1-1「貴方は死にました」
「あなたは死にました」
「……は?」
何故か、見知らぬ女性に死の宣告をされた。
それも、ものすごく楽しそうな笑顔で。
もうその笑顔たるや、ステッカーにでもして戦車に張っ付ければ戦争なんてなくなるんじゃね? っつうレベルだ。
また彼女自身の美貌も凄まじく、引っ込むところは引っ込み出る所は出たボディは非の打ちどころがなく、腰辺りまで伸びたぼんやり青みを帯びた銀髪がすらっとした細身の長身をより際立たせている。
身に纏う衣装も純白のワンピース風で清楚さを体現しており、指輪やネックレス等の装飾品を身に着けていないそのシンプルな身なりは、彼女自身が醸し出す上品さをより一層演出している感じすらある。
ここまで来るとモデルとして世界レベルでトップを独走出来そうで、安直に言ってどえらい美人であると理解して頂けるだろうか。
さて、そんな美人どころかそもそも異性と交友らしい交友の無い人生であるが、まさか今まで合った中でも断トツの美女に自分の死を――――
――――え?
「えっと………はい?」
多分、今俺はキツネに抓まれたような完璧なる間抜け面を浮かべているはずだ。
えっ? なに、死んだってどうゆう事?
―――ってか、なんでそんな楽しそうに人の死を知らせてんですかね、貴方は!?
そんな俺の内心を、これっぽっちも汲み取る事無く、目の前の美女は言う。
「あなたは死にました♪ なので次のステージへ行きましょう! go to the next stage.I'll go to utopia♪」
同じセリフの繰り返しなのに微妙に語尾が上がっている上に、後半の英語部分がめちゃくちゃ流暢なのが少しイラッとくる。
うん。いくら美人さんでもイラッとくるものはイラッとくるな。
そもそも、なんで理想郷!? 死んでんなら、そこは天国じゃないの!?
――いや、待て待て。なんで死んだ事、肯定しそうになってんだ、俺!?
余計に混乱度合いが増して来たが、とりあえず状況を再確認しておこう。
目の前の美人さんは、とりあえず置いておこう。彼女の言葉を聞いていても、混乱が増すばかりな気がする。
俺は周囲に視線を巡らせる。
俺の記憶が正しければ俺は帰宅後、冷めたコンビニ弁当という侘しい飯を済ませて早々に寝たはずだ。
そのはずだが、今いるここは、明らかに自分の部屋ではない。
そもそも、ここはどこなんだ。
室内なのか屋外なのか、それすら判然としない曖昧な空間。
ただただ白一色の空間が水平線の如く一面に広がっていて、東西南北、前後、上下、どこに視線を送っても白以外の色彩が見当たらない。
一見すると濃い霧の中に迷い込んだような景色だが、不安や恐怖が微塵も湧かない所か、むしろ心地よい安心感すら得られる不思議な空間である。
「どこなんだ、ここは?」
そんな言葉しか出てこない。
「ここは天界です。恐れる事はないですよ~、私に身を委ねていざ往かん、
新天「まずは、謝らんか! この戯け!!」っぁ!?」
――お次はなんだ?
二作目の連載です
基本的にはお約束を踏襲しつつ、たまに捻くれた作品を目指します
『魔術師は聖遺物と踊る』共々、よろしくお願いしますm(_ _)m