裏側 1日目
裏の主人公『レイ』編です。
表側と交互に書いていくつもりですが、飛ばす可能性もあります。
基本こちらは暗くシリアスで、最強で、どこまでも厨二です。
「レイ様、おめでとうございます。ユニーククラスの創造に成功しました。
『アクロブレイド』のフロンティアプレイヤーになれますが、ご利用になりますか?」
ニヤっと口を横に広げ笑うと、レイと呼ばれたプレイヤーは、おもむろに「はい」と念じる。
「一応説明を先にさせて頂きます。。。」
と申し訳なさそうなガイダンスが響く。
「レイ様は、ご自分で創造されたクラスですのでご存知でしょうが、確認までに申し上げます。
アクロブレイドのコンセプトは空中戦が得意な剣士です。
筋力は、純粋な物理近距離アタッカークラスに比べ低く、体力も低めですが、空中での身体制御が優秀で、高いジャンプ力から繰り出す一撃はやや低めの筋力を補うのに十二分です。
スタミナは低くはありませんが、特性を活かすためには飛んだり跳ねたりとスタミナを消費するモーションを挟むので、長期戦を得意としないでしょう。
又、申し訳程度ですが、防御系の下級風魔法を覚えます。」
「もういいよ。分かってる。」
レイがその冷たい声を響かせると、ガイダンスは止まり、粒子が一箇所に集まっていく。。。
登れないように設定された高さの教会の屋根の鐘の横には、一人の剣士の影があった。
レイは、教会の天辺の鐘の横から夕暮れの街を眺め、顔を涙で濡らしていた。
「奴らは絶対に、ここに来ている。」
「母さん、父さん。」
そうっとただ一人呟く。
翌日、教会の鐘の横で一夜を明かしたレイは、ショートソードを一本購入し、街の東へと向かった。最期に見たNPCの衛兵は、危険を呼びかけたが双剣を背負った剣士は、振り返りもせずに森に消えていったという。