皆、思いは一緒だ
お待たせいたしました。
木ノ葉ちゃんたちが落ち着いた頃合いに、酒吞さんと茨木さんがやってきた。
バリアも張らず、皆大泣きしてたから、ロボットと妖怪の二人には、何があったのかなんて丸わかりだろうだけど。
サーチで二人の行動は把握できてて、木ノ葉ちゃんとの会話の途中から居間に向かってきてたし。
なんなら今さっきまで時子ちゃんたちと一緒に話の最後あたりを聞いてたのも知ってる。
私たちが落ち着くまで、出てくるのを待ってくれてたらしい。
「もうすぐ夜も更けてくる。寝なさい」
酒吞さんは穏やかにそう言ってから、腫れぼったい目元の木ノ葉ちゃんを見た。
その目は、とても優しい。
「君がもし、葵たちと一緒に世界を超えて旅に出たいなら、そうしたらいい」
「きゅ、急に何言い出すんですかっ」
「君が、この世界をあまり好きじゃないことは知っているさ。それでも、いよたちやこの村のことだけでも愛そうとしてくれていたり、いよや私たちのことを愛してくれていたこともね」
優しく微笑む酒吞さんに言われた木ノ葉ちゃんは、目を丸くして、恥ずかしそうに目を逸らした。
かわいい。
「それに、もしかしたら、俺たちの生まれた世界に帰られる可能性もあるだろう」
「いいんですか……?」
「いいもなにもないだろう。それに、可能性の話だ。だが、もしその可能性が本当に実現した時には、君が思う通りにすればいいと言っているだけさ」
木ノ葉ちゃんが振り返ってきたので、頷いた。
時子ちゃんたちも頷いたり、木ノ葉ちゃんの手を握ったりしてくれてる。
皆、思いは一緒だ。
木ノ葉ちゃんはそれにまだ泣きそうになりながらも、笑ってくれた。
「でも、それじゃあ酒吞さんたちはどうするんですか?」
「すでにこちらで長いこと過ごしているんだ。これからも、いつも通り暮らしていくさ。元の世界に戻れる手段が見つかれば、それ用に考えていることもある」
少しだけ、良い意味で含みのある言い方をして、酒吞さんは「その代わりではないんだが」と続けた。
「もしも君が元の世界に戻られたのであれら、俺たちのことを伝えてくれ。そうすれば、何かしらの手段で、救助がこっちへ向かってくれる可能性がある。その時は、大蛇たちも一緒に連れて帰ることができるだろう?」
「メッチャクチャ楽観的かつご都合主義ですね」
「だが、楽しそうだろう?」
片目を閉じて、少し茶目っ気を見せながらそう言って、酒吞さんは右人差し指を立てた。
「俺たちがどうしてこの世界に来たのかはわからない。だが、誰かが呼んだのであれば、見せてやろうじゃないか。妖機をこの世界に呼んだことで、この世界の時代の流れがどう変わるのか」
「なんですかそれ。あはは、酒吞さんも、結構怒ってたんですね」
「そうでもないさ」
思わずと言った様子で笑った木ノ葉ちゃんに釣られるようにして、酒吞さんも笑った。
「だが、真剣な話、君が葵たちに着いていくことを望むなら、そうすればいい。元の世界に戻られなかったとしても、特に未練がないのであれば、そのまま別の世界で生きていってもいい。何なら、葵たちの誰かの世界で生きていってもいいんだ。君は自由に生きればいいんだ」
「……ありがとうございます」
木ノ葉ちゃんは目を閉じて、酒吞さんにお辞儀した。
「私、葵たちと一緒に、行きたいです」
「ああ。その時は是非、そうしなさい」
色々あったけど、木ノ葉ちゃんの心の中のわだかまりが少し消えて、酒吞さんたちとも打ち解けることができた。
じゃあ、後は……問題の解決かな。
まずは目前に迫ってる一つを、解決しなくちゃ。
もうこの流れながら、この場で言ってしまおう。
「酒吞さん、一つ、提案があります」
「何だい?」
「大蛇の封印、私が、何とかできると思います」
直感が告げてる。
私たちがこの世界に来た大きな理由の一つがこれだって。
そして、これが終われば……私たちは、この世界から消えるって。
次回は明日、18時予約投稿です。




