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36.変わる生活

「めでたいじゃないか!」


 開口一番、俺はそう豪語した。

 こういうこともあるかも、とは思ってきた。


 そりゃ子どもがデキる行為をギンとはしてきたわけで。

 頭の中では何回もシミュレーションしてきた。


 まぁ、内心では『あわわわ……』だったが。

 考えていても上手くはいかない。


「むぅ……私に赤ちゃんが?」


「どうしてそこで疑問形なんだよ」


「いえ、まさか私が授かるとは……」


 ふーむ。ギンの反応が思ったようなものではない気が……。

 貞操逆転世界でもあるし、感じ方は違うのかも。


 そこでギンが微笑む。


「でも嬉しいです」


「ああ……そうだよな」


 で、そこからはまさにお祭り騒ぎだった。

 ニーファ、ラーファもフィーリ、ファウ、フェウルもシャウラティも。

 全員が俺たちにおめでとうと言ってくれた。


 で、意外だったのがルニアだった。

 ワインを飲んで昂っていた彼女は、泣きながら喜んでいたのだ。


「ふぇぇ~~。良かったねぇ~~」


「あなたがそこまで喜んでくれるとは……ありがとうございます」


「ああー、今日は私がギンの分まで飲んじゃうよ~~! ごくごくごくっ!!」


「おいおい、飲み過ぎじゃね?」


 とまぁ、そんな感じで。

 ちなみに猫ちゃんは割と冷静な受け止め方だった。


 まぁ、猫ちゃんにはもう子猫が生まれてるからな。

 やっとこちら側にも……ぐらいか。


「にゃう」

「にゃうん」

「にゃむ……」


 とはいえギンの周りに集まり、挨拶めいたことはしていくのだが。

 雰囲気的に『新入りが増えるにゃ』『まだもう少し先だけど』と後方腕組みをしている。


 そんな猫ちゃんを優しい瞳で撫でるギンを見て、俺の胸にもやっと実感が湧いてきた。そうだ、父親になるんだ。この俺が。


 日本で踏んだり蹴ったりだった俺が……!


「にゃーうん」


 そんな気負うでない、とシロちゃんが前脚を上げる。

 胸元にシロちゃんを抱き寄せ、俺は頷いた。


「わかってる。これからだもんな」


「にゃう!」


 異世界に来て一年を前に、新しいやりがいが出てきたな。

 ようし、これからも頑張るぞっと!




 妊娠中ということで、ギンはなるべく休み。


「猫ちゃんを愛でながら、ふふふ……」


「にゃーん」


 ギンは思った以上に落ち着いている。


「戦場のほうが張り詰めていましたから」


 ということらしいが……それを言われたら、返す言葉もない。

 俺のほうが落ち着いてはないかも。


 女性陣は結構妊娠、出産に立ち会った経験者が多い。

 俺なんかは全然そういう場面がなかったからなぁ……。


 拠点でギンを労わっていると、落ち着かない自分が情けなくなる。

 こういう時は心機一転、自分の出来ることをしよう。


 というわけで、俺はシロちゃんを連れて海へ行く。

 季節はもう秋だ。拠点近くで獲れるのはタイ・サンマ・アジ・エビ。


 無心になって海を泳げば不安も消えてくる。

 この広くて美しい海を俺の子にも味わってもらいたいものだ。


「ようし。今日は獲って獲って、獲りまくるぞ!」


「にゃーう!」


 一年が経ち、俺の技術も向上した。

 ざっくざくとサンマとタイを捕まえる。


 ふぅ……必死になって魚をゲットしているうちに、気分も上向いてきた。

 午後までかかってたくさんの魚をゲットし、浜に戻る。


 浜では干し草のベッドで休んでいるギンがシャウラティに剣術を教えていた。


「こう、気をもっと張り巡らせてですね……。ふーむ、もしかして気の絶対量が少ないのでしょうか」


「うぅ……その場合はどうすればいいのですわ?」


「私もルニアと何度も死闘を演じるうちに鍛えられたのですよね。やはり手合わせを中心に進めたほうが……」


「も、もうちょっと命の心配をしなくても済む方法はないのですわ!?」


 獲ってきた魚を捌きながら、授業風景を横目で見る。


 ギンが妊娠中の今、剣術が有望なのはシャウラティか。

 確かに彼女が強くなれば、出産後も助かりそうだが……。


 にしてもギンの教え方には問題がある気がする。

 俺には気がよくわからないので、何とも言えないけど。


 ……そんな感じで見ていると、ルニアとシャウラティの手合わせが始まった。

 シャウラティの腰がめちゃくちゃ引けてたけど。


 戦いは家から離れた浜に数個のクレーターができて終了した。

 ルニアの格闘術を見たのは初めてだったんだけど、魔術師っていうのは……残像ができるくらい早く動けるのが基本なの?


 いや、シャウラティの反応を見る限りはそうじゃないはず。

 体術面もルニアはシャウラティを圧倒していた。まぁ、思い当たる節はないでもなかったけど……主に夜のことを考えると。

 

 ギンほどじゃないにしても、ルニアの動きも完璧に人間をやめていた。


「ん~、対魔術戦の基礎を重ねたほうが早いかもー。でも筋はいいと思うよ~」


「は、はひ」


 髪がすすけたシャウラティが砂浜で大の字に転がっている。

 いやぁ、異世界人はすごいなぁ(小並感)

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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新お疲れ様です。 懐妊めでてぇ!(超拍手) お産の介助とか、安全に出産できるポイント(出来るだけ菌が少ないとこ、理想は無菌)とか色々心配事は尽きないですが、まずは新しい命が芽生えた事を…
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