ゲームだからこそ
昔を思い出す事がある
河童はおわった。次は鬼に行ってみるか。
桃太郎もお供を三匹連れて鬼ヶ島に鬼退治に行ったんだから、丁度良い。
だが、雑魚敵も出ず、討伐対象の妖怪が数匹だけってのはプレイヤーから不評なんじゃ無いのか?
それともやっぱり俺だけが、こんな風になってしまっているのか?
そんなことを思っていた時期もありましたよ。ええ、俺の受ける依頼はフラストレーションが溜まるだけの、お使いクエストと一緒だと。
だがしかし、今回の鬼退治はいいぞ!本当にいいぞ!
何が良いかって?敵がわんさか出てくるって所がいい!
今まで受けた依頼はどれもこれも単発勝負が多かったからな。
鷹牙も鷹羽も斑も次から次に出会う敵に、突撃を繰り返して楽しそうだ。
俺も子鬼を切りまくっている。
これこそが正しいRPGだろ!今のゲームは知らんが、昔のゲームはこうだった!
血湧き肉躍る戦いの連続。謎を解き明かし、ダンジョンを攻略し、時にはロマンスがあり、チェーンクエストをこなしていき、最後の目的であるラスボスとの戦い。
これが王道という物だろう。
とはいえ、ネトゲではエンディングは用意されていない物も多く、俺はいつしかエンディングの無いゲームから、足が遠のいてしまっていた事を思い出す。
1つの1つの依頼を消化していき、どこまで自強に費やせるかって事だけを追求することが是とされる事に疲れてしまったあの頃を
思い出すとアレだが、やはり良い物だなと感慨にふけってしまう。
「鷹牙、鷹羽、斑も疲れてないか?少し休んで体力を回復させることも必要だぞ!」
三匹の返事は、寝転がるという行動で答えてくれた。
俺地面に腰を下ろし休む。
ふと、視線の端になにかが出ていることに気が付く。
左上に名前と体力ゲージとスタミナゲージが表示されている。
あ、武蔵が言っていたスタミナが減っているのが見えていたとはこの事か。
自分の名前の下には三匹の体力ゲージとスタミナゲージが表示されている。
これ、もしかして今までも出ていたのか?
こんなに分かりやすかった物に、気が付かない俺っていったい・・・
少し凹んでいる。
徐々に回復するスタミナゲージ。体力も回復しているようだが、スタミナゲージの回復するスピードには到底及ばない。
今までが一発勝負だったから、あまり気にしなくても良かったともいえるが・・・
今俺達が居るのは、山の中で少し開けた場所。
山の中の洞窟に鬼が住み着いて、近隣の村を襲っているから鬼を討伐して欲しいという依頼を受けている。
いや、どうやって鬼が洞窟に住み着いたのか、誰が調べたんだよってツッコミを入れても、ゲームだから。
で、終わらせられてしまうのだろう。
休憩を終わらせて、出発するぞと、三匹に声をかける。元気になった三匹は嬉しそうに、ワチャワチャしながらついてくる。
どのくらい歩いただろうか。粛々と洞窟を目指して、木々が生い茂り、先の見通しもつかない、獣道を進んでいく。
時々、猪や鹿が顔を出すが、子鬼がパッタリと出なくなってしまった。
道を間違えているのか不安になってくる。
鷹牙、鷹羽、斑も少し疲れて来ているようで、ワチャワチャしていたが、黙々と歩いている。
また休憩をと思っても休めるような場所が出て来ない。
少しでも開けている場所でもあれば良いのだが・・・
この疲れている状態で子鬼が出てくると辛いなと思っていると、複数の子鬼が現れる。
道は狭い獣道。側には木が生い茂り、刀を振るうスペースが無い。
おまけに従動物三匹は俺の後にいるために、前に出てこられない。
複数の子鬼だが、あちらはあちらで散開してこちらに向かってくる事が出来ずに1体ずつ向かってくる。
刀で突いているだけで勝手に倒されてくれる。
何となくだがハメ技を使っているような気分になる。
え?ハメ技を知らない?嘘だろ?ハメ技とは自分が一切の攻撃を受けること無く、相手だけにダメージを与え続ける技の事だ!
昔はハメ技を探したりと燃えた時もあったな。
そんなアホな事を考えて、突いて、突いて、突いて、突いて・・・
どんだけ出てくるんだよ!次から次に湧いてくる。
無限湧きじゃないよな?これ?
え?無限湧きを知らない?
えっとな、昔のゲームでは、一定条件で敵が無限に出没してレベルアップし放題なんてゲームもあったんだ!
ハメ技+無限湧き=無限レベルアップ
という公式がなり立つのである!
美味しい。そう、テレビ画面越しであれば、滅茶苦茶美味しいのだが、このゲーム、スタミナが存在する。
スタミナが切れればやられるのはこちらだ。左上のスタミナゲージに注意をはらって、引っ張れるところまで引っ張るか、どこかで引いて、さっき休憩した所まで戻り、またここに来て、ハメ技が出来るか検証するのも良いな。
最近はレベルアップ出来ていなくて、桜花や常清、武蔵にかなり置いて行かれているし、もっと言えば壚にすら抜かれてしまっている。
実は配下達よりもレベルの低い君主だという不本意な事になっているわけなので、是非ともレベルが上がらなくなるまでハメ技を続けたいと思っても仕方が無いと、俺は思った。
これは技であり、チートでは無い!断じてない!運営との闘いに勝ったのだと、声を大にして言いたい!
と、言うことで、三匹に逃げるぞ!っと声をかけて逃走に移る。
途中で何度か振り返り、追ってくる子鬼を倒していく。
広場まで子鬼が繫がってしまっては、たまったもんじゃないからな。
何とか無事にさっきの開けた場所に戻ってきた。
休憩し、スタミナゲージも回復。
ステータス画面を確認すると、レベルが1上がっていた。
うん。経験値が美味しくないとは思っていたが、渋すぎる・・・
いや、突くだけだから、力を抜いて相手が飛び込んでくる力を利用して行けば、スタミナの消費を抑えて、かなり良い狩り場になるんじゃなかろうか。
再度、先程の場所まで進み、子鬼が出てくるのを待っていると、出て来たのは子鬼では無く、鬼に変わっていた。
まさか、これはレベルに応じて相手のレベルも調整されるのか?
なんと!これは嬉しいではないか。ご馳走だ!
俺の顔は今、どんな顔をしているんだろうな。
きっと嗤っているんだろう。広角が自然と上がってしまう。
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