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【幕間】 魔王様 笑われる。

評価頂きありがとうございます。

今後もこの評価に恥じない内容で書いていけるよう、がんばらせて頂きます

プルルルップルルルッ


部屋にある念話器が鳴る。


通話先には【東の魔王】と表示されている。


「東のか、こんな夜更けに何の用です?」


「北の魔王が倒されたそうだ。」


「くっくっく、奴は4魔王最弱。

 奴がいなくなろうと、我らに何の不安も無いわ!!」


「いやお前、北のに勝った事ないだろ・・・」


「そっ・・・そんな事はない!!

 オセロとかモノポリーでは連勝中だ!!」


「ガチ戦闘では?」


「くっ・・・黒星もありますよ?」


「具体的には?」


「2回は勝ってます。」


「負け数は?」


「398敗・・・です。」


「で、さっきのセリフは?

 口調も違ったようだが?」


「すいません、言ってみたかっただけです・・・

 それで東よ、倒したのは勇者ですか?」


「それが判らんらしい・・・」


「判らんって・・・」


「北の領地で暴れまわっている人間が居て、『ちょっとしばいて来るわ~。』と言ったきり行方不明となったらしい。」


「行方不明って事は、結晶化してどこかに転がってるか、勇者に滅ぼされたかのどちらかですね?」


ピロリロッピロリロッ


念話器の端に着信連絡が入る。

表示名は【南の魔王】となっている。


「南の方から連絡が入りました。

 こちらにお呼びしますか?


「そうだな、頼む。」


「あら、東と連絡中だったのね。」


「南よ久方ぶりだな。」


「ええ、お久しぶり。

 その傲慢な言い方は変わらないのね。」


「そういう南もオカマは直らないな。」


「カマじゃねぇよ!!

 オネェ系って言えよ小僧が!!」


「南、口調が戻ってますよ。」


「あぁら、ごめんなさい。」


「それで、何用だったのですか?」


「そうそっ、聞いてよっ、北が行方不明になったみたいなのよ。」


「ちょうど今、東とそのことについて話をしていたのですよ、タイミングが良いですね。」


「あらまっ、私ったらナイスタイミングみたいね。」


「ええ、東との話では死んだのではないかと話をしたのですが・・・

 南は何所まで知っておいでですか?」


「そうねぇ、3魔将をつれて旅人にいちゃもん付けに行ったのが、北を見た最後だったらしいわね。」


「いちゃもんですか・・・

 東に聞いた話と同じですね。」


「あらまぁ、となると情報ソースは同じところかしら?

 東はどこからこの情報を聞いたのかしら?」


「・・・・・・」


「あら?東の?」


「いつものではないでしょうか?先ほど怒ったではないですか南よ。」


「あらまっ、ごめんなさいねぇ。

 漏れちゃったかしら?」


「・・・ひっぐ・・・もっ・・・漏らしてなんておらんぞっ・・・えぐっ・・・」


「南よ・・・東は小心者なんですから、あまり怒鳴ってはいけませんよ?」


「そう言われてもねぇ?東の口が悪いからいけないのですよ?」


「・・・ひっぐ・・・えぐっ・・・わ・・・我は、小心者じゃないのだ・・・」


「そうですよね、東は強い子ですよね。」


「そうよぉ~、男たるもの泣いちゃ駄目よ~。」


「なっ・・・泣いてないもんっ!!・・・・ずずずず~・・・」


「ええ、東はもう泣いてないですよね。

 後でお菓子を送ってあげますから、いつもの東に戻りましょうね。」


「えっ・・・ホントッ!?やったー!!

 あ・・・ごほんっ、そうだな南と同じ情報源かも知れぬ。」


「となると・・・新しい情報待ちでしょうか・・・おっと、少々お待ちください。


 ・・・・・・・あぁ、私です。・・・・・・ええ・・・・・・そうですか・・・・・ええありがとうございます。

 

 お待たせしました、新しい情報です。

 北の魔王の消滅は認められないが、連絡は取れない状態が続いているそうです。

 北は結晶の捜索を3日間続け、見つからない場合は北の役目を他の魔王にお願いしたい。との事です。」


「ふむ・・・勇者が生まれたのかも知れぬな。」


「そうねぇ、というか魔王を倒す存在なんて勇者以外ないでしょ?」


「そうです。

 人間が魔族に立ち向かうなど考えられません。

 立ち向かえるのは、神の加護を得た勇者とその加護を分け与えられた仲間のみですからね。」


「と言う事は、暗黒の時代が始まると言う事かしら?」


「暗黒の時代・・・我は・・・好かぬ。」


「私もですよ、東の。

 そもそも暗黒の時代は人も魔も神も忌み嫌うかと。」


「そうねぇ、私もあれは2度とゴメンだわ・・・」


「神も勇者など選定せぬば良い物を・・・」


「仕方ありませんよ、神の存在理由なのですから。」


「でものぅ・・・」


「今まで、勇者はごく潰しの飲んだくれ程度に与えてたのにねぇ?」


「神の代替わりとも聞いておりませんし、どうしたのでしょうか?」


「とにかく、我らは北の役目を引継ぐしかあるまい。」


「ストレスで肌が荒れないか心配だわぁ~」


「そうですね。

 では失礼します。」



プツッ




「ぶっ・・・・・・・あははははははははははっ。

 こ・・・これっ、本当?」


赤いドレスに身を包んだ女性が、傍らに控えている執事風の男に問いかける。


「ええ、残念ながら。」


「あの北がペット?

 しかもスライムってホントに?」


「間違いなく・・・何度も確認を行いました。」


「イイッ、これ良いわぁ~。」


「していかがなさいますか?」


「何もしないわよ?」


想定外の返答にも執事風の男は眉1つ動かさない。


「では、追跡調査も打ち切りに?」


「しないわよ?」


「さて?先ほどお嬢様は何もしないとおっしゃったのでは?」


「何言ってるのよ、あの北の魔王がペットなのよ?

 この先どうなるか気になるじゃない?」


かしこまりました、では追跡調査のみ行い、報告という形で宜しいでしょうか?」


「うん、それでお願い・・・あぁ、そうだもう1つ。」


「何でしょうか?」


「他の魔王に情報が行かないよう細工しておいて♪」


執事の額に一筋の汗が流れる。


「さすがにそれは難しいかと思われますが・・・」


「出来ないの?」


女性はにっこりと答えるが、目は笑っていない。


「・・・いえ、どのような手を使ってでも宜しければ。」


「じゃ、言い直すわ。

 どんな手を使っても構わない。

 あの男がペットとして快適に過ごせるよう、細心の注意を払いつつも他の魔王に情報が行かないようにして頂戴。」


「人員と予算は?」


「いくら使っても構わないわ。

 最高の娯楽になりそうだもの。

 国が傾かない限り最重要事項で処理してね♪」


「畏まりました。」


「じゃ、すぐに行って頂戴。」


「では、失礼いたします。」


執事風の男はきびすを返して扉から出て行く。


「はぁ・・・対外に使っている猫かぶりで臣下にも接してただければ、喜んで命を捨てる者が多くなると思うのだがな・・・」


呟きつつも、西の魔王の言う通りに処理していくのだった。

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