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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

壁。

作者: 鷲見怜祇
掲載日:2026/02/03

*本作品は刺激の強い言葉を含むため、お読みになる際は注意の程をよろしくお願い致します。

*決して自殺や死ぬことをを推奨するものではありません。

*この作品は全てフィクションです。

散歩から帰ってきて、家の玄関に入る。ズボンのポケットからスマホを取り出して、立ったまま友達との会話を振り返る。

そうしていると、私は首輪をつけられてスマホに飼われてる気分になる。ごめんなさい、また見てしまった、と神に懺悔する。我ながらとても大げさだと思う。家に上がったら、キッチンの戸棚からティーパックとカップを取り出して、お茶を淹れる。椅子に座って、飲む、味わう。頭の中で行動を分解していって、一つ一つの行動には意味があると再認識する。私はそう思って生きてきたが、どうも一生涯ずっと無神経に生きる人間も、この世にはいるらしい。私の人生は無駄になってきたので、まもなく終わりを迎える。その終わりに近づくにつれ、私は無神経な生き方を選んでいく。人生、ロッカー、ネクタイ、額縁、情緒、どれも糞。そして私は糞じじい。淹れたお茶は熱を保持している。そしてそのお茶はもう用なしだ。お茶をシンクに捨てる。ちょっと湯気が立つ。顔を上げて天井を見つめながら、ふいに、この後シャワーを浴びるのが面倒くさいと思った。

まったくの他人が使っていた風呂場に入りたくない。理由にはならないけどそれを言い訳にする。

寝室にあるベッドに寝っ転がって、またスマホを見る。ショート動画を2,3本見てすぐスマホを置いた(床に落っことした)。ゴトン。まあこんなのは気まぐれみたいなものだが、理由と言えばその数本の中に警察関連の動画が出てきたからだ。最近流行っているショートドラマである。役者が警官を演じ、違う役者がスーパーの万引き犯を演じている。パルクールのような逃走劇が展開され、結局警官は犯人を捕まえて、物語はハッピーエンドとなる。それは多くの人にとっては善いことだが、普通に考えて私にとっては好いことではない!ははは。こうやって人のふりをしてみたのよ、気味が悪い妖怪みたいにねん。だからつまり私にとって嫌なことではないのだ。私は矛盾しているんだ。この矛盾は私が死ぬ時まで消えないだろう。なぜだか急に、私の頭の中には薄っぺらい演技や、足のサイズが合わないパカパカな靴が思い浮かんだ。陰鬱な気持ち、

ああ早く死にたい。      


目を閉じてみるが、寝ることはできない。他人が使っていたベッドだからだ。

私は昨日の自分を思い出していた。何もかもがどうでも良くなっていた自分を。

昨日までこの家には老夫婦が住んでいたが、私は自分を清掃業者だと言って、彼らがドアを開けたと同時に押し入って、それっぽく金を要求した。罪悪感は不思議となくて、この時が一番生きている心地がした。

というよりかその心地を思い出した。

静かに、荒立てずに、セリフだと感じさせないように振舞った。老夫婦は二階の、今私がいる寝室に逃げた。彼らはドアの前に戸棚か何かを置いて、容易に入らせないようにし、立てこもった。私は一切顔色変えずにドアの前で彼らが出てくるのを待った。なぜそうしていたのかは覚えていない。考えたくない。今の私にとっては理由なんてどうだっていい。この時は気分が穏やかだった。なぜならこの次に老夫婦が刃物を持って私にとびかかってきても、驚かないし、警察に通報されても恐怖心は湧かない。ドアに寄りかかり、座り込む。30分ぐらいして部屋の奥から物音がするなと思っていたら、突如悶え苦しむうめき声が聞こえ、それは静寂へと変わった。

私は彼らのことが気になり、勢い良く突進してドアをこじ開けた。なぜ最初からそうしなかったのかは分からない。中には首を吊った老夫婦の死体があった。遺体はそのまま放置している。彼らが死んだ最大の要因は多分、私ではないし、思いつめることはない。そうやって自分に言い聞かせた。推測すると、彼らは孤独で、お金に困っていて、他にももろもろの理由で、死ぬ準備が整っていたのかもしれない。それから私は、糞みたいな生活を送っている。散歩をして、コンビニ弁当を買って食べて、テレビを見て、、、、。今私は自分が持つ感覚を閉ざすように心がけている。何も考えたくないのと、死体の腐敗臭を意識の中にいれたくないからだ。

もう未来なんて妄想したくない。私は自分の人生をゴミ箱に捨てたい。

私は人生のミニマリスト。

それに私は異常者ではない。


考えながら寝落ちしたのだろうか、気づいたら翌日になっていた。最近はぐっすり寝れたことなどなかった。

私はリビングに降りる。

なかなか大きい画面のテレビ、座ったらボフっと音がする、濃い茶色の年季の入ったソファ。

そこに座りながらリモコンでテレビをつけても、もう何も思わない。

洗練されてはいないが、どこか落ち着く空間。この部屋を漂う空気が、私にとって最期の朝の風景だと感じさせた。昨日コンビニで一応朝食用に買ってきた弁当を、食べる。必然的に味がしない。私は未完成なのだ。

何事にも目を背けているわけでもなく、直視しているわけでもない。私の感情はそんな曖昧な地点にいた。

だんだんと私が並べてるこの文章も、霧みたいに味気がなくなってきた。

そう。自分はこの世から霧みたいに消えるか、それとも世界に火炎放射をして、そこに焦げ跡を作ってから焼死するか。

ああ、こんなことを考えていると周りの空気がムンクの叫びのように曲がりくねってきた。

熱い、熱い。

さっきまで落ち着いていれたのに、また心が不安定になってきた。

このループなのだ。これは病気だ。

最後の朝ぐらい平静でいたい。

このまま塵となる身として、今までの人生の変遷などあえて思い出さない。

果たして本当に不幸は幸せの反対なのか。

哲学なんてごちゃごちゃしてて、良く生きた人にしか分からないものだと思う。

だから私は死ぬ!嘘なんて言ってないぞ。今からだ今。あああ!

今確定させるために突発的な判断をすることを選ぶ。

まずあと10分で死ぬ。

それまでに準備を済ませる。終わらせてやる!

10分だ。

それまでに死ぬんだ、壊れるんだ。

私は時計台を思い出した。

私の記憶の片隅にある古びた時計台を。

それはいつも町のシンボルであって、ひらけた広場に設置されていた。

子供の頃その高いてっぺんと、その奥の大きな空を見上げて、自分のちっぽけさを感じていたっけなあ。

そんな記憶を漂っている内に、その時計台がある日突然動かなくなってしまったことも思い出した。

そのことを新聞で読んで知った後、学校に行く途中で広場を通った時、私は時計台の時計の部分が白い布で覆いかぶされているのを目撃した。

別に大した話じゃないかもしれない。実際に大した話でない。ではない。って言ってんだろ。

ああだからこの話は



こんにちは。

私はなんちゃんといいます。

コーヒーが好きな女、16歳です。

文章はここまで書きました。

遺書にしてもいいな。

ここからどうしようかな、って今悩んでいます。

もう死にます。

さようなら。

美しく。


この度はお読みになってくださって誠にありがとうございます!

感想などをどうぞよろしくお願いします。

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