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14.不思議の海

 勇ましく漁に出る俺とシロちゃん。

 

 冷たくなったとは言っても、差はわずか。

 漁に支障はない。


 今日はタイの日だ。

 たくさん白身を食べて栄養をつけてもらいタイ。


 ……のだが。

 

 ざぶざぶと海に入って気がついた。

 

 タイがいない。

 他の小型魚もいない。


「にゃーあ?」


 海にいる魚の種類が変わっている……?


 それもごっそりと。

 総入れ替えでもないと説明がつかない。


 代わりに、やけに中型魚が多い。

 50センチ超えている魚があちこちを泳いでいる。


 小型魚はほとんどいなくなってしまった。


 これはもしや海水温の微妙な変化が原因か。

 冬になってきたから。


 それにより生息する魚が変化したのだろうか。

 あるいは異世界だから?


 まぁ、ここは不思議な海だ。

 季節で魚が入れ替わることがある、ということだ。

 そういうものだと思おう。


 というかアレは……。

 メバチマグロとビンナガマグロ、キハダマグロ。


 おいおい。


「マグロばっかりじゃないか!」


「にゃううーん?」


「なんでわかるのかって?」


 シロちゃんに指摘され、悩む。


 俺はなんでマグロの種類がぱっとわかったんだろう。

 お魚く〇でもないのに。


 今まで魚の種類がわかることを疑問に思わなかったけど……。

 なんでだ?


「にゃーにゃー!」


 それも君の力かも!

 ひとり納得したシロちゃんが頷く。


 つまり『万能漁師』のおかげ。


 言われれば、そんな気もする。

 本能的に理解してるのかも。


 今になっても新機能に気づく。

 本当に何という力だ。

 猫ちゃんの出産が終わったら、念入りに神様へ感謝しよう。




 さて、マグロ類の赤身はタンパク質豊富。

 グレイちゃんのご飯に持ってこいのはず。

 なんとしてもたくさん獲りたい。


 周囲を泳ぎ、やはり一面がマグロ類だらけであることを確認する。


「にゃ……!」


 戦闘態勢に入ったシロちゃんが舌なめずりする。

 頼もしい。

 やる気になったシロちゃんがいれば百人力だ。


 まず狙うのは、孤立している魚だ。

 マグロは突進力も強いはず。

 複数で群れているマグロは危険かもしれない。


「にゃっ」


 シロちゃんがサンゴ礁の奥にいるマグロを指した。


 あれはキハダマグロか。

 しかも他より一回りは大きい。

 100センチをゆうに超えている。

 グレイちゃんのご飯として申し分ない。


「ごぽごぽ(いい獲物だ、あれにしよう!)」


 俺たちの漁の中ではトップクラスの大物だ。

 これほどのサイズになると、慎重にならなければ。


 シロちゃんと別れ、挟み撃ちの態勢へ……と思ったが。

 サンゴ礁が邪魔をして位置取りが難しい。

 左右が阻まれている。


「にゃ、にゃーん!」


 だったら上下で挟み撃ちだ!

 シロちゃんは賢い。


 その通りだ。

 横が駄目なら上下で挟めばいい。


 シロちゃんが下から迫り、俺が上で待つ。

 急上昇したその瞬間を狙う。


 よし、そのプランで行こう。


 そろりそろりとシロちゃんがサンゴ礁の下からキハダマグロに近寄る。

 ドキドキ。


「ふにゃー!」


 シロちゃんが両前足を上げて、大きく威嚇する。


「――ッ!?」


 キハダマグロに左右の逃げ道はない。

 思った通り、飛ぶように上へ逃げてきた。


 そこだ!

 網を振るう。


 キハダマグロを網に捕らえた。

 だが、とんでもない力だ。

 腕ごと持っていかれそうになる。


 ぐぬぬ。

 さすがはマグロの仲間だ。

 ここまで大きいとナイフでも……。


 そうだ。

 ナイフで小さいなら、もっと大きな物で仕留めればいい。


 俺は久方振りにもりを生み出した。

 鋭利な刃、両手で握れるのでパワーもある。


 ブスッ。

 網の間からキハダマグロの頭部を刺す。


 命に感謝を。

 ……キハダマグロは事切れた。

 合掌。


 君の命は新しい命の糧になる。

 無駄にはしない。


「にゃーうん♪」


 ああ、やったな。

 網もずしりと重い。

 

 とりあえず浜へ戻ろう。


 大物との激闘を制し、帰還。

 海から上がって叫ぶ。


「とったどー!」


 そして俺とシロちゃんが家に戻った直後。

 ちょうどグレイちゃんの出産が始まった。

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