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12.三人一緒の新生活

 その日、夜遅くまで宴会は続いた。

 刺身と焼き魚メインではあるが……。


 でも食生活は猫ちゃんズのおかげで、確実に向上している。


 薬味は神だよ。

 ちょっとした味と食感の変化が、食卓を彩る。

 大航海時代、胡椒が珍重されたのも頷ける話だ。


 残念なのが貝やカニがどうにも見当たらないこと。

 いや、物凄く小さいのはいるんだけどね……。

 食用サイズの貝やカニがおらんのだ。


 で、深夜。

 猫ちゃんが寝静まった頃。


 俺の寝床に来客があった。

 ルニアとギンである。


 もしや、もしかして。


「……なんでふたりして?」


「えへへ、ウチがギンを呼んだんだよー」


「うぅ……仕方ありません。

 夜の作法を知りたい、とルニアが言ってきたので」


「そうそう。ウチって経験ないからさ」


 ギンがのほほんとしているルニアに食ってかかる。


「あなたっ! わかってやってますよね!?」


「えー、心外だなぁ。本当に不安だよ~」


「くっ……! これだからエルフは汚いのですっ!」


 なんとなく状況が読めてきた。

 ルニアがギンを巻き込んで押しかけてきたのか。


 なんというおいしいシチュエーション。

 これは乗るしかない。


「俺は3人でも構わんよ」


「ほーらー。主様は心が広いなぁ~」


「というか、その……ルニアはいいのか?

 いきなり俺とそういう関係になって」


 心の中ではウキウキだけど、一応聞いておく。


「え? 会ってからもう半日は過ぎてるよねぇ?」


「主様は奥ゆかしいのです」


 聞くと、この世界ではそもそも会って数分で行為に及ぶらしい。

 でないと人口が維持できないからだとか。


 そりゃそうか。

 だって女性3万に対して男性1人だよ。


 ……改めて、凄い世界だな!

 

 ルニアが俺に身体を寄せ、見上げてきた。 

 いい匂いがする……。


「ウチは全然オッケーなんだけどなぁ。

 主様はウチじゃ興奮しないとかー?」


 あ、あの。

 ワンピース水着を摘まむのは反則です。

 肌が見えちゃいます……。


「はぁ……じゃあ、私は少し離れまして」


「えー、一緒に楽しもうよー」


「な、なにを言ってるんですか!」


「本当はその気な癖に~」


 ルニアが腕を伸ばしてギンの尻尾を鷲掴みにした。


「~~っ!!」


 ギンが顔を真っ赤にしてルニアを睨む。

 めちゃくちゃ興奮してしまった。


 さすが魔女。

 でも彼女も楽しんでたし、オッケーだな。



 翌朝。

 住居の仕組みやらをルニアに説明する。


「はえー、魔術なしでよくここまで……」


「ルニアは魔術の天才なんだっけ」


 滅却の魔女とか。

 格好良くて物騒だ。

 ちょっと憧れる。


「そんな風にも呼ばれてるね~。

 得意なのは火炎系と雷撃系だったり」

 

「じゃあ、火を好きに生み出せるのか……!」


 サバイバル生活にはぴったりだ。

  

 現状、村の火は焚火だけ。

 燃料には困っていないのだが、いかんせん扱いが難しい。


 コンパクトで扱いやすい火があれば、保存食作りも進む。


「ルニア、ここで普通に魔術が使えるのですか?」


「あー、バレてる? ここは魔力が暴れてるから難しいんだよねー」


 なんですと。

 初めて知った。


 魔力とか俺は全然感じないけれど。

 でもその影響力は如実に及んでいるらしい。


「島から離れた海の上はマシなんだけど、ここはキツイね」


「……海の中は?」


「あはは、海のほうがもっと大変。地獄みたい。

 普通の魔術は使えないよ~」


 それも初耳だ。

 ギンはやっぱりという顔をしている。


「あなたでもそうなのですね。この島が無人なわけです……」


「ん、今はどこも魔力頼りだからね~」


 なるほど、魔力頼りの世界で魔術が使えないならそうもなるか。

 少しずつだけど、この場所の特異性がわかってきた。


 話し合いの末、ルニアはギンと一緒に陸上勤務になった。

 主な仕事は保存食と真水作り、あとは干物の試作だ。


 水の魔術を使えればと思ったけど、それは難しいらしい。

 魔術には系統があり、ひとりで何でもできる人間はいないのだとか。


 最後にシロちゃんがルニアの膝に乗る。


「シロ様、これからよろしくね~」


「にゃー」


 苦しゅうない。

 シロちゃんの格付けは完了したようだ。


 俺>シロちゃん>ギン=ルニア


 こんな並びのような気がする。

 ひとりきりだった漁師生活も賑やかになってきた。


 ちなみにルニアはだるそうな口調だが、仕事はちゃんとやる。

 

「うーん、海水から塩を抽出かー……」


 ルニアは刻んだ葉の上に座りながら海水の球を浮かしていた。

 念動力……だが、これは魔術の中では基本らしい。

 相当便利な気はするのだけど。


「低火力でじっくりやろっかな」


 じゅじゅじゅ……。

 空中で火が生まれ、空に浮かぶ海水を焼いていく。


 そのルニアの元には猫ちゃんズが集まっていた。

 どうやら物珍しいらしい。


「くっ……猫ちゃんの人気をさらうとは……」


 ギンが悔しがっている。

 そこを張り合うの?


「いやいやー、ギンだって人気だよね」


 確かにギンの尻尾は大人気だ。

 座っていると猫ちゃんの誰かはもふっている。


「尻尾はいささか問題があります!」


「そうなの?」


「敏感なんだよー。今度、ごしごししてみたらー?」


「へぇー」


「にゃー」


「ルニア! 余計なことをー!」


 いいことを聞いてしまった。

 今夜、やってみよう。


「あなただって、その長耳が弱点じゃないですか!」

 

「うぇ? な、なんのことかなぁ……?」


 さらにいいことを聞いてしまった。

 そっちも試してみよう。


 結論。

 とてもよい夜を過ごせましたとさ。

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