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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

勇者は魔王に勝利した。

作者: 魔王の善意

100年前。

突如として魔界から魔王の軍勢が人間界に現れた。

突如として現れた魔王の軍勢に出現地点となった国はなすすべなく崩壊した。


それから、人間の国々は魔王の軍勢に様々なアプローチをとった。

ある国は隣国の敵討ちに、ある国は同盟を結ぶための行動に、ある国は魔王を自身の支配下に置こうと画策した。

だが、そのどれもが失敗に終わった。


魔王は、ただただ人間界を掌握するために周辺国に戦争を吹っ掛けた。

そして、勝利し続けた。

3つ4つと次々と敗戦国が出来上がると、人間の国々はいよいよを持って魔王軍を無視できなくなった。

人々は人類の生存をかけて国境を越えた歴史に類を見ない大同盟を作り上げ、魔王の軍勢に戦いを挑んだ。


戦火は広がり、戦いは激化。

敵と味方、多くの死者を出し、地形と国境は変化し続けた。


人々は嘆き苦しみ。

多くの人々が神に祈りをささげた。

多くの人々の嘆きに心を痛めた神々は、ついに天界から地上に干渉を開始した。

神が創造せし様々な武具が人々に齎され、神の加護を受けた勇者が誕生した。


そして、100年続いた聖魔大戦がついに終結した。

開戦当初は魔族の攻勢が続いたが、勇者によって魔王が倒されると形成は一気に逆転。

絶対的な王を失った魔族は自由奔放に戦いを開始。

これを人間の連合軍が各個に包囲殲滅。

こうして、人類は勝利を手にする。





はずだった・・・。





「貴様が勇者か。よくも俺の手下を倒してくれたな。おかげで俺が出張る結果になってしまったではないか。」


魔王を倒した勇者の目の前には魔王を遥かに超える大魔王が立っていた。

そう、人類は知らなかったのだ。

あの魔王ですらこの大魔王の手下の1人にしかすぎず、ただの人間界制圧のための先行打撃部隊でしかなかったのだ。


その後ろには本軍を率いる大魔王旗下の3人の魔王が控えていた。

だが、先行打撃隊である最弱の魔王の死によって混乱する戦場を治めるためにそのさらに上にいる大魔王も動き出してしまったのだ。


天界から送られてきた武具も大魔王には一切通用しなった。

それどころか、大魔王が天界に「邪魔したら殺す」と脅しを入れたことによって武器の供給は止まった。

天界は門を固く閉鎖して人々に一切の恩恵を与えなくなった。


当然、勇者に与えられていた加護も焼失した。


「俺は新婚旅行中だったのによ~。どう、落とし前付けてくれるの?」


新婚旅行中に先行打撃隊の魔王が死んだことで急遽として新婚旅行を中止することになった大魔王は奥さんに怒鳴られてこちらに来ていたために、非常に虫の居所が悪かった。


「く・・・ 殺せ! 辱めは受けない!!」


大魔王に捕まった勇者一行の1人。女騎士がそう言って叫んだ。

その眼には相手に屈しない光を宿している。

他の勇者一行も同様にその瞳には光を宿していた。

そんな無様な女騎士を見て大魔王軍の幹部たちは笑った。

そう彼らは何も見えていない。

辱めを受けないとか殺せとか。

そんな権利は勇者一行にはないのだ。


「動けない相手をなぶる趣味はないが・・・ まぁいい。お前たちは見世物だ。せいぜい俺の嫁の機嫌を取れ。」


大魔王はそう言ってあきれた様子で勇者一行に目をやる。

その眼は哀れみに満ち溢れていた。

装備もなく、神の恩恵も加護もなくなった無力な存在のことなど今の魔王にはどうでもいいのだ。

彼の目下の大問題は、新婚旅行を中止した奥さんの機嫌が悪いことだった。


こうして、勇者一行は魔界の軍勢が人間の連合軍に勝利した凱旋式に見世物として参列させられた。

生き残った僅かな人類は、その姿を見て絶望した。

まだ隠れ潜む人類の僅かな希望を抱いていた反乱軍も、勇者たちの敗北を目のあたりにして涙を流した。


「助けてくれー! 俺はまだ戦える!!」


「おお、神よ。 どうか我らを救いたまえ。」


「このような辱めを受けるなど・・・」


見世物となった勇者一行たちの中には『まだ戦える』と吠える勇敢な戦士。

神に祈りをささげる敬虔なる僧侶。

辱めを受け屈辱に顔を歪める女戦士の姿があった。

そして、神に見放され籠を失い、その瞳を絶望に染めてしまった勇者がいた。


人類を救えと神に言われ、加護を授かった日より繰り返されることになる地獄のような訓練の日々。

そして、人類の希望として無理やりに戦場に駆り出された苛烈なる闘いの日々。

そんな人生を強制された結果。

彼が得たのは勝利の栄光でも、名誉でも富でもなかった。

神による裏切りと大魔王による圧倒的な蹂躙。


どれだけ頑張っても、結局勝てなければ意味はない。

あの、魔王に勝つことさえなければ人類はまだ戦えるはずだった。

大魔王がこっちに来ることも、3人の魔王が来ることもなかった。

寧ろ、そういった戦力をこちらに出させないためにあの魔王は戦っていたのかもしれない。


命を懸けた一大決戦。

そこでの魔王の最後の一言が頭から離れない。


『我を倒せば、我を遥かに超える。命を弄ぶ絶対者が現れることになる。貴様は勝利したのではない。自らの敗北を決定づけたのだ。命などよりも遥かに重く。尊いものをお前は失うことになる。絶望し、ただこうべを垂れることしかできなかった我のようにな・・・』


その通りだ。

最早は俺達には再び立ち上がる勇気も力もない。

神が世界を見放したとか。

相手が強いとか。

そんなレベルの話ではない。


命を懸けて戦ったところであの大魔王には敵わないだろう。

隣で、懸命に叫び、祈り、嘆く仲間達を勇者は哀れんだ。

彼らは何もわかっていない。

いや、現状を受け入れられずにいる。

なんて哀れなんだ。


もはや我々は・・・

ただの首でしかないというのに・・・


テンプレ。

物語によくある決まり事。

魔王は勇者に倒されるとか。

正義の味方が悪を倒すとそれ以上に強い敵が出て来るとか。

当然、悪を倒せばより強い悪が出て来る。

だが、正義が倒れても待っているのは絶望だけだ。

なぜならば、ヒーローとは一方向から見た物事を見た場合の主観でしかないのだから。


連載作品の筆が進まない。

なぜかは不明。

書いても面白くないと思うのは俺の主観かそれとも正常な客観しか?

楽しいから書いてたあの頃に戻りたい。

自分の作品が面白いかは考えたら負け。

つまり今の私は敗者だ。

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― 新着の感想 ―
[一言] こういうタイプの敵に対して、相手を殺しきるまで絶対に終われない呪いでもって突貫し続ける主人公のげーむがあるという。 スタート時点ではたぶん中世基準でモブA程度の能力しかないはずの主人公が、最…
[一言] うん、大魔王バーン。 ひたすら続くインフレにときとして疲れることもあります。 やっぱ魔王倒したらそこで終わりでいいや!
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