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Imagination Frontier Online  作者: 樽の鳥
第1章 αテスト
6/6

裏側 3日目

度々レイ編に戻ります。

獣の遠吠えと、あざ笑うような木々の囁きが木霊する、夜の深淵の森。


それは、7匹目のグレイズリーを倒し、レベルが19に上がった後の事。


森の中に拓けたところがあり、その中央には巨木がずっしりとそびえ立っていた。


「森の闇に打ち勝たんとする冒険者よ。我こそ深淵の森の主。火の支配する山への道を開かんとするなら、我を越えてみせよ」


こもったような重低音で、声が響き、ボスイベント発生のため体が硬直する。


森に戻る為の道は周囲の樹木が急速に生え、直径20メートルほどの拓けた草むらに閉ざされる形となった。


中央の巨木に人面が浮き上がり、幹は太くなり、枝は伸び、葉は形を自由に変えている。


体の硬直が解けるとほぼ同時に、太い幹に支えられた枝が何本とギザギザ状の葉を引き摺りながら、襲い掛かってきた。


即座にジャンプで回避するレイ。何度も何度も襲い掛かる枝を掻い潜り、跳ねつつ、ステップを交え、巨木の顔面に近づいていく。


巨木の口が空気を吸い込むと、口から葉が大量に吹き出す。

『リーフブレス』高速な広範囲攻撃で、レイでもそれを回避する事は出来なかった。

体中を葉に引っかかれ、全身が真っ赤になる。一枚づつの葉は対した威力ではないが、

これだけ大量に食らえば、一発でHPを4割も削られる事になる。


枝が再び襲いかかり、左右からの見えない枝は避けるのが難しい。

レイはやむえず後退する。


「どうした。距離を置けば、ワシの思うツボぞ。」

モンスターに煽られてしまった。落ち着け。



仮にあのまま近づいたとして、恐らく奴に私の剣は、ダメージが通らないだろう。

何百と斬り続ければ、いつかは倒れるかもしれないが、それでは私のスタミナが先に切れる。

スタミナを切らさずに、長期戦をするパターンを構築できるか、それとも効率的にダメージを与える方法があるのか。


まず、レベル15で覚えたフロンティアスキル『トルネードスピン』体を超高速回転という単純な物。

発動している間は、空中で浮いていられるし、自由落下やステップのような動きも混ぜられなくはないが、スタミナ消費が更にえぐい事になる。


ジャンプ慣性落下と合わせて、斬撃スキルと合わせて、ジャンプ慣性+回転+スキル補正でかなりの威力だが、スタミナの消費が激しく、到底一発で倒れてくれるというわけには行かない。

グレイズリーですら、この最強火力連撃で倒れてはくれない。

手数で倒す方がスタミナ効率が遥かに良いぐらいだ。


弱点はどうだろうか?

恐らく火が弱点なのだろうが、火どころか風の攻撃魔法すら一つも覚えていない。


18レベル時点で、風魔法は二つだけ。

風を一瞬纏う事で攻撃を風圧でガードする『ウィンドガード』と落下速度を一時的に遅くする『エアグラインダー』。


風圧。。。ちょっと試して見るか。


遠距離から枝を避けていたが、またジャンプと空中ステップを駆使して、徐々に主に近づいていく。


「また、食らいたいのかっ!リーフブレス!」

一定の距離に近づいたところで、吐かれた息から再び大量の葉の舞がレンを襲う。


「ウインドガード!」

葉の舞の中で、レンを包む風圧は葉を押しのけ、人面の両目に向けて、剣を一本づつダイブスラストを無サポート発動し、貫き放つ。


「グガガガガガァアア!!!!!」

「やってくれおったな、だが視界など飾りにすぎん。大地が貴様の居場所を教えてくれるわ!」


両目を潰し、そのまま至近距離で、色々な場所に剣を斬り付ける。ほぼダメージは通っていない。

葉を吐き出す口の中が気になるが、さすがに口の中で葉は吐かれれば、ウィンドガードの風圧で守りきれない恐れがある。


枝と幹の巧みな連携攻撃で、回避するために、少しづつ距離を置かざるを得なくされている。

思考する時間を稼ぐために、広場の外周まで距離を置く。


枝の精度は、目を潰す前と変わっていない。やはり視界は、飾りだったのだろうか。


それより、葉を吐き出す口の中の構造はどうなっているのだろうか、あの葉はどこから?

ゲームだからどこからともなく沸くというのもありだが。。



良く観察すると枝が巨木の上に集まっては、幹の中に枝を突っ込ませている。

出てきた枝からは葉はなくなっている。

つまり天辺から葉を幹の中に補充し、蓄えていると推測できる。


レンは、ニヤと薄気味悪く笑うと、枝の攻撃を枝の上に乗り避けて、枝から枝へ飛び乗り、30メートルはあろう巨木の天辺に飛び乗った。枝も攻撃を繰り出してくるが、空中の敵を捕捉できないのか、枝の攻撃が狙いが甘い。


案の定、木の天辺から下に向け穴があった。レイは、そこに思い切って身を投じた。


溜まった葉に体が擦り辺りHPがみるみる減っていく。

HPも落下ダメージだけで死んでしまいそうな分しかない。

このまま落ちれば口から吐き出されるだけであっただろう。




「フロンティアスキル『トルネードスピン』を発動します」


レンは、自由落下していくことなく、主の体内で回り始めた。

ミキサーのように双剣を主の体内で、回り斬る。


双剣は、真っ直ぐ伸ばされ、回転そのものが斬撃となり、

主の体内を絶えずえぐり削る。


「グオオオガガガオオオン!」

「やめろ、ヤメロ、やめロォオオオ!」


主が大きな断末魔を上げる共に、レンはそのまま主の体の中でストン落ち、

垂れ下がった口からぬるっと滑り落ちていく。



派手なファンファーレが鳴り響く。


「ユニーク級エリアモンスター『深淵の主』を踏破しました。

『深淵の主』初踏破により、フロンティアアイテム『深淵の魂』を得ました。

リレーション『トレント族との親和』を得ました。

ユニーク級アイテム『主の葉』x 24を得ました。

ユニーク級アイテム『主の枝』x 14を得ました。

ユニーク級アイテム『主の幹』x 1を得ました。


深淵の主の難易度が下がります。

『業火に包まれた山』への道が開きます。


レベルアップ!23レベルになりました。

双剣斬撃スキル『シザーズラッシュ』を覚えました。」


レンの視界にそのシステムメッセージが流れると、そのまま深い眠りに落ちていった。

これで初回書き上げ分は終わりです。


自分自身が楽しみながら書きたいので、特に更新の予定立てておりません。

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