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金色の九尾lll  作者: ブレイブ
四章、十二宮の勇者の覚醒
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八話

ママラカの町


王都の西に存在するママラカの町、白の書によるとこの町に闇の者が隠れているらしい。


「確かに闇の気を感じるけど、詳しいところまでは・・・、愛ちゃん、その本に闇が何処にいるか書いてない?」


「書いてないね、後は自分達で探さなきゃいけないみたい」


白の書の記述はママラカの町と書いてあるだけ、その為そこそこな広さのこのママラカの町を闇の者の魔力を探って探さなければならないようだ。


「そう・・・、なら頼りになるのはこの町に漂う、この気ね」


「みたいだね、あっちかな?」


闇の者の魔力を強く感じる方向は北西側、北西側の何処かの家に闇の者は隠れているのだろうか。


「みたいね、行ってみましょう」


愛理と麗蘭は町の北西側に向けて走って行く。



ママラカの町、北西側


ママラカの町の入り口は商店街と言った感じだったが、北西側は住宅街となっていた、沢山の家があり、闇の者を探し出すのは骨が折れそうだ。


「急がなきゃいけないのに、この広さじゃ・・・、ねっ!、ホワイトローズ、どうにかならない?」


いつ闇の者が転移して逃げるか分からない状況、ゆっくりしている暇などない、焦る愛理はホワイトローズに闇の者の詳しい居場所を割り出せないか聞く。


『しばらくお待ちを』


ソードモードとなり、妖精モードより能力を使いやすい状態になったホワイトローズは、町に漂う闇の気を元に彼の詳しい居場所を探る。


『見つけました!、ここから前方に進んだ先にある三つ目の通りを、左に進んだ先にある兵舎です!』


「了解!、見つけたから行くよ!、麗ちゃん!」


「ええ!」


愛理と麗蘭は走る兵舎に向けて、そして三分ほど走った後、兵舎に辿り着く。


「はい、これ、後尻尾も隠す」


「はいはい」


兵舎の裏側に入ると麗蘭は愛理に覆面マスクを渡す、愛理は覆面マスクを受け取るとどう見ても不審者な姿となった。


(ごめんなさい、お婆ちゃん、あなたの孫はまた犯罪を・・・)


「何してるの!、時間ないわよ!」


愛理が脳内の明日奈に謝ろうとしていると、既に窓を外して兵舎内部に侵入しようとしている、麗蘭に呼ばれた、愛理は脳内の明日奈への謝罪を取りやめ、兵舎内部に入る。



「くしゅん!、風邪かしら・・・?」



兵舎


窓から兵舎内部に侵入した二人は窓を元に戻すと静かに床に降り立つ、そして左右を見渡すと、遠くの方で明かりが動いているのが見える、その明かりは徐々にこちらに近付いているようだ。


(その部屋に入るわよ!)


(了解!)


近付いてくる明かりを見た二人はジェスチャーでやり取りし、静かにしかし迅速に目の前の部屋に入り、息を潜める。


「・・・、ホワイトローズ、今のうちに闇の者の書の居場所をサーチして」


「Yes」


愛理は隠れつつもホワイトローズに闇の者の居場所をサーチさせる。


(来るわよ)


(うん)


幼馴染二人は、兵士が部屋に入って来た、場合を考えそれぞれ、隠れられそうな場所に入り隠れる、愛理は機材置き場の棚の下、麗蘭は開いていた箱の中に飛び込んだ。


「・・・、異常なし、こんな所に侵入する奴なんている訳ねぇよなぁ、面倒くせぇ」


二人が隠れたすぐ後に扉が開き、兵士が部屋の内部を確認する、兵士は誰もいないのを確認するとボヤきながら、ドアを閉めて離れて行った。


「ふー、緊張したぁ・・・、それでホワイトローズ?、見つかった?」


「Yes、本として隠れやすい、この兵舎の東側の書庫に居る模様、行ってみましょう」


「書庫ね、分かった」


「案内します!」


書庫の場所を把握している、小さな覆面マスクを付けたホワイトローズは、愛理と麗蘭の前を飛び、二人を先導する、愛理と麗蘭はホワイトローズを追い、静かに兵舎内部を走る。



兵舎書庫


「うっ・・・」


勇者である愛理は、書庫に入った途端、部屋の中に濃く漂っている闇の魔力に嫌な顔を見せる、麗蘭も不快そうな顔をしているので、彼女もこの不快な魔力を感じているようだ。


「すぐに分かったね、こいつだ」


「ええ」


書庫を探し回る必要もない、愛理と麗蘭は強烈な闇の魔力を放出している本を手に取る。


「やっと捕まえたわ!、さっ、愛ちゃん!転移するわよ!、ここじゃ流石に燃やせない」


「うん」


闇の書を捕まえた愛理と麗蘭は、二人手を繋ぐと転移した。



平原


愛理と麗蘭が現れたのはママラカの町近くの平原、麗蘭は早速鞄の中からライターを取り出すと、闇の書に近付ける、彼女はさっさと燃やして全てを終わらせるつもりのようだ。


「ッ!?」


もう少しで書に火が付くと言った所で、麗蘭の手にピリッとした感触が走り、闇の書を麗蘭は離してしまった、それを見た愛理は剣を引き抜き斬り裂こうとするが、闇の書はその前に近くにいた、魔物に近付くと取り憑いた。


「魔物の中に」


「入っちゃった・・・」


闇の書が魔物の中に入ったのを見て二人は焦る、もしや復活してしまったのではないかと。


「グルル!、ウォーン!」


闇に取り憑かれた狼は、どんどんとその体を巨大にして行き、額に黒い水晶が現れると巨大化が止まった、その体からは雄々しい闇の魔力が漏れ出している。


「・・・、本当に復活した闇はこんなもんじゃない、大丈夫まだ復活してないよ」


勇者の魂の記憶が教えてくれた、闇はまだ復活していないと、その事を麗蘭に伝えた愛理は剣を引き抜く。


「だからまだ、闇を復活前に倒すチャンスはある!、あのデカイ狼をやっつけるよ!、麗ちゃん!」


「ええ、愛ちゃん!」


愛理と麗蘭は頷きあうと、闇が取り憑き巨大化した、狼に立ち向かう。





愛理と麗蘭は闇が取り憑いた狼に斬りかかる、それを見た狼は闇の魔力を解放し、二人を弾き飛ばそうとするが・・・。


「はっ!」


愛理がエクスカリバーを横振りに振るい、闇の魔力を聖なる力で吹き消した。


「喰らえ!」


麗蘭はどう見ても弱点な額の水晶に向けて短剣を突き刺そうとするが、狼は慌てた様子で、前足で麗蘭を殴って麗蘭の攻撃を止める、愛理は殴られて弾き飛ばされた麗蘭を受け止めると彼女を立たせてから前に走る。


「ウォーン!!」


近付く愛理を見た狼は口から炎のような闇の魔力を吐き出した。


「炎なら!、スピリットフォーム!、モードイフリート!」


迫る闇の炎を見た愛理はスピリットフォーム、モードイフリートに変身する、すると一つの変化があった。


「これは・・・、エクスカリバーがガントレットに・・・」


変化とは、エクスカリバーが変身し、愛理の両手に纏わりつくと、紅いガントレットになったのだ、愛理はエクスカリバーが変身した事に驚きつつも、迫る闇の炎に拳を振るい打ち消した。


「凄い、この前変身した時よりも、更に強い力を感じる・・・、これなら行ける!」


ガントレットとなったエクスカリバーの力の強さを感じ、目の前の敵に討ち勝てると感じた愛理は一気に狼に近付くと顎を殴りあげた、殴られた狼の顔は跳ね上がる。


「ハァァ!」


麗蘭はまだ顔が跳ね上がったままの狼の前足に近付くと腱を斬った、すると狼は前のめりに崩れ落ちる。


「もう一撃!」


麗蘭は崩れ落ちた、狼の顔の前に来ると水晶を斬りつけた、しかし水晶は硬く傷が付かない。


「グルァ!」


狼は麗蘭に噛み付こうとした、麗蘭は慌てて後ろに飛んで躱し、狼の顔の横顔から愛理は飛び出し顔に取り付くと拳を振りかぶる。


「紅き巨人の螺旋陣!」


愛理は振り被った拳を水晶に向けて叩き付ける、放つ技は収束させた紅き巨人の螺旋陣、愛理が放った技は水晶を破壊した。


「流石ね、さてどうなるのかしら」


水晶を破壊された狼は消滅する、そして闇の書が現れる。


「逃がさないわ!」


麗蘭は浮かぶ闇の書に向けて、短剣を投げる、しかし闇の書は転移して逃げた。


「くっ・・・、逃げられた」


「惜しかったね・・・、折角見付けたのに・・・」


闇の書を逃した愛理は白の書を開き、闇が次現れた場所を探るが、書き記されていない、まだ何処にも現れていないようだ。


「駄目、書いてない・・・」


「そう・・・」


闇をもう少しと言った所まで追い詰めた二人は、倒し切れなかった事に肩を落としつつ、王都に戻っていった。



王都


「それじゃまたね、愛ちゃん」


王都に戻ると麗蘭は手を振り去って行く、忍者な彼女は多人数で動くより一人で動く方が向いている、その為、また一人で闇を追うのだろう。


「またね!、麗ちゃん!」


愛理は去って行く麗蘭に手を振りながら別れの挨拶をする、麗蘭は愛理の声に応え手をヒラヒラと振ると、街の中に消えて行った。


麗蘭を見送った愛理は城の中に入り、客室に戻るのだった。

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