようとしたが、彼女の動きを見て足を止める、その理由は・・・?。


「ハイ!」


ゴブリンに接近したリリティーアはゴブリンが横振りに振った棍棒を余裕のある動きでしゃがんで躱し、下から斬り上げゴブリンを倒した、愛理が足を止めた理由、それは彼女の動きに確かな剣士としての実力を感じたからだ、ゴブリンが相手ならば手助けが必要ないと感じるほどに。


華麗に返り血を避けたリリティーアは、背後から迫るゴブリンに振り返り様に突きを放つ、そして一度剣を引き抜いてから、剣を振るい斬り伏せる。


「それでは、岩石地帯に行きましょうか」


リリティーアは剣を鞘に戻し愛理達の元に戻って来つつ、内心、父や騎士団長に教わって来た剣術を存分に発揮出来た事に安心する。


「うん」


愛理は今度、彼女と剣の練習をするのも良いかもしれないと思いつつ、岩石地帯に向かって歩いて行く。



岩石地帯


愛理達はトンマチャ山の岩石地帯に来た、ここにドンドンモグーラが居る筈だ。


「今回の依頼は一体狩れば終わりかぁ、ホワイトローズ?、それっぽい反応いる?」


ドンドンモグーラの習性から考えて地上から獲物を探している筈だと考えた愛理は、リリティーアの頭の上に乗るホワイトローズに大型のドンドンモグーラの位置を探って貰う。


「サーチ中・・・、居ました、西側五十メートルの場所です」


「了解!」


大型のドンドンモグーラの位置を聞いた愛理は炎を身に纏い、イフリートモードに変身した、そしてドンドンモグーラが隠れている場所に走って行き、地面に拳を振るう。


愛理の拳はドン!、と言う音と共に地面に衝撃を伝え、その下にいた大型のドンドンモグーラが驚いて飛び出して来た。


「来た、ね!」


愛理はその場で飛び、飛び出して来たドンドンモグーラに追い付くと地面に蹴り落とす。


「あれが勇者の戦い方と動き・・・、凄い」


リリティーアは愛理の動きに見惚れながら、落ちて来たドンドンモグーラに一撃、喰らわせた。


「クエー!」


リリティーアに斬られた後すぐ様立ち上がったドンドンモグーラは、近くにいるリリティーアを巻き込みつつ地面に潜ろうとする。


「させません!」


ラフォリアはドンドンモグーラがリリティーアを掴む前に彼を槍で弾き飛ばした、弾き飛ばされたドンドンモグーラは地面に爪を突き刺し勢いを止めつつ、地面に潜って行った。


「クエ!」


地面に潜ったドンドンモグーラは愛理の足元から飛び出して来た、対する愛理は通常状態に戻りながら、ドンドンモグーラに剣を振るうが彼の動きは意外と早く、攻撃は当たらなかった。


「外した!?、くっ!」


地面に降り立ったドンドンモグーラは、両手の爪を用いて愛理に連続攻撃を繰り出して来る、愛理は彼の攻撃を蹴りで受け流しつつ、隙を伺う。


「隙は私が作ります!」


ドンドンモグーラの隙を作ったのはリリティーアだった、彼女はドンドンモグーラにタックルを喰らわせ、ドンドンモグーラはその衝撃で爪での突きを大きく外した。


「ハッ!」


ラフォリアは槍の柄でドンドンモグーラを突き飛ばし更に彼の隙を大きくした。


「終わりだね!、ホーリーソード!」


トドメを刺すのは愛理だ、愛理が得意とする下からの回転斬りを放つのと同時にホーリーソードを発動させ、ドンドンモグーラを斬り伏せた。


「やりました!、私達の勝ちです!」


「うん!、やったね!、リリティーア!」


ドンドンモグーラとの戦いに勝利した愛理達は、その勝利を共に喜び合う。




ソリビカ王都、王室


冒険者ギルドで報酬を貰い、愛理とラフォリアはリリティーアを王城に送り届けた、そして二人はまた遊びに来るとリリティーアに伝え家に帰って行った。


「リリティーア、楽しめたか?」


「はい、とても楽しかったです、それと愛理が今度一緒に剣の鍛錬をしようと言ってくれて、それもとても楽しみです」


「そうか」


王は嬉しそうにしている娘の頭を撫でる、リリティーアは父に頭を撫でられ恥ずかしそうにしつつも微笑んだ。

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