ゲームは楽しむ物
補償はいらない
受付嬢に案内された部屋には正座して待っている金さんがいる。
「この度は戦の仕様を変えておりました。申し訳ありません。」
何の事だかさっぱり分からないぞ
「実は戦の仕様が相田様だけ変更されておりました。
隊長、部隊長、武将、大将は戦に必要は無く、配下NPCも隊長を任せられる仕様でしたが、プレイヤーのみが隊長等にならないと軍が動かせない仕様に変更致しました。」
つまりは戦に人は必要なかったと?
「あれはあれで秀逸なシステムだと思うぞ?
人が居ないと戦が出来ない。少し戸惑ったが当たり前の事だからな。」
俺が言ったことに驚く金さん
「え、戦の仕様がそんなによかったですか?ですが、あのシステムですと戦を起こすのが困難だと言うことで、少数のプレイヤーでも戦が行えるように仕様変更したのですが・・・」
最後は戸惑ったように言う
「だが、人が居なければ、戦の後が大変だぞ?そもそも誰に領地を任せるんだ?
プレイヤー領地に統合しても良いが、それでも人数が居ないとどうしようも無いだろ。
直ぐに限界が来てしまうと思うんだが?」
金さんは考え込み
「確かにその通りではあるんですが・・・戦をまずは楽しむ事を優先させておりますので・・・」
後から
「話の最中に横から失礼します。僕達も今回の戦システムの方が、より楽しくなると思います。実際にやってみて面白かったですし、命令を聞きすぎる足軽はちょっとどうだろうな?ってくらいで後は大満足でしたよ。
勝った後も余韻に浸れるくらいにはです。欲を言えば、もっと戦らしい戦がしたかったですけど。
あのドキドキ感は他じゃ味わえませんよ。」
今野君の言うとおりだな。楽しかったからな。
「そういうことだ。で、補償は金子だったんだろ?」
金さんが頷く。
「ですが、あの程度では補償になるかとも思っておりまして。」
「いや、補償はもう必要ないぞ?戦についてだけならな。」
「と、仰いますと?」
「俺の領土でなぜ仕官が出来ないんだ?」
ん?という顔をする金さん
「いえ、仕官が出来ないのでは無いです。」
「ではなぜ仕官先に相田が無いんだ?」
「奉行所に仕官の依頼を出されましたか?」
「出そうとしたが却下されたぞ?」
「却下?おかしいですね。奉行所で仕官依頼を出してはじめて仕官が出来るようになるのですが・・・」
「しかし、現に仕官先に相田は無かったのだから、システム的なものじゃないのか?」
考え込む金さんがハッとした顔をして
「もしや相田様は自領土の奉行所にお出しになったのでは?」
「そうだが?問題があったか?」
「では、相田様、仕官はどこで行いますか?」
「そりゃ、奉行所だろ?始まりの・・・」
「そういう事です。」
「そういう事か・・・」
色々納得した。
「では解決でよろしいですか?」
「ああ、手間を取らせたな。」
「とんでもないです。しかし、戦の仕様がお気に召すとは思いませんでした。ここまで好評だとは」
「今のうちに仕様を変更してしまった方が良いと思いますよ。」
金さんが少し困った様に
「そうしたいのですが、先程の仕官にも関係してきますが、人が集まらない可能性もありまして。」
「傭兵団か?」
「そうです。現状傭兵団に入って居ないと、優位性を保てなくなってきているんです。その優位性を捨ててまで仕官するメリットが感じてもらえるかって事なんですよ。」
「しかし、傭兵団では国盗りは出来ないだろ?」
「仕様ではそうですね。傭兵団でも国盗りが出来るようにしないと厳しいかとの意見もありましたが、傭兵団は基本的に依頼があってこそ動けますので・・・」
「俺達の様に依頼なんて無くても戦ができるわけではないだろうしな。」
「仰るとおりです。」
「傭兵団に加入していることがそんなに優位に働くのか?」
「こう言っては何ですが、相田様の奥様が検証に検証を重ねられまして、かなりの情報が流れておりまして。」
検証魔王健在って感じだな。
「しかし、うちの嫁さんは傭兵団をクビになったらしいから、今有る情報はもう古い物しかないと思うんだが?」
金さんがビックリしたように
「え、な、は?奥様が、へ?奥様がフリーになられた?」
動揺が凄いな
「あいつのことだ、ソロソロこちら側と同じ様に動き出すかもしれんぞ?」
金さんの挙動がおかしくなる
「そ、それは困ります。いえ、困ることではないんですが、え、それは・・・」
大混乱を起こしてるな。
「今なら色々と仕様の変更が可能な者もあるだろうから、傭兵団が優位にはならないようにしてしまえば良いんじゃ無いか?」
「と、仰られますと?」
「簡単だ。戦を起こせば良い。そして、傭兵団は参戦するも、相手は傭兵団だけ。そうなれば、戦をしているという満足感もないだろう。
少数だが仕官しているプレイヤーも居るだろうから、そいつらが楽しんでいる所を見せつければ良いだけじゃ無いか?」
おれはいつから運営の人間になったんだ?こんな事を偉そうに言っているが・・・
「な、なるほど。それは盲点でした!これからイベントを仕込みますし、その方向で・・・」
金さんが沈む
「まだ、早いか。」
「そうですね。相田様だけでも早すぎて困ってますので、これ以上、相田様の様な方が現れると・・・
特に奥様とか奥様が色々と・・・」
うん。やらかすだろうな。だが、それを考えるのはそっちの仕事だ。俺達は俺達のやりたいようにやるだけだ。
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