十話
フォックステイル本拠地、事務所
家を手に入れた翌日、愛理は彼女の自室となった事務所で椅子をキコキコさせて悶々としていた、愛理が悶々とする理由それは・・・。
(よくよく考えたら、レベンさんと同じ屋根の下で暮らすの恥ずかしいよぉ〜)
惚れた相手と一緒の屋根の下で暮らす事が、家を買った興奮が冷めたこの日になって恥ずかしくなって来たのだ。
(でもいつまでもこうやって恥ずかしがってる訳にはいかないし、慣れるしかない)
そうこうしていつまでも恥ずかしがっている訳にはいかない、レベンと一緒の屋根の下で暮らす事に慣れるしかないだろう。
「はぁ、リビングに行こう」
恋する少女は溜息を吐くとリビングに繋がるドアから、リビングに向かった。
リビング
「愛理か」
(はぅ!)
リビングに入るとレベンが、椅子に座り本を読んでいた、彼と同じ屋根の下で暮らす事にまだ慣れない愛理は、脳内で変な悲鳴を上げる。
「どうした?、顔が赤いぞ?」
「な、なんでもにゃい!」
頬を赤く染める愛理はなんでもないと答えてから椅子にソファにストンと座る。
「そうか?、なら良いが」
レベンはソファに座った愛理から目線を離すと、再び本を読み始める。
「・・・」
チラリ、愛理はレベンを盗み見る。
(かっこいいなぁ)
静かに本を読むレベンの様子は、恋する少女にとって非常に魅力的だった、今、もし彼の隣に座っていたら彼の頬にキスしてしまうかもしれない。
「愛理」
愛理がレベンに見惚れていると、レベンが愛理に話しかける。
「な、なに?」
いきなりレベンに話しかけられ愛理はドギマギする。
「街に昼食を食べに行こう」
彼が愛理に話しかけた理由、それは昼食のお誘いだったようだ。
「わ、分かった、行こう」
「うむ」
愛理とレベンは昼食を取りに家を出て、街の商店街に向かった。
ソリビカ王都
賑やかな商店街、愛理とレベンは出店で買ったホットドッグを食べながら歩く。
「人がたーくさん、凄いね!」
「うむ、壮観だ」
二人は様々な店を見て回る、商店街の店は武器屋や防具屋や、道具屋など様々な、中にはカップルにオススメと看板に書かれた、喫茶店もあった。
(・・・)
愛理はカップルにオススメと言う喫茶店の看板をジーと見る、今は彼と付き合っている訳ではないので中には入れないが、いつか絶対に入ってやろうと思う。
「愛理、あそこの展望台に行ってみよう、そこから街を見渡してみたい」
商店街の先には展望台がある、レベンはそこから街を見渡してみたいようだ。
「良いね、行こう」
二人は商店街を抜けて、その先にある展望台に入る、そして少し長い階段を登り展望台の上に来た。
「凄いな」
「うん、綺麗・・・」
レンガ作りの家々が立ち並ぶ、ソリビカ王都入るとても美しい、愛理はその光景を見て思った、この街に拠点を構えて良かったと。
「・・・」
街を見るレベンの横顔を見て愛理は思う今なら彼に告白が出来そうだと、その勇気を持つ事が出来そうだ、だから・・・。
「レベンさん、私ね?」
告白してみようと思う。
「なんだ?」
愛理に声をかけられたレベンは愛理を見る。
「私、あなたの・・・、あなたの事が好きだよ」
「い、今なんと?」
レベンは愛理のまさかの告白に思わず聞き直してしまった。
「あなたの事が好きです!」
愛理はレベンの言葉を聞くと彼の手を掴みしっかりと彼の目を見ると、もう一度想いを伝える。
「う、うむ」
「・・・」
想いを伝えた愛理は潤んだ瞳でレベンの瞳を見る、潤んだ瞳で自分を見つめて来る少女を見てレベンは決意を固める、女性が勇気を出して告白して来たのだ、ならばそれに答えるのが男というもの、レベンは決めた愛理の想いに答えると。
「本当に私で良いのか?」
「良いよ、大好きだもん」
「分かった、私も君の想いに応えれるように努力しよう」
レベンは若干震える手で愛理の肩に手を伸ばし、抱きしめようとする、愛理は彼の動きに抵抗せず、素直に彼に抱きしめられた。
「小さいな君は」
「えへへ、まだ十五歳だもん」
そして二人はキスをする、キスをしながら愛理は想いが叶った事を喜び、レベンはこの小さな少女を必ず守ってみせると誓った。
フォックステイル本拠地
愛理とレベンは手を繋ぎ家に戻って来た、しかし愛理はもう悶々としない、寧ろ愛する彼とこの家で一緒に暮らせる事を嬉しく思う。
「それでどうする?、愛理?、みんなに話すか?」
「ひ、秘密にしよっか、恥ずかしいし」
「君がそうしたいならそうしよう」
玄関の前で付き合う事にした事をもう少し後で仲間に話す事にした二人はドアを開けて家の中に入る、すると・・・。
「おめでとうございます!」
ラフォリアが部屋に入るなり、パン!と、クラッカーを鳴らした。
「いやー、やっぱり二人きりにしたらくっ付いちゃいましたねー、ケーニさん」
「そうだなー」
「これで、中々進展しない二人を心配しないで済みます」
仲間達はそう言うとウンウンと頷きあう、どうやら彼らは愛理の想いに気付いており、この日はわざと愛理とレベンを二人きりにしたようだ。
「き、気付いてたの!?、いつから?」
「割と最初からです、愛理は分かり易過ぎます」
「ッー!」
割と最初から愛理のレベンへの想いに気付いていたと告白したラフォリアの言葉を聞き、愛理は顔を真っ赤にしてしゃがみこみ顔を隠す。
「あらあら、恥ずかしがっちゃって、可愛いですねー、愛理ちゃんは」
蒼狐はそんな愛理の隣に座ると頬をツンツンと突く、恥ずかしがる愛理は頬を突かれても顔を上げない。
「やめてやってくれ・・・」
自身の彼女が揶揄われるのを黙って見るつもりはないレベンは、やめて欲しいと蒼狐に言う。
「愛理ちゃんの彼氏さんがそう言うのならやめましょう」
レベンの言葉を聞いた蒼狐は素直に愛理から離れた。
「ふふふ、でも、良かったですね、愛理」
友の想いが叶った事、それはラフォリアにとっても嬉しい事だ、だからラフォリアは素直に愛理を祝福する。
「うん」
ラフォリアの祝福の言葉を聞いてまだ顔は真っ赤だが、愛理は顔を上げて微笑む、そしてレベンの顔を見るともう一度微笑んだ。
「さぁ!今日は二人のお祝いパーティ兼、本拠地創設記念パーティだ!」
「おー!」
この後愛理はケーニ達が用意したパーティをとても楽しんだ。




