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次の季節まで

作者:

ただひたすら青い空は雲ひとつなく、どこまでも続いていた


今日は暑い


ぎんぎんと私を照りつける太陽を見て、暑くて溶けてしまうのではないか、なんて考えてしまうほどだ


そのせいか、先ほどから顔が熱い


少し、休憩しよう


水道の蛇口をひねり、そこから飛び出す水を頭からかぶる


ひんやりとした水は、熱くなった私の顔を冷やしていく


ああ、暑い


どうしてこんなに暑いのだ


声に出してみるが返事なんてくるはずもなく、ただただ太陽だけが私を見ている


蛇口から出ていた水を止め、顔をあげる


ぽたぽたと落ちる水滴は、コンクリートに吸い込まれていく


あっという間に乾いてしまったコンクリートに、夏だなあなんて声を漏らした


だが、そんな私の声に反応するものは何もない


ずっと続くコンクリートの一本道


その道から外れることはできない


こんな暑いのに、蝉の声もしない


車の走る音も、子供の笑い声もしない


私の前にあるものは、コンクリートの一本道とこの水道だけ


青い空はどこまでも続いていて、いつまでたっても青いまま


太陽だってずっとずっと、白く輝いている


最後に人を見たのはいつだろう


最後に物を見たのはいつだろう


最後に夜を見たのはいつだろう


私の髪を濡らした水は、まだコンクリートを濡らしている


この光景は、何度見たのだろうか


もう忘れてしまった


終わったはずの夏も、何度始まったのだろう


これは何回目の夏だろう



ぽたりと枯れたはずの涙が溢れた


ああ、私まだ泣けたんだ


止まってしまった足を動かす



次の夏はもう要らない


今度こそ、秋を冬を春を迎えてみせる


涙を拭い、私は前へ進む


次の季節を求めて

暑さにやられたと思ったら、こんなものができていました

閲覧ありがとうございました

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