1-3「ようやく説明して貰えるらしい」
「すまぬが、お主を帰す事は出来んのじゃ」
いつの間にかボケとツッコミの応酬が終わり、爺言葉というか独特な口調で話す妙齢の金髪美女が言う。
――ってか、拳骨喰らって涙目なってる残念美人といい、目の前の金髪美女といい、やたらとレベルが高いなッ!?
残念銀髪美人が清楚なクールビューティー(見た目だけ)なら、こちらの金髪美女は触れる事も躊躇われる美術品的な美しさである。
銀髪の残念(以下略)の笑顔が戦争を放棄させるような力があるとするなら、こちらの女性の場合は、むしろ彼女を巡って世界規模の大戦が引き起こされそうな『傾国の美女』となりかねない危うさも内包した感じ。
まるで神話の中の女神のような――――
「如何にも、儂は数ある女神の一柱にして、お主の世界における神位の最高位たる創造神の任を担っておる」
「……へっ?」
「ちなみに私は天使ですッ!」
「貴様は黙っとれ!?」ゴチン!
「~~ッ!?」再び撃沈。
若干、漫才が混じったが、女神?
「左様。まぁ信じる信じないはお主の自由じゃ。別に物事の捉え方を強制するような趣味もないしの。さて……今更じゃがお主、長谷武之で間違いないな?」
長谷武之。確かにそれは俺の名前である。とりあえず、俺は頷いた。
「いろいろ疑問はあるじゃろうが、単刀直入に言わせて貰う。お主は、地球時間に換算して三日ほど前に死んだ。表向きの死因は、心臓発作。寝てる最中にいきなり心臓が止まって、朝にはポックリ逝ったようじゃな」
「いやいやいや!? 朝にはポックリって!? えっ!? なに、俺寝たまま死んだの!? マジで?」
「一応、事実じゃから仕方がないの。なんなら、下界の様子を見るかえ? 丁度、主の葬儀の真っ最中じゃよ」
「それはそれで嫌だよ!?」
なにが悲しくて自分の葬式を観覧せにゃならんのか。
参列者が予想より少なかったらメッチャ凹むし、多けりゃ多いで今度は居た堪れなくなるわ!
「マジで、俺死んだの?」
「マジじゃ」
真っ直ぐに俺を見据えて、俺の死を断言する彼女。
銀髪(以下略)と違って、決して冗談を言っているようにも見えない厳かな雰囲気。
嘘を言っているとは到底思えず、つまり俺は、ホントに死んだのかも知れない。
「そっか、俺死んだのか……」
「うむ。ただ、それで話は終わりじゃないのじゃよ」