28.調味料
飛行船が帰った後、色々と仕訳をする。
保存用の小屋も考えないといけないからな。
意外だったのは医薬品に対する女性陣の知識だ。
ギンやルニア、ニーファ、ラーファが生きていた時代にはこうして包装された量産医薬品はなかったのだという。
世代の違いがこんなところで出るとは……。
彼女たちの時代では、治療することは癒しの魔術が込められた薬液――ポーションを利用することが中心だった。
それらは今もあるらしいが、魔力の制限があるのでここでは使えない。
魔力を使わない医薬品しか、ここでは駄目なのだ。
ギンが目を細めながら、抗生物質の箱を指で摘まんでいる。
警戒しているのか尻尾が逆立っていた。
「この医薬品はカビから出来た成分を使っている……と」
嫌悪感があるみたいだけど、こればっかりはな。
要はペニシリンみたいなもん。
この世界はここまで科学が進んでいるみたいだな。
俺からすると心強いけれど……。
ギンやルニアの世代って地球だと何時代くらいなんだろうな。
もし平安とか鎌倉くらいなら、こうした医薬品は想像もつかない世界だろう。
「へぇー、未来の人は色々と考えるねぇ~。
体調悪くなったらお世話になろうかな」
ルニアはむしろ興味津々だ。
使用期限が切れた薬はちょっと調べてみたいとか。
まぁ、魔女といわれるくらいだからな……。
危険がないなら止めることもない。
シャウラティから使い方のレクチャーをしっかり受け、保管場所の小屋を作る。
日の光が入らないよう暗く、中の気温が冷たくなるように……。
小屋、完成。
これを使う事態が来ないことを祈るばかりだ。
で、皆が待ち望んでいた品。
今の俺たちには黄金よりも遥かに価値がある。
それが砂糖、酢、胡椒だ。
これは陶器の壺に入った状態だな。
それぞれ15キロぐらいだろうか。
極めて貴重な調味料だ。
さて……どうするか。
まずは味見だ。
ゆっくりとスプーンで砂糖をすくってみて味見。
おおおお……。
純粋な甘みが脳天を突き抜け、喜びが身体を駆け巡る!
ただの砂糖なのに感動で走り出しそうだった。
「わ、私にもくださいっ!」
「その次は私だよ~」
「砂糖の甘さは何にも代えがたいですからね」
「代えがたいです」
ということで、皆で調味料をテイストする。
全員で唸って感動だ。
うーむ。
素晴らしい。
間違いなく、今後の食生活が豪華になる。
それだけにこの調味料は厳しい管理が必要だ。
この点については全員一致し、調味料保管用の小屋には徹底的なネズミ、昆虫対策がとられた。
こんな慎重に木材を切り出したのなんて、初めてよ?
さらに柵や返しもしっかりとつけて……。
「シロちゃん、ここは最重要警備をお願い」
「にゃーうにゃーう」
びしっとシロちゃんが敬礼。
猫ちゃんズが常に目を光らせる小屋になりました。
うん、心強い。
こうしてさらに住人が増え、やれることが増えた。
シャウラティはとりあえずワイン造りに精を出している。
これも中々、一筋縄ではいかないのだが……。
すっぱい何かになったり、単なるブドウジュースで終わったり。
試行錯誤の連続だ。
でもありがたいのは、ぶどうが相当実っているということ。
どうやらかなりの範囲にぶどう畑があるらしい。
ぶどうはワインにしたいが、デザートでも美味い。
料理に使えば風味も増すしな。
あと保存食作りも、調味料のおかげで大きく進展した。
やっぱり塩と酢は神だ。
食品を長持ちさせてくれる。
あとはオリーブオイルとかあればな……。
アンチョビみたいなのも作れる。
そうこうしているうちに、春が本当に終わってきた。
夏は暑くてヤバいんじゃないかと思ったが、そうでもない。
雨が多くて湿度が高く、風が強いくらいか。
ヤシの木がめきめきと風に揺らされているのをよく見る。
怖いので拠点近くのヤシの木を伐採。
伐採した場所をどうするかという話になる。
「もしかしたらちょっとした菜園はできるかもしれません」
「植生もわかってきましたし」
ニーファ、ラーファが率先して菜園作りに乗り出す。
香辛料や野菜、果物をきちんと生産できれば効果は大きい。
「何か手伝えることがあったらいつでも相談してくれ」
残念ながら俺に農家系の知識はない。
「にゃーう」
見守りましょう。
シロちゃんもそう言ってます。
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