ゲームだから
戦の足音
俺は妲己のレベリングを行っている。何せレベルが1からビタイチ上がっていないという事が判明。
後衛職の弓が武器であるらしく、俺が前衛で敵を足留めし、妲己が倒していくということを繰り返している。
初めは害獣駆除から始めたのだが、これがなぁ。リアルスキルが物を言う事で、中々あてられない。武蔵の異常さが良く分かるという物だ。あいつはサバゲーやっていたらしいから、ある程度慣れがあったとは言え、最初から害獣に玉をあてられていたからな。
妲己は、それはそれは大変だった。
弓を引くところからダメダメだったからな・・・
奉行所で何とかならんかと思って聞いてみたが、頑張れ!だけだったのには驚きを禁じ得なかったわ。
田原さんに師事して(田原さんがあんまりだと、口を出してきた)弓の取り回しを修得。その後は動かない的を射貫く練習を繰り返す。
弓矢って基本使い捨てだから金がかかることよ。武蔵も金が~と叫んでいたっけなぁ。ランニングコストかかりすぎるが、威力のある種子島は、まだ許せたんだろうが、弓矢はなぁ
妲己に弓はやめとけと言ったが、聞き入れやしない。ザ・反抗期でもあるまいし。
芯の強い子だからなぁ。仕方ないのか。誰に似たのやら。
そんなことはどうでも良く、弓に慣れたからと、害獣駆除に行ったが、俺の背中に何本も中る。
地味に気になって仕方が無い。戦で、もし後からの弓矢を気にしないといけないとかになると、気が気じゃ無いぞ。本当に。
そうして、妲己の弓修行が何とか形になり、背中に中る事も無くなって、レベル上げをやっていくうちに、妲己から、レベル上がると補正がかかったみたいに、ドンドン中るようになった!と喜んでいた。
おそらくはステータスが上がったことで狙い安くなったって事だろう。
正しく成長をしていくんだなと他人事のように思ったものだ。
そして、レベルも上がって自信がついたからと、パーティーを自分で見つけて依頼をこなすようになった。
うん。娘の独り立ちにはくるものがあるな・・・
涙が零れそうになる。嬉しいからだぞ?言っておくが。
「パパ!大問題!」
突然俺の所に駆け込んできた妲己
「どうした。」
「弓部隊が不味いかもだよ!」
「どうした?」
「ある程度は出来る人達ばっかりなんだけど、集団になると、どこに矢を放てば良いか混乱しちゃって、適当に矢を射かけて、中ってとお願いします!って言ってるのよ!」
え、それは間違ってないぞ
「弓矢で弾幕を張るんだから間違ってないだろ?」
俺が怪訝な顔で言う
「何言ってんのよパパ!いい?私達は狙えばあてられるんだよ?
言ってみれば那須与一が沢山居るんだよ?
それを矢をばら撒くだけなんて勿体ないじゃない!
だから、私、思ったのよ。三段撃ちの要領で、弓隊も運用したらどうかなって。」
ふむ。一考の価値ありだな。
「妲己、ついてこい。黒田君にそれを言って、運用の変更やらなんやらの話をするぞ。」
黒田君はどこにいるんだろうな。色々と丸投げしているからなぁ。
「お、いたいた。黒田君話があるんだが、いいか?」
「これはこれは殿、ようこそおいで下さった。書類の山を前に逃走されて、いずこへ行かれたのかと・・・」
あ、はい。すいません。
「パパ、ゲームの中でも、仕事してるの?大変だね。」
人事と思って、言いたいこと言ってるな。
「おぉ、ご令嬢にも手伝って頂けましたら直ぐに終わりそうですな。
奥方様、御子息も来られれば、更に書類仕事が早く終わりそうですな。」
冷淡に黒田君が言ってのける。
妲己の顔が引きつっているが、一族と認識されてしまっては逃げる事はできんだろうな。ご愁傷様とだけ言っておいた。
「そっちはいいとしてだ、弓兵の事で妲己から、面白い案を聞いたんだが、いいか。」
真面目な顔をして伝える。
「ほお、それは興味が有りますな。一体どの様な事で御座いましょう。」
さっき妲己から聞いたことを黒田君に伝えると、腕を組んで上を向き、目をつむり考え込んでしまった。
「那須与一が一部隊。これをどう考えれば良いか。
もしかするとこの先の戦では、その様な部隊が現れる可能性もあると言うことですからな。
我が軍が、その様な部隊に当たると考えると頭が痛い事でございますな。
とは言え、今その話を聞けたのは僥倖でございますな。
妲己様の言うような運用が、1番効果を発揮するでしょうな。
種子島よりも連射と殺傷能力が高いとなると・・・」
また考え込む。
「あ、でもね、弓適性がある異邦人って少ないって思うよ?
私を含めても50人いるかいないかだから。」
「で、あれば、50人で二列でいいでしょうな。他の弓兵は従来通りに弓で弾幕を作りつつ、敵の武将を狙い撃ちにするという運用が正しいでしょうか。」
黒田君の頭の中で机上戦が行われているんだろうな。
「弓兵全体が狙撃出来ると思うとゾッとしますな。」
俺もそう思うよ。
「そういうことだから、運用も含めて考えておいてくれ。」
そう言って、俺と妲己は黒田君の所を去ることにした。
「ねぇ、パパ。戦ってどこと戦うのよ?」
あ、そういえば娘は今までの事が分かってないからな。
「朝倉郡を平定するための戦だ。秋月家に臣従していなかった土豪やら郷士やらが、まだうちに降ってないからな。
降伏勧告はしてるんだが、降ろうとしないから攻め落とすしか無い。」
「そうなんだ~。ママに聞いてたゲームと同じととても思えないよ。」
「ゲームの話はするなって言っておいたに・・・」
「パパとするなって事でしょ。私達にまでそれを押しつけるのは違うと思うな。」
「それで、今の状況になってるわけなんだがな。これを回避したかったんだが、それについてはどう思うんだ?」
妲己は聞いてないふりをして、どこかへ逃げていった。はぁ、こんなもんだよな・・・
ここは城の広間。今から出陣前の評定を執り行うところだ。
「今まで降伏勧告を繰り返し行ってきたが、降伏しない奴等を全て切従える。意見のあるものは、忌憚なく言って欲しい。」
「こちらとしては、今まで譲歩に近い形で降伏を進めていたにも関わらず、聞く耳を持たなかったのだ。攻め滅ぼされても致し方なかろう。」
田原さんが言ってのけると、その通りだと追従する鹿毛、戸端の家臣達。
「じゃあ、軍の編成をしちゃおうよ。早く街道整備して都よりも栄えているちいきにしちゃおうよ。」
桜花は相変わらずの町作りシミュレーションを楽しみたいようだ。
「そうですね。今までやった模擬戦、机上戦の成果を出したいですね。」
常清は戦が待ちきれないといった様子だな。
見渡せば、皆がやる気に満ちている。
「よし!部隊を編成し終わりしだい出陣する!」
応!と皆が言いながら拳を床に打ち付けている。
気合いは充分。準備も万全。
地方統一は目前だ!気合いを入れて行くぞ!
面白いと思われたら、ブックマークして頂ければ幸いです。
また、いいね。評価もしていただけたら執筆の励みになりますので、よろしくお願いします。
感想も頂けましたらありがたいです。
よろしくお願いします。




