1-8「いざ、異世界へGO!」
「特典ですか?」
異世界転生のお話でありがちな展開から推察しても、これはもしかして反則的に有利な能力を貰えたりする流れだろうか?
それこそ、いわゆるチートって奴を。
「残念だが、そなたが期待するほど破格のスキルを授けるわけにはいかん。世界の管理者として、何事にもバランスというものがあるでの。」
そうなのか。
上がりかけたテンションが急降下する。
確かに、言われてみれば女神様の理屈も分からないではない。
分からないではないんだけれど、期待しただけに落胆は大きい。
「まぁ、そうは言ってもギリギリ許容出来るスキルは付加出来る。それに、それを差し引いてもヴァイスで普通に暮らす分には何ら支障ない程度には便利なスキルは大方標準装備じゃ。まず、転生後、すぐさま野垂れ死にする心配はない」
あからさまなチートが貰えないとしても、流石に右も左も分からない異世界に無能力でいきなり放り出される鬼畜仕様の最高難度な展開に比べれば、女神様曰く「野垂れ死にしない程度」には優れたスキルを貰えるらしいので、それだけでも十分に良い条件と言えるだろう。
別に俺としては異世界に行って最強を目指したい訳でもなければ、集団相手に無双して俺TUEEEEしたいわけでもない。
敢えて言うならハーレムには若干の憧れはあるが、それも絶対叶えたい望みって程でもない。
――――まぁ、可愛い彼女くらいは、できれば欲しいよ?
ともあれ、女神様の保障付きで普通に暮らせるのなら、それに越したことはない。
そもそも。
「俺にどんな能力が頂けるのでしょうか?」
貰える能力――スキルとやらが分からなければ、話にならないわけで。
その辺を、女神様に問う。
「そろそろ、時間が差し迫っておる。すまぬが、具体的なスキルに関しては、現地に着いてから確認しておくれ。決して悪いようにはせぬよ。向こうに着いたら、「ステータス・オープン」と唱えると保有スキルの確認ができるようになる」
異世界で定番のステータス表示は、ヴァイスにおいても顕在なようだ。
HPやMPも見れたりするのだろうか?
「もう時間じゃな。これ以上、時間が経過すると悪性化が始まって転生に支障が出るやも知れぬ。説明半分で悪いが、早速、お主にはヴァイスへ転生して貰うぞ」
「分かりました。お願いします」
女神様がこちらに手をかざし、自動車のハイビームを真っ向から受けたような強烈な光が放たれる。
その余りの閃光に視界が瞬く間に真っ白に染まると同時に、俺の意識もそこで途絶えた。




