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金色の九尾lll  作者: ブレイブ
四章、十二宮の勇者の覚醒
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二十話

レイブンウィンド本部


愛理と菜乃葉の戦いは続く。


「ハァァ!」


菜乃葉との距離を一気に詰めた愛理は斧を振り下ろす。


「アハァ!」


菜乃葉は余裕で受け止め、愛理の顔を殴り付けるが、愛理は怯まない、顔に当たった拳を無理矢理に顔を動かし押し返すと、頭突きを放った。


「いってぇ!、可愛い顔して、石頭なんだな!、お前!」


頭突きをされて痛む頭を抑えながら文句を言う菜乃葉に、ここで彼女を倒すつもりの愛理は一気に近付き、斧を下から振り上げた。


「ぐはっ!?」


愛理の斧は菜乃葉の胴体を捉え彼女を真っ二つにした。


「ごめんなさい・・・、でもこれで・・・」


胴体を斬り真っ二つにしたのだ、勝利を確信した愛理は、同じ地球人であり、闇に力を貰って存在を変えられた存在である彼女を殺した事を謝りつつ、闇の依り代となる可能性がある者を倒せた事に安心をする。


「あはは、これで死んだと思ったのか?、ガキィ」


「!?」


背後で菜乃葉の声がする、愛理はその声を聞いて振り返ると真っ二つとなった彼女の体が修復されて行っていた、彼女の体は10秒程で完全に修復され、菜乃葉は愛理に壊れた笑みを見せ付ける。


「・・・」


彼女が復活したのを見て愛理は、彼女を殺すには完全に細胞の一片足りとも残しては駄目だと判断し、彼女を完全に消し去ると心に決めた。


「ほぅら!、行くぜ!」


(くっ!?、さっきよりも速い!?)


菜乃葉は先程よりも速いスピードで愛理に迫り、愛理の懐に潜り込むと蹴り上げた。


「くっはっ!?」


その威力は強烈で愛理は一撃で足が浮かび上がり天井にぶつかった、天井にぶつかった愛理は地面に落ちて行く。


「待ってたぜ!」


愛理が落ちる先には菜乃葉がいた、彼女は落ちて来る愛理に合わせ、拳を振るう。


「くっ!」


愛理はなんとか斧の腹で拳を受け止め地面に着地する、そして斧を横振りに振るうが、彼女は体を背け、愛理の斬撃を躱した。


「ははっ!、喰らえや!」


菜乃葉は両手に闇を溜めると、愛理に向けて放った、それは広範囲のレーザー砲だ。


(っ!?、この方向には二人が!)


「スピリットフォーム、ピスケス!」


レーザー砲の射線には気絶したラフォリアとケーニ、愛理は二人を守る為、巨大な盾を装備する事で強力な防御力を得る、髪が青色になるピスケスモードに変身した。


「こんのぉ!」


バシュウ!と音と共に盾とレーザー砲がぶつかり合う、数十秒のレーザー照射に盾は耐え切った、しかし・・・。


(魔力が・・・)


強力なレーザー砲を防ぎ切る為に愛理は大量の魔力を消費した、その為スピリットフォームが解け、通常状態に戻ってしまう。


「おっ?、どうした?、変身が解けちまったぞー」


大半の魔力を失い肩で息をする愛理に菜乃葉は笑いながら近付き拳を振るう、愛理はなんとか躱し、剣を振るうが遅い、菜乃葉は余裕で躱す。


「ヒヒ!」


菜乃葉は大振りだが速い右ストレートを放つ、愛理はその速さに反応し切れず、顔に拳を喰らってしまう、殴られた愛理は地面を転がって行く。


「あははぁ!、楽しくなってきた!」


菜乃葉はフラフラと立ち上がった愛理に一瞬で近付き、羽を振るう、愛理は剣でそれを弾くが、菜乃葉はもう一方の羽を振るい愛理に叩き付ける。


「っー!?」


今の一撃で愛理の左の腕が折れた、愛理は骨が折れた激しい痛みを堪えつつ、しっかりと敵を見据え剣を振るうが当たらない。


「折れたなぁ!、折れたなぁ!」


愛理の剣を躱した菜乃葉は愛理の折れた腕を蹴り付けた。


「うぅ!」


折れた腕を蹴られた愛理は余りの痛みにしゃがみ込む、そんな愛理に菜乃葉は近付き愛理を蹴り上げると、上に浮かび上がった愛理の首を掴む。


「ヒヒヒ、このまま首を絞めて殺してやるよ、じゃあな、可愛いだけのお嬢ちゃん」


菜乃葉はギリギリと愛理の首を絞めて行く。


「くっ、けほっ!」


愛理はエクスカリバーを離し、菜乃葉の手を掴むと首から引き剥がそうとするが、菜乃葉の指の力は強く引き剥がせない。


「あはは!、死ね!、死ねぇ!」


菜乃葉は更に力を込めて行く、行きが出来ない愛理の右手は菜乃葉の手から離れ下に落ちてポケットに触れた。


(ごめんね・・・、みんな、お母さん、お父さん、お婆ちゃん)


死を覚悟した愛理は大切な者の顔を思い出しながら目を閉じる。


「諦めるな!、この馬鹿!」


その瞬間、聞き覚えがある声が聞こえ、打撃音がして首が絞め付けられる感覚がなくなった、菜乃葉の絞め付けから解放された愛理は咳をしながら、助けてくれた人物を探すと・・・?。


「麗ちゃん・・・」


「はぁい、愛ちゃん、数日振りね」


麗蘭が居た、愛理が彼女の名を呼ぶと麗蘭は隣に座り愛理の顔を覗き込む。


「大丈夫?」


「うん、助けてくれてありがと、それと私が諦めようとした事を怒ってくれてありがと」


「ふふ、良いのよ」


麗蘭は愛理の言葉に頷くと愛理の肩を叩き立ち上がる、愛理も剣を拾ってから立ち上がり友の隣に並び立つ。


「でもどうやってここに?」


「この札に魔力を感じたのよ、そして来てみたら愛ちゃん首を絞められてるじゃない、焦ったわぁ」


「あはは、ごめんごめん」


愛理はそう言えばポケットに手が触れたなと思いポケットの中に手を突っ込む、そこには札が入っていた、愛理は札に感謝する、これのお陰で麗蘭が来てくれて死なずに済んだ。


「・・・、ねぇ愛ちゃん、今の攻撃全く歯応えがなかったんだけど、もしかしてあいつ・・・」


「うん、私みたいに、聖遺物を持ってないと、攻撃が通じないの」


「やっぱり、厄介ね・・・」


愛理と麗蘭が菜乃葉の厄介さに舌を巻いていると、菜乃葉がゆらりと立ち上がる、そしてこちらを見てニヤリと笑う、恐らく麗蘭と言う獲物が増えた事を喜んでいるのだろう。


「来るよ!」


「ええ!」


そして菜乃葉は身を低くしてこちらに突っ込んで来る、愛理と麗蘭は武器を構えて迎え撃つ。


「ストライクバースト!」


迫る菜乃葉の動きを遮るように、ストライクバーストが放たれ菜乃葉を吹き飛ばし瓦礫の中に埋めた、愛理はストライクバーストが放たれた場所を見るとラフォリアとケーニが立っていた、どうやら目覚めたらしい。


「二人とも!」


愛理は立ち上がった二人に駆け寄る。


「ごめんなさい、気絶してしまって、さぁ一気にトドメを」


「うん、でも魔力が・・・」


ラフォリアは愛理に手を差し出しトドメを刺そうと言う、恐らく二人一緒に放つ、あの技を放とうと言っているのだろう、しかし愛理には魔力がなく、あれを放つには足りない、魔力補給剤の入った鞄はメサイヤの中だ。


「俺の魔力を使え、愛理」


「私のもあげるわ」


愛理が魔力がない事に困っていると、ケーニと麗蘭が魔力をくれた、どんどんと愛理は魔力が回復して行くのを感じ、あの技を放てるほどに回復した。


「ありがとう、二人とも!、ラフォリア、行くよ!」


「はい!」


魔力が回復した愛理はラフォリアと手を合わせる、二人が手を合わせた瞬間、菜乃葉が瓦礫の中から這い出て来た。


『愛理、お前達が放つ技の名を教えておく、技の名はエクスプロージョン、最強クラスの破壊の魔法だ』


「分かった、エクスプロージョンだね、覚えた」


エクスカリバーが技を放つ前に技の名を教えてくれた、愛理はそれをラフォリアに伝え、二人で技を放つ。


「「エクスプロージョン!」」


突き出した二人の手から、破壊の魔法、エクスプロージョンが放たれる。


「なんだそれ!、ああああ!?」


菜乃葉はエクスプロージョンを慌てて躱そうとしたが躱し切れず当たってしまう、菜乃葉はエクスプロージョンに飲み込まれ、彼女を飲み込んだエクスプロージョンはレイブンウィンドの最上階を破壊し空に伸びて行く。


「ふぅ、やりましたね、愛理」


確かな手応えがあったのだろう、ラフォリアが勝利を確信した顔で愛理に話しかける。


「うん・・・」


勝利を確信するラフォリアと違い、菜乃葉が復活する瞬間を見た愛理は浮かない顔だ、恐らく彼女は少しでも破片が残っていれば復活する、愛理はその可能性を考え、素直に勝利を喜べない。


「帰ろうか」


「おう、つか、こいつ誰だ?」


愛理は仲間達に麗蘭を紹介しつつ、メサイヤに向けて歩いて行った。



レイブンウィンド遠方空域


「ふっはぁ、死ぬかと思ったよぉ」


レイブンウィンドから遥か離れた空で菜乃葉ひ復活を遂げていた、そして愛理達がいるレイブンウィンド本部を見る。


「行っても、またあの技を放たれたら負けるな、なら、今はあいつを殺すのは我慢してもっと強くなるか」


愛理を殺すのを我慢した麗蘭はレイブンウィンドから背を向けて、羽を広げる。


「くひひ!、人間の魔力を沢山吸って命も吸ってもっともっと強くなってやる!、あはは!」


羽を広げた菜乃葉は沢山の魔力を感じる場所に向けて飛んで行った。




ソリビカ同盟本部


愛理は同盟に菜乃葉の事を話した、倒したが復活しているかもしれない事も、愛理の話を聞いたゼレクは監視網を敷くと約束してくれ、愛理は一先ず、彼女が現れた場合、現れた場所に向かう事が出来そうだと安心する。


同盟本部では、現在レイブンウィンドに対しての勝利を祝う宴会が開かれている、愛理達は楽しい宴会を楽しんでいた。


「・・・、ねっ?、蒼狐ちゃん、この世界の妖狐の里って何処にあるのかな?」


「ふぇっ?、いきなりどうしたんです?」


「ちょっと尻尾を増やしたくてねー」


愛理が妖狐の里に向かいたい理由、それは妖狐が沢山集まり彼等の魔力が濃厚に集まる里なら、尻尾が増えやすいからだ、そして妖狐は尻尾の本数が増えるほどにその力を増す、菜乃葉に殆ど手も足も出なかった愛理は手っ取り早く能力アップが狙える尻尾の本数増加をやるつもりなのだ。


「そういう事ですか、なら案内します、私も久し振りに里に行ってみたいですしね」


「えへへ、ありがとね?、蒼狐ちゃん」


「はい!」


次の目的地を決めた愛理は、今は楽しい宴会を楽しむ。

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