二十三話
族長の家
愛理はこの里の族長と挨拶をしていた。
「愛理姫よ、お初にお目にかかる、私はこの里の族長、聖芭と申す」
族長聖芭は愛理に名を名乗ると手を差し出す。
「初めまして聖芭さん」
愛理は彼の手を取り握手をした。
「あなた様が、この里に来た目的は白花殿に聞いて知っておる、その為の修行の場所と、宿泊場所としてこの家を使うとよい」
「ありがとう」
愛理は正直、泊まる場所をどうしようと考えていたので、この家を使わせてくれると聞いて安心する。
「さて、それでは愛理、善は急げ、早速修行を始めます、着いて来なさい」
「はい、師匠」
白花は早速修行を開始するようだ、愛理は家を出て行く彼女に続き、この家から再び外に出た。
「さて、俺達も何かやるか?」
「ですね、愛理だけ戦う訳ではないのです、私達もこの里で鍛え強くなりましょう」
ラフォリア達も修行をするようだ、彼等五人も、修行をする為いえから出て行った。
「あれは聖遺物か・・・、ふむ」
族長はケーニとラフォリアが持つ武器を見て何かを思い出し、書庫に向かった。
「・・・」
愛理は里から少し離れた場所にある滝で、滝に打たれていた。
「不満そうですね」
「そりゃ滝に打たれなきゃいけない理由を聞いてませんから」
「この滝の水源は、非常に純粋で綺麗な魔力を含んでおります、そして妖狐の尻尾は己の身を清めた後、体を鍛え、魔力量を増加させれば増える事がある、これが終わればトレーニングをしますよ、愛理」
「へぇー」
愛理は白花の話を聞いて成る程と思う、確かに今、己の身がどんどん清められて行っているのが自覚出来る、これなら白花が言う完全に清められた状態になれそうだ。
「へぇー、とはなんですか、へぇーとは、ちゃんとした返事をなさい」
「はい」
「よろしい」
白花との話を終えた愛理は黙って滝に打たれる。
(ふふふ、理由を納得すれば、素直な所、やはり姫様にそっくりですね)
白花は明日奈と旅した三百年前のひと時を思い出し、思い出に浸りながら、滝に打たれる少女を見守る。
「はい!、イッチ、ニ!、サン、シ!」
体を清め終わった愛理は、現在腕立て伏せ中だ、魔力とは体を鍛えれば増える物、ここからはひらすら筋トレである。
「イッチ!、ニ!、サン!、シ!」
千回ワンセットをすでに三回やり遂げて、まだまだ楽勝な愛理は、現在四回目のセットに入っている、これが終われば腹筋だ、ちなみにここまで鍛えても、妖狐の女性は筋肉質な見た目にはならない、腹筋は割れない。
「はいっ!はいっ!、もっと早く!」
白花はもっと早く腕立て伏せをするように愛理に言う、愛理はそれを聞いて深く体を沈めつつも、早く腕立て伏せをする。
一方のケーニ達は模擬戦を行なっていた、チームは、ラフォリアとレベン、ケーニと麗蘭と言ったチーム分けだ。
「いやー、凄いです」
審判な蒼狐は、試合とは言えレベルの高い動きをする彼等を見て感心する。
「よし!、私達の勝ちですね!」
今回の試合の勝者はラフォリア達のようだ、ラフォリアはレベンと嬉しそうにハイタッチする、対する敗北したケーニと麗蘭は、次の試合の為の作戦会議をしている、どうやら次は負けるつもりはないらしい。
「お主達、少し良いか?」
そこに聖芭がやって来た、その手に本を持っている。
「はい」
「この本を読め、さすれば、少女と、少年、お前達はさらなる力を手にする事が出来るだろう」
聖芭が言う少女と少年とはラフォリアと、ケーニである、本を受け取った二人は本を読んでみる。
「これは、明日奈さんとおなじ?」
本を少し読み進めた結果、ラフォリアは明日奈のプラチナモードと似たような変身が、自身とケーニが持つ聖遺物なら出来ると知った。
「あぁ・・・、これなら俺達、もっと強く慣れるぜ!」
「はい!、もっとこの本を読み、内容を理解してから、実際に試してみましょう!」
強くなる方法を見つけたラフォリアとケーニは二人で本を読み進める。
「私達も、協力しよう、これからの戦い、さらなる戦力は必要だからな」
「ええ、私も手伝わせて貰うわ」
レベンと麗蘭、そして蒼狐も、ラフォリアとケーニの、変身の練習を手伝う。
「はぁー、つかれたぁ」
一通り鍛え終えてヘトヘトになった愛理は、セラピーに癒してもらい復活する、元気になった愛理の元に白花がやって来る。
「ふふふ、お腹空いたでしょう?、晩御飯にしましょう」
「うん!」
愛理は元気良く、白花に着いて家に戻る、そして夕食の席でラフォリアとケーニが始めた変身の練習について聞き、完成を心待ちにするのだった。




