ゲームだからこそ
模擬戦
平城で堅城ではないが、野戦と攻城戦への移行等も見ることが出来るだろう。
今回は2500対2500での戦をやってもらう。
ルールとして、サバイバルゲームと同じで、死亡判定が出た者は速やかに戦場から離脱すること。
火をかけることは禁止。
投擲武器の使用の禁止。
弓矢は戦端を丸くした物を使用する。
刀や槍の刃には布を巻く事。
以上。
その他不測の事故が起こった場合は、速やかに戦闘行為を中止する事。
本来であれば有り得ない条件だが、俺が見たいのは、用兵の所だ。
異邦人が、現地人とどれだけ足並みを揃えられるかってところにつきる。
戦は集団戦だから、個々の強さは求めていないからだ。
俺の合図で模擬戦が始まる。
先に仕掛けたのは、防衛側からだった。
部隊を5つに分けているようだ。
野戦なんだから、大軍対大軍でも良さそうなのに、5つに分ける意味が良く分からないが、注視するとしよう。
5つに分けた理由が、直ぐに分かった。
陣形をつくって待ち受ける攻撃側。
部隊を分けることで小回りがきくので、ヒットアンドアウェイを繰り返す。
かたや、部隊分けをしていない為に完全に受けに回っている攻撃側。
見ている俺からしたら、なんで、個々に対応しないんだって思った。
そうこうしていると、攻撃側の1部が崩されると、戦局が一気に防衛側に傾く。
各個撃破をすれば良かったはずの攻撃側が逆にどんどん、削られて行き、あっさりと勝敗がついてしまった。
同数の勝負なのに、ワンサイドゲームになってしまって、これは一体どういうことなのか。
模擬戦は攻守を入れ替えてやるつもりで有ったが、これだと、同じ様にワンサイドゲームで終わる可能性が高いと感じている。
ここは、大将同士を呼び、話をきく必要があると思った。
「黒田君お疲れ様。まさかこれほど差が出るとは思わなかったぞ。攻め手の大将の田原にも話を聞きたい。」
大将に兵を率いたことがある人って事でこの2人に模擬戦をやって貰った訳なんだが・・・
「殿、我は特に奇策があったわけではありませぬ。単純に速攻で相手を煙に巻く事を考えておりました。」
にこやかに黒田君が言うと
「対処しようと思ってましたが、どこから手を付けるか考えているうちに、あっという間に終わってしまいました。」
「2人が思う、軍の差がモロに出たって感じだな。」
「そうですな。拙者は一塊になって、相手を蹂躙、そのままの勢いで城攻めにと考えてござった。
が、しかし、相手は5つの部隊でこちらに打って出た事に、各個撃破されたいのか。と思いました。
狐につままれるとはこの事だと思いまする。」
田原さんのデカい体を小さくして、面目無さそうにしている。
「一塊になって行くこと自体は間違っておりませんよ。ただ、今回は色々な条件が重なった結果と見るべきと我は愚考するわけです。」
運が良かっただけとでも言いたげな黒田君。逆だと思うんだけどな。
「まず、命令系統が1つである軍に対して、命令系統を大まかな物を作り、その後は自己判断で動いて貰うってだけなんです。」
「すると、あの5部隊はそれぞれ独立した部隊ということか。」
「そうです。」
「しかし、今回はうまくハマったが、次が同じになるとは思えんな。」
黒田君はニヤ~と、笑い
「そこをうまくいかせるのが我の得意とするところなれば。」
うん。こいつは敵にまわしてはいけない奴だ。
「とはえい、やられている方が言うのも何ですが、落ち着いて対応して居れば、このような大差にはならないと思うのだが・・・」
話を聞けば聞くほど納得が出来ない様子の田原さん。
「今回の戦で、我がやったことは少ない。何をやったかと言えば、隊長、部隊長、大将に他の軍を見て動けって事と、命令が来たら、即座に従うこと。それだけです。」
「なんと、たったそれだけでござるか!」
目を大きく見開き言葉が出なくなっている。
「あ~、何となくだけど、小さい部隊に完封されてしまったって事だな。
対処しようとしたが、指令が間に合わずに、後手に回った事で、各個撃破をしたい方が各個撃破をしたって事なんだろう。」
黒田君はウンウンと頷き、田原さんは、ぐぬぅって言っている。
「あ、そうだ。足軽はちゃんと統率が取れそうか?」
異邦人が足軽で参戦しているから聞いてみた。
「そうですな。役割を明確にしておけば、機能するかと。
ただ、想定外のことが起こってしまうと、動きが鈍くなってしまう危険もあります。
そうなっても我が伝令を出しさえすれば、また普通に動けるようになるかと。」
人の言うことなんか聞けるかってタイプの奴等が多いと、また違った結果になったかもしれないな。さいわい言うことを聞かないタイプの異邦人が少なかったと言うことかな。
負けた側も、良くも悪くもスタンドプレーをして戦局をひっくり返そうとする者が居なかったって事だろうな。
それはそれで、どうなんだって事なんだろうが。
「今回はこれで中止にして、足軽達からも意見を出してもらおう。
はじめての試みだからな。」
見ていての所見だが、動きの鈍い攻撃側、活発に動けていた防御側。防御側の方が、こうするんだ。という意思が感じられたが、攻撃側は防御に回った途端に、何をしたら良いか分からなくなり、瓦解したって感じ。
俺達10人は参戦せずに見守るだけにしていたんだが、これは誰か参戦させておくべきだったかも知れないな。
これが、アフターフェスティバルってやつか。
攻撃側から見たら、本番じゃなかったから良かった。
防御側か見ると、防衛だがしっかり対応すれば、返り討ちに出来る実力があると、自信になって良かった。、と、いったところか。
実際に足軽で戦った異邦人の話を直接聞ければ良いんだが、人が多すぎて、全員に聞けない。
観戦していた桜花たちから言わせると、無双しても良いんだから、ガンガン行かなきゃ!ってのに対して、常清が、命令無視を許すと、ただの愚連隊ですよ。と訂正に走る。
駿河君達は、傭兵団のイベントの時と全く違うと言って、今回の模擬戦では、不思議な感じが残るが、戦していたって言っていた。傭兵団はレイド対レイドって感じだったそうだ。根本的に違うと。
武蔵はちょっと考えてから、異邦人のみの部隊は作らない方が良いかな。と言うと、帯刀さんが、それは独断専行を許すことになるからでありますか。との言葉に、そうなるね。とだけ答えていた。
「今、皆が言っていることは分かる。今回が初の戦にならなくて良かったと心底思うわ。」
「もう、模擬戦ってレベルじゃなくて、ただの部隊運用の練習を見せつけられたって感じですからね。」
常清の言う通りだ。逆に考えれば、いい結果を出していると考えられなくもないが、考えられなくもないが、楽観的になる事が俺には出来ないらしかった。
後日、模擬戦に出ていた異邦人からの意見が集約されてきた。
攻撃側と防御側では、180度違った事を感じたようだ。
攻撃側意見の多くは、何をしたら良いか分からないうちに終わっていた。まさか防衛することになるとは考えていなかった。命令が無いから勝手に動いて良いか分からなくなって、隊長のに、どうするか聞くと、逆にどうしたら良いか聞かれた人までいたとか。
防衛側は、守備に徹するかと思ったら、いきなり攻撃側の陣を攻撃するって聞いてビックリしたが、どう動くかは、部隊が最良と思うように動いてもいいが、役割について、大将をはじめ、隊長まで作戦の詳細、うまくいっている時と、膠着したとき、退散する場合にはと、細かく動きを決められていたから、悩まずにすんだ。
これ、本当にガチでヤベーやつだったわ。自分で考えて動いてもいい。むしろ動いてねって感じで黒田君は作戦の詳細を伝えたと思うんだよね。
結果、何も起こりませんでした。だからな・・・
軍を機能させる事の難しさって所だな。
ヒャッハーしてれば良かったんだが、そうじゃなくなってしまったな。
それはそれで悲しいものがあるな。
次回はもう少しまともな模擬戦になって貰うように、鍛錬あるのみだな!
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