ゲームです
所変わって色々かわって
はぁ、レイドボス戦があったようね。私は傭兵団から追いだされてしまったから参加できなかったけど。
レイドボス戦に。失敗してしまったらしいから、ちょっと心配していますけど。
今、私は町人の依頼をやっているの。どんな依頼をしているかって、町中にお猿さんが出てきて困っているから捕まえて欲しいって言うのよ。
害獣駆除の依頼は受けたことはあるのだけれど、捕まえるって依頼は今までに承けたまわった事なんか無かったから新鮮だわ。
詳しく話を聞くと、なんでもそのお猿さんは猿回しの芸人が飼っているお猿さんみたいなんだけど、その猿回しの芸人さんが亡くなってしまったんですって。
殺してしまうのは可哀想だから捕まえて貰って、従動物屋さんに引き取って貰いたいって言うのよ。
なんていい人なんでしょうか。私、全力で捕まえます。って。全力を出してしまってはお猿さんが危険ですね。手加減をして捕まえましょう。
「じゃあ、お猿さんを捕まえて従動物屋さんに、ひきとってもらえば良いのね。お宅はどちら?」
教えて貰ったわ。すぐ近くね。何でもお猿さんは気が立っているみたいで人を見ると凄く攻撃的になるんですって。
では、依頼を完遂させていきましょう。
依頼先のお宅について、お宅の中に「お邪魔します。」と声をかけてお邪魔しました。
すると、そこには痩せ細ってしまったお猿さんが居ました。牙を剥いて威嚇してきます。
このお猿さん、人に芸を仕込まれていたハズなので人には慣れているんじゃないのかと思いましたが、良く見ると体のあちらこちらの毛が毟られているじゃない。
芸人さんが亡くなった後に生きるために必死だったのね。きっと人から酷い目にあわされてしまったんでしょう。世の中には酷いことをする人も居ますからね。
さてどうしましょう。ここまで威嚇されると無傷で捕らえるのは難しいでしょうし。仕方ありません。少し痛いでしょうが意識を奪ってから手足を拘束してしまいましょう。
お猿さんは思ったよりも素早くて中々攻撃も中りません。私の得物は薙刀なので、家屋の中で振り回すには適して居ないのです。どうしても突きが多くなってしまいます。直線的な動きしか出来ないのが攻撃が中らない理由ですね。
困りましたね。しかし、手を緩めればこちらが攻撃されてしまいますし。
先程から隙があれば飛びかかろうとしているのは見ていて分かります。突きを避けた後に後ろ足に力を入れているのが分かりますもの。
突いた後に少し横に薙刀を走らせて、お猿さんが前に来ないように牽制しているのですが、生きて捕まえるのは本当に困難です。
ただ、討伐してしまえばいいのなら既に終わっていると思うのです。
部屋の中をあちらへこちらへ移動しながら暴れるお猿さんを追いかけている私。外から見ている依頼者にはどう映っているのでしょう。
出来るだけで家具や部屋の中の物を壊さないようにしていますが、お猿さんは関係ないとばかりに色々な物をひっくり返したりしていますが。
そうこうしていると、お猿さんも疲れて来たのか動きが段々と悪くなってきました。お猿さんが移動した後に足を少し滑らせてバランスを崩してしまったのを好機と、石突きで軽く突きましたら、お猿さん薙刀に体を預ける様に倒れて動かなくなりました。
私は急いで手足を縄で縛り、口には猿轡を噛ませました。
「お猿さんを捕まえました。生きて捕まえるのに苦労して、お宅の中が酷いことになりました事お詫び致しますわ。」
「いやいやいや、こっちが生きて捕まえてくれって頼んだんだ。それに壊れている物も無さそうだし、少し掃除をすりゃ元通りだよ。
本当に助かったよ。ありがとな。しっかし、何でうちから出て行かなかったんだろうなぁ。
そんなに居心地が良かったのか?」
「きっと、あなたの優しい気持ちをこの、お猿さんは分かっていたんじゃ無いですか?」
「だったらいいんだけどねぇ。何か照れくさいね。ほら、これは依頼料だ。少ないけど取って置いてくれ。」
「お猿さんを従動物屋で引き取って貰った時に代金が出たら持ってきますね。」
「いや、それもあんたが貰ってくれ。捕まえたのはあんただからな。」
なんと、依頼料も頂いて、従動物屋に売った料金も頂けるとは思ってみませんでしたね。
「では、従動物屋に連れて行きますね。あ、すみません。私、従動物屋が何処にあるか存じ上げなくて、場所を教えて下さいますか。」
「従動物屋ならここから奉行所に行く途中にあるし、動物が入った檻が置いてあるから直ぐに分かるよ。」
「ありがとうございます。では行って参りますね。あ、また困ったことがありましたら、お声を気軽にかけて下さいね。」
従動物屋ってそんなお店あったかしら。奉行所に行く途中にあると言ってましたけど、私この町はあまねく歩いて、お店にも顔を出してますのに知りません。
言われたままに奉行所に向かっていると、確かに檻に入った動物を売っているお店がありますね。不思議なこと。ちょっと前に通った時にはただの民家だったと思うのですが。
まぁ、いいでしょう。ゲームですしこういったことは良く起こるのでしょう。息子が言うところのイベントスイッチが入ったという事なのでしょう。良く分かりませんが、お店に入りましょう。
「ごめん下さい。こちらは従動物屋でよろしかったでしょうか。」
奥から男の方が出て来て
「いらっしゃい。そうです。ここは従動物屋です。最近新しく入った奴も居ますので見ていって下さい。
ただ、あの暖簾の奥に行くには10文頂きますが。」
「えっと、ちょっと違ってですね。私、お猿さんをそちらに引き取って頂きたくてですね。」
「あ、買い取りですか。ちょっとお待ち下さい。
女将さん、動物の引き取りです。」
すると奥から、いかにも普通じゃない気を撒き散らしながら女性が出て来ました。武将だと言われても驚きませんね。いえ、むしろ武士だと言われた方が納得です。
「はいよ。引き取りだね。猿か。おや、こいつは猿回しの猿じゃないか。
あいつが死んだ後は頼むって言われていたのにね、逃げられちまって困ってたんだよ。
あんたが捕まえてくれたのかい?」
「ええ、とある方のお宅に居座って困っているから捕まえて欲しいと。猿回しの猿で芸人さんが亡くなって行く先も無く可哀想だから殺さないで捕まえてくれと頼まれまして。」
「そうかい。そりゃ手を煩わせちまったね。そのうち探しに行かないととは思っていたんだけど、なにせ新しい従動物が入荷するってんで、そっちの方が忙しくってね。
本当に助かったよ。」
「では、私はこれで失礼しますわ。」
「ちょっとお待ち。料金も貰わないで帰るつもりかい?
いや、あんた優しそうだからな、どうだい、従動物を見ていって、好みの奴が居たらそいつを連れて帰るのが報酬がわりって事で手を打たないかい?
こっちも猿の件は町の奴等は知っているからね。逃げられたってのは商売的にも不味いんだよ。これはうちが捕まえたって事にして欲しいんだが、駄目かい?」
従動物がどの様な物かも分からないのですけど、見てみるのはタダですし、私が損をすることは無さそうなので、その条件をのんでもいいでしょうね。
「分かりましたわ。私が気に入った動物さんが居なくても、そちらがお猿さんを捕まえたことにしていただいて結構ですわ。」
「うちの依頼で捕まえたって事にして欲しいって事だったんだけどねぇ。まぁ、いいか。見て行ってくんな。」
言われるまま暖簾の奥へと入ります。そこには目を疑う光景が広がっていました。
現実には見たことの無い動物が沢山居るのです。私、夢でも見ているのでしょうか?
可愛いものからちょっと恐ろしげなものまで居ます。
あれはカッパですかね。妖怪までいるようです。
討伐したことのある妖怪は流石に飼う気にはなれませんね。
見て回っていますと、何やら檻をガシガシと噛み、小さな腕を一生懸命に私には伸ばしてくる動物が居るじゃないですか。
「おや、あんたもこいつに気に入られたみたいだね。」
思わず私は
「あんたも、も、って仰いましたか。私の他にもこの様に従動物さんを飼われた方がいらっしゃるのですか。」
「そりゃ、そうさね。うちは従動物を売っているんだからね。でも、あんたと同じ様に従動物から気に入られちまったのは5人しか居ないねぇ。」
「ご、5人もいらっしゃるのですね。」
これは、私の他にも従動物を飼った人が居ると言うことですね。では、私が飼っても問題は無いということでしょうね。先程から必死に私に訴えかけているこの子を連れて帰りましょう。
「では、この子をお願いします。」
「お願いしますってよりもね、あんたに貰ってもらわないとね。
こいつは売り物にはならないのさ。
あんたが帰ってしまったらこいつは逃げてあんたの所に行くか、そのまま餓え死にするかしかないのさ。」
な、なんですって。そんな事になってしまうのですか。それはあまりにも無体。しっかり私が連れて帰ってあげましょう。
「しかし、こんな奴いたかねぇ。この前と同じだねぇ。
ん、あんた名前は何て言うんだい。」
「私ですか?私は、相田 生駒と申します。以後よしなにお願いしますね。」
「そうかい。相田様って言うんだね。今後も贔屓にしとくれよ。」
そう言いながら従動物を檻から出して、私の目の前に出してくれました。従動物は迷いなく私の腕の中に飛び込んで来ました。これは可愛いを通り越して愛おしいですね。
「それでは失礼しますわ。」
私は従動物屋を出て、自分の領地へ帰ることにしました。
他のプレーヤーで従動物屋で動物を飼ったのがたったの5人しか居ないということは、この子は目立ちすぎてしまうと思った事と、この町のプレーヤーで従動物を飼った人が居ないからです。
しかし、この子はなんて可愛いんでしょうか。
目はクリクリで毛艶も良くて愛らしい。キューキュー鳴いてペロペロと私の顔を舐めてきます。
領地へ戻ってきました。この子を観察します。町中では人が多いですし、プレーヤーも居ますからね。
まずは大きなクリクリお目々。そしてライオンの雄の様にたてがみが少しありますね。
頭を撫でて気が付きました。この子角があります。それも2本も。
この子、あまり良い動物ではないのかしら。体はツヤツヤの毛に覆われていますね。足をは少し短めですが、良く見ると手足の付け根の毛が多くてなってますね。
私、どこかでこの子を見ています。思い出そうとするのですが出て来ません。凄くモヤモヤしてしまいます。
喉まで出てるんです。本当にもう少しなんです。
良く見る雷が落ちたような描写が私にも訪れました。
狛犬です!神社で神さまを守っている狛犬にそっくりなんです。
神さまを守っている聖獣ですよね。狛犬って。人が飼っても良いものでは無いと思うのですが・・・
私の回りを嬉しそうに駆け回っている様子を見ていると和んでしまいますね。
この子の名前を決めないといけませんね。じっとこの子を見て気が付きました。体の色が白いのです。
シロ・・・は無いですね。何故か某アニメを思い出しそうです。あんな風に賢くなって欲しいとは思いますが・・・
「あなたの名前は、フェルです。名前が降りてきました。」
フェルは良く分からないけど、自分の名前がフェルになったことが嬉しかったようです。私にキュキュッと飛びついて来ましたから。
ふとした疑問です。狛犬とは主食はなんなんでしょうか。
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