女子をRPGに
日常系にチャレンジしてみました。なんか不思議な話になってしまいました。
小学校の隣にあるブランコと砂場しかない小さな公園。
遊びに来る子どもは、滅多にいない。子ども達は皆、小学校から少し離れているが遊具が充実した大きな公園へ行く。
しかし、毎週木曜日の午後五時前は、必ず魔女と小学生が砂場で会話をしていた。
四月の三週目の木曜日。だんだん日も長くなり、暖かさが増している。
今週も、颯太は砂場で遊んでいた。
颯太のそばへ結由子は小走りで向かう。
「颯太くん、進級おめでとう。何年生だっけ?」
「三年生。あんたは?」
「二年生だよ」
結由子は、颯太の隣にしゃがんだ。
時刻は午後四時四十分。午後五時になると、音楽が流れる。大抵の小学生は、その音楽を聴いてから家へ帰る。
「友達できた?」
「んー……皆、私が魔女だから怖いみたいなの。まあ、一人でも平気だけど」
「……違うだろ、原因はあんたの容姿だよ」
「私の容姿に問題があるの?」
颯太は、そこらに落ちていた小枝を拾い、砂を小枝で掘って絵を描き始めた。
「髪長すぎだろ、スカート長すぎ、肌が青白くて怖いし、細すぎで幽霊みたい」
「なにこれ……まさか似顔絵?」
日本で最も有名な某ホラー映画に出てくる超能力者そっくりの女性が描かれていた。
「そっくりだろ」
「それ、貞子じゃない!私は魔女よ魔女!先祖代々、魔女なの」
「その話、胡散臭い。魔法使ってよ」
「……杖がないと無理!」
「俺、あんたが魔女って話、信じないから」
「ひどい!颯太くんはクラスの女子と同じだわ……クラスの女子も、魔法使えって言うのよ」
「使えばいいじゃん。本当に使えたら友達になれるかもよ」
「そう、だから使ったのよ!そしたら先生にチクったの!本当にウザいわ」
「ふーん、使ったんだ」
「女子ってウザい生き物ね。仲間増やして、強くなって、協力して、私を虐めるの!RPGじゃあるまいし」
「必殺技は、悪口か」
「そう!RPGの職業で例えると、剣士はリーダーの子。剣士は近距離だし」
「弓使いや狙撃手は、リーダーの周りにいる奴らだな。遠距離攻撃だから」
「回復職はどうする?」
「男子だな、女好きの。守るんだよ女子を」
「おお!いいわね!てか、真面目にRPGできるじゃない!」
「そうだな。じゃあ、タイトルは『レディウォーズ』でどうだ」
「なんか某アメリカ映画のパクリな気もするけど、良いと思う!敵は魔女よね?」
「そうだな。女子メインだからガチャを充実させようか」
「そうね!男女なら考えにくいけど、女子のコスチュームって考えやすいし!その分、装備は少なめで」
「クエストをクリアする度、経験値とコスチューム貰えたら嬉しいよな」
「いいわね!BGMも充実にして……って颯太くん詳しいわね」
「これくらい知ってて当然の知識だから」
「私が颯太くんと同い年の時は、RPGなんて知らなかったわよ。颯太くんは大人ね、見た目はガキだけど」
「うるせえ、ガキって言うな」
颯太がそう言った後、音楽が流れた。
「あ、もう帰らないといけないね。じゃあね、颯太くん」
「じゃあな」
颯太は軽く手を振ると、公園を後にした。
静まり返った公園で、結由子はしゃがんだままだった。颯太が描いた絵を見た。
絵を見る限り、小学生だ。口はご立派だが。
「私も帰らないとなー」
結由子も公園を後にした。
小学生なのに知識量やばいな、とか思いながら書きました。
次回は颯太について書きます。