十八話
レイブンウィンド本部、近隣空域
ここはレイブンウィンド本部が存在する空域、レイブンウィンドは既に艦隊を展開しており、ソリビカ同盟艦隊を迎え撃つ形だ、対するソリビカ同盟艦隊は正面から攻撃を仕掛ける。
「全艦攻撃開始!」
ゼレクの指令が飛ぶ、愛理はそれに従い、メサイヤの武装を全て発射させた。
「敵の攻撃が来る、当たるんじゃないよ!愛理!」
メサイヤの弾薬は全て敵飛空艇に命中した、次の瞬間敵の攻撃が来るとのレイリの声を聞き、愛理は回避行動を取る。
正面から迫るミサイル、愛理は機首の機銃で叩き落とす。
「敵の基地に大型砲が出現!、回避運動を取れ!」
ゼレクの声を聞いた愛理が敵の基地を見ると確かに敵基地に大型砲が現れており、敵艦隊は射線を避けるように左右に分かれている。
ソリビカ同盟艦隊は慌てて回避運動を取り、大半の飛空艇は大型砲から発射された荷電粒子砲を躱したが、いくつかの船が砲撃に焼かれ爆発した。
「くっ!、仲間が!」
グラブは撃ち落とされた別の騎空団の船を見て悔しそうな声を上げる、そして先行して行く、討たれた仲間の敵討ちとして、危険な大砲を撃ち落とすつもりなのだろう。
「グラブ!、私も行く!」
愛理は先行するグラブの背中を守る為彼を追ってメサイヤをグラブの船に追従させ、愛理のケツを守ると約束したシバも飛空艇を追従させる。
「有難い!、背中をカバーしてくれ!」
「了解!」
愛理は左右から迫る船を、グラブは進行を妨げようと航路を塞いで来る船を落とす。
「グラブ!、荷電粒子砲の砲門が光ってる!」
左右からの砲撃を躱しつつ敵飛空艇を撃退する愛理は前方を見る、すると確かに荷電粒子砲の砲門が光っている、二射目を発車しようとしているのだ。
「任せるのじゃ!」
シバは愛理とグラブの船を追い抜き、大量のミサイルを発射する、シバの船が放ったミサイルは大型砲に命中するが・・・。
「来る!」
それでも大型砲を破壊しきれてなかった大型砲は、二射目の荷電粒子砲を発射した、愛理達は全速力で上下に分かれて砲撃を躱す、モニターにはロストの表示、味方の飛空艇が二機、更に落とされた。
「クソッタレが!」
「この!」
愛理とグラブは仲間を落とされた事に怒りを感じつつ、グラブはビームソードを飛ばし、愛理は機種の主砲であるビーム砲を放つ、二人の攻撃は大型砲を貫き、大型砲は爆発した。
「やったぜ!」
「喜ぶのはまだ早いぞ!、儂等はこのまま、敵基地に取り付き、内部からの攻撃を仕掛ける!、敵基地のドッグに飛び込むぞ!」
「はい!」
大型砲の破壊と同時に敵の包囲網から抜けていた愛理達は、敵のドッグに向けて全速力で突っ込み、船を着陸させた。
レイブンウィンド本部、内部
「みんな、出番だよ、行こうか!」
「おう!」
この基地までの航路の途中で、ゼレクから敵基地に乗り込めた者は、レイブンウィンドのリーダーを討ち取るか捕縛せよ、と命令を受けている愛理は、仲間達と共に任務の達成の為に敵基地に侵攻する。
「ちょっとだけ待っててね、メサイヤ」
船を降りる前に愛理はメサイヤに魔力を投入し自動迎撃モードを起動させる、これで余程の事がなければメサイヤは無事でいられる筈だ。
「早速、敵のお出ましですよ!、愛理ちゃん!」
「分かってる!」
船から降りると空賊達がこちらに向けて迫っているのを確認出来た、自動迎撃モードのメサイヤがそれを確認し砲撃をするが、彼等はそれをシールドで防ぎ愛理達に迫る。
「サンダー」
レベンはサンダーの魔法を放つ、宙に現れた魔法陣から電撃が敵に向けて降り注ぎ、敵は次々と倒れて行く。
「モードライブラ!」
黄道十二星座のライブラは重力を司る、スピリットフォームにより、ライブラの能力を得た愛理は、重力を操り敵を天井に激突させて意識を奪う。
「行くぜ!ブリューデ!、ホーミングショット!」
ケーニは何度もトリガーを引き無数の魔法弾を宙に浮遊させる、そして敵に向けて一斉に発射させた、ケーニのホーミング性能を持った弾丸は百発百中だ、確実に敵に命中し、ケーニは大きな戦果をあげた。
「凄いです!、ケーニ!」
ケーニのホーミングショットのお陰で予想より早く戦闘が終わった事に喜ぶラフォリアは彼の肩を叩く、ケーニはラフォリアに肩を叩かれて鼻の下を伸ばすが、彼女に伸ばした鼻を見られないように慌てて顔を背ける、背けた方向には愛理がおりニヤニヤされるが、ケーニは無視する。
「終わってたか、流石だな」
仲間を引き連れたグラブが愛理達が侵入したドッグに現れる、彼は自分達より圧倒的に数が少ない愛理達が既に敵を倒し終えている事に驚きつつも感心している様子だ。
「終わってるなら話が早い、シバさんの団と合流して、数でゴリ押して敵のリーダーを捉える、行くぞ!」
「うん!」
グラブの団と合流したフォックステイルは更にシバの団と合流し、敵基地内部を侵攻する。




