急いでるけど、道草が美味すぎる
「グルルルルル…」
突如現れたガブモンが低く唸り、牙を剥き出しにし、こちらを睨みつけてくる。
「ほう…幾多のRPGを攻略してきた俺からするとここで立ち止まるのは非常にまずい…決めるッ!」
逆手に剣を持ち替え、腰を低く構える。
『俺の今のところの技は……これだッ!』
土を思いっきり蹴り、飛び掛ってきたガブモンを見定め、さらに低く剣を構える。タイミングを伺う。汗が頬を伝う。
『来た!今だ!』
「双斬撃!!」
牙を剥き、襲いかかってくるガブモンを目にも止まらぬ早さで切り裂きそのまま反対側に滑る。
ガブモンはその場で虚空に消え去り、その場には卵が落ちた。
「ふぅ……俺って割と強ぇんじゃね?」
再び歩きだそうと右足を前に出した時に後ろから小さく声が聞こえた。
「つ…強い……強過ぎる……」
「え?」
突然の褒詞に驚いて振り向くとそこにはピンク色の小さな生物がたっていた。上に表示された名は『コロモン』だった。携帯ゲーム機の頃にはとてもお世話になった。ゲームのクリアの頃までずっと連れていたとても強い生物だ。
「お前は…コロモンか?俺は今旅をしてるんだ、どうした?」
「はい…僕も旅をしているんですが、全然強くなくて、強い人を見かけて見入ってしまっていただけなんです。」
「そうか……俺は急いでるから、じゃあな。」
『喋れるデジモンか…随分流暢な日本語を喋るな…まぁ俺は先を急いでるんだ…行かなくては。』再び歩きだそうとしたのだが後ろから聞こえる言葉を無視できなかった。
「あの…待っていただけないですか?」
「は?だから俺は急いでる…………」
「自分をあなたの旅に連れていってはくれないですか?」
「何の為に?俺はデュークモンに会いに行かなくてはいけないんだ。」
「それなら、僕も!僕はデジタルワールドに一応住んでいますし、もしかしたら少しでも役に立てるかも!それにあなたと居ると強くなれる気がするんです!」
「……そうか。勝手に死んだら置いていくぞ。それでもいいならついて来い。」
「はい!ありがとうございます!」
ぴょこぴょこ飛び跳ねながらついて来る姿に見入っていて、前に居た存在に気が付かなかった。
ドンッ!
「うおっ!…何だ?」
そこにいたのは『オーガモン』という棍棒を持った凶暴そうなデジモンだった。
『!?…さっきの奴とは比べ物にならない!』
「おい!何ぶつかってる。殺されてぇのか?」
「!!!」
『そうか…ここでもそうか…なんだ…現実世界と変わんねぇじゃん。実行出来ない事を直ぐに言葉に発して…まぁ、でもこの世界では実行出来るところが現実とは違うか。』
「……いいだろう。殺してみせろ。脳筋が。」
俺の思惑通り奴は怒り狂った。ガブモンとは全く違う。怒り狂ってはいるが、隙が無い。
『ほう…面白い相手だ。もう少しだけ道草食ってくか。』
今回は結構頑張りました!
次もお楽しみに!
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