表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/47

24.鳥と探検

 春になって本格的に暖かくなってきた。

 夏の予感だ。


 フィーリ、ファウ、フェウルの狩りにも進展があった。

 最初は中々うまくいかず、試行錯誤の連続である。


「どうして鳥を撃ち落とせないのでしょうー?」

「不思議です」

「こんなこと初めてですっ」


 まずわかったのが、この島にいる鳥は異常に警戒心が強い。

 撃ち落せる距離に近寄ってくれない。

 

 ちなみに彼女たち、百発百中だ。

 いやー、100メートルの的なら絶対に当たるんだよ?

 怖すぎる腕前だ。

 俺にはそんなの絶対に無理。


 そもそもまともに矢が飛ばない。

 やってみたけど、異様に難しい。

 そんな彼女たちの腕前でも距離には勝てない。

 近寄ってくれないと鳥は獲れないのだ。


 確かに、猫ちゃんも鳥を戦利品として捕まえてきたことがない。

 捕まえるのはネズミや虫だ。


 そして、ある日――彼女たちは猫ちゃんをモフっていた。


「教えてください。どうやってネズミを捕まえているのですか?」


「にゃうにゃう」


「ふむふむ……」


 猫ちゃんの一匹がぴょんと飛び、保存庫の近くに陣取る。

 そこで待つこと数時間……。


 茂みから不埒なネズミが飛び出してきた。

 

「にゃーう!」


 猫ちゃんが飛びかかり、ネズミは討ち取られた。

 そんな光景が週の間にいくつかあった。

 

 で、俺は彼女たちから言われたのだ。


「主様、余った魚の頭をくれませんか?」

「内臓もあるとグッドです!」

「これで鳥をおびき寄せてみせます」


 今まで生ゴミはルニアが焼却していた。

 その一部を使いたいということだった。


 もちろんゴミなので、許可してみた。


 で、良さそうな砂浜の石の上に魚の頭と内臓を放置したのだ。

 距離80メートルほど。


 フィーリ、ファウ、フェウルなら必中の距離だが、鳥は近寄ってくれない。

 しかし待ってみると……本当に海鳥が寄ってきた。

 

 着地して魚の頭をくわえようとした瞬間、3人が矢を放つ。

 こうして海鳥が初めて獲れたのだ。


「やはり主様の獲った魚が食べたいようです!」


 ここの魚介類はおいしいもんね。

 海鳥には気の毒だが、鳥を食べるのは久し振りだ。


 命に感謝。

 

 ということで、ご飯に鳥肉が増えた。


 海鮮スープにいれると、これがうまいんだ。

 沁みる。

 優しい味が身体に沁みる。


 もちろん、鳥ガラも余すところなく利用する。

 貴重な出汁だからな。


 最近は水にも余裕が出てきたのでスープ類も充実してきた。

 鳥ガラに香草を加えて煮込めば、立派なスープだ。


 

 初めての鳥肉パーティーの夜。


 俺の寝床にフィーリ、ファウ、フェウルがやってきた。


 そう、実はこの3人とはそういう関係ではなかったのだ。

 基本的に俺は自分からアレコレと誘わない。


 来るもの拒まず、来ないものは誘わず。

 それが俺のスタンスなのだが。


「これで一人前になりましたっ」

「ちゃんと貢献できるようになりましたから!」

「だから――」


 なるほど。

 どうやら今まで色々と引け目を感じていたらしい。


 いや、君たち植物の採集も結構凄いし、家作りも早いけどね?

 丸太を担いで小走りなんて、俺には無理よ?


 でもそういう問題ではなかったらしい。

 気にしなくていいのに。


 にしてもよ。

 3人はマズいでしょ。

 色々とマズいでしょ。


 ――結論。

 もうちょい多くても頑張れそう。


 神様、俺をどれだけ丈夫にしたんだ?

 いいや不平は言うまい。


 ありがとう、神様。




 

 そして初夏。

 ついに保存食が完成した。


 スモークサーモンだ。

 しっかりと塩漬けと乾燥をして、煙でたっぷりいぶす。

 完成まで1週間も必要だが、保存性は格段に上昇していた。


 これでようやく森の奥を探検する準備が整ったことになる。


 水筒と草や木の実、携帯できる限界まで食料を持って探検隊を組織する。

 ギンが隊長、ニーファ、ラーファが隊員だ。


「では、行って参ります!」


「無理はしなくていいからな」


「いえ、このような大任! 必ずや成果を……!」


「……」


 なんだかギンの気合いの入り方が凄い。

 初回でそこまで成果は求めていないのだけれど……。


 なのでニーファとラーファにこそっと言っておく。


「とりあえず2泊3日で、進めるところまででいいから」


「わかりました。気を付けて進みます」


「うん、本当に無茶はしなくていいから」


 こうしてギンたちの出発を見届ける。


 ふぅ……。

 落ち着かない。


 帰還予定の日まで、俺はいつになく緊張していた。

 当日なんかはずっとソワソワである。


 しかし帰還予定日の午後。

 出発隊は無事に帰ってきてくれた。


 で、3人は出発時にはなかった即席のかごを背負っていた。

 そのかごには何と――山盛りのブドウが入っていた。

【お願い】

お読みいただき、ありがとうございます!!


「面白かった!」「続きが気になる!」と思ってくれた方は、

『ブックマーク』や広告下の☆☆☆☆☆を★★★★★に変えて応援していただければ、とても嬉しく思います!


皆様のブックマークと評価はモチベーションと今後の更新の励みになります!!!

何卒、よろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ