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11.エルフの魔女さん

ブクマ、評価ありがとうございます!

本日4回目、最終更新です!

 小屋、木製容器、猫ちゃん。

 この1週間で住居がずいぶん発展した。


 やはり建物が増えるだけで見栄えが違う。


 で、とある日の朝。

 起きるとギンが正座していた。

 なんですかいな。

 

「主様、そろそろ人を増やしてはいかがでしょうか」


 ギンは真剣な表情だった。


「人って言うと……」


「仮死魔術で眠っている女性です。

 この周囲に相当数がいるかと思います」


 前にギンが言っていたな。

 この島を巡って争い、夢破れた者たち。


 人手は欲しい。

 いればもっと色々とできる。

 ……言わないけど、女の子も増える。


 とても魅力的な提案ではある。


「でもギンはいいの?」


「はい……むしろ、とても申し訳ない気持ちです。

 主様を独占するのは恐れ多いことですので」


 なるほど、そういう考えになるのか……。


 やはりここは貞操逆転世界だ。

 考え方が前世とは全然違う。


 男は複数人の女性といるのが当たり前。

 むしろ男を独占するほうが気が引けるとは……!


 ギンの勧めがあるなら遠慮する必要はない。

 人を増やすことに決定だ。




 ということで、今日の目的は人を探すこと。

 さっそくシロちゃんと海に入る。


「ごぽごぽ(今日は潜っていくからね)」


「にゃう!」


 ギンを見つけてから、実は深く潜ったことはなかった。

 

 基本的に俺たちが漁をするのはサンゴ礁近辺だけだ。

 あまり深くはいかない。


 深くなればなるほど、魚も少なくて光が届かない。

 効率が悪いのだ。


 でも今日は違う。

 人を探すために深く潜る。

 サンゴ礁の奥へゆっくり進んでいく。


 優雅な魚のショーを横目に、暗い海の底へ。

 溺れない俺たちの潜水スピードは速い。

 あっという間に光が乏しくなり、魚の姿もまばらになる。


 やっぱり深く潜るのは緊張するなぁ。

 水の危険はないとはいえ、鼓動が速くなってきた。


「にゃーう」

 

 ここまでは来たことがあるじゃん!

 と、シロちゃんが寄り添ってくれる。


 ありがたい。

 シロちゃんがいてくれることで、俺はたくさんの勇気をもらっている。


 ……。


 そろそろギンを見つけたポイントだ。

 この辺りにはやはり魚はいない。


 ……そういえば、ギンを見つけたきっかけは大物タイだっけ。

 なぜタイが水晶に体当たりしていたのか。

 ギンの見解はこうだった。


「私が聖域と海の異物だからだと思います。

 彼らからすれば、私の水晶はよそ者ですので。

 推測ではありますけれど……」


 この説が正しければ、あのタイのよう動きをする魚を探すべしか。

 

 しばらく岩壁を探していると、大物のブダイを見つけた。

 まさか……。


 そろり、そろり。

 距離を取って尾行する。


 20分ほど追跡しただろうか。

 岩壁の隙間から光が漏れている。


 ごくり。

 ゆっくりと近寄り、正体を確かめる。


 ……金色に光る水晶だ。

 ぼんやりと光っている。

 ギンの水晶にとてもよく似ていた。


「にゃっ!」


 うん、当たりだ。

 ナイフを持って水晶に近寄ろうとして――シロちゃんが俺の肩を掴んだ。


「にゃうん!」


 あ、ブダイもしっかり獲れって?

 その通りです。


 ブダイを挟み撃ちにしてさくっと獲る。


 改めて、水晶に対面する。

 ドキドキしてきた。


 水晶のサイズはちょっとギンよりも小さいか。

 ええと、ギンの感じだと……この辺りに身体が来るか?


 しっかりと抱きとめる用意をし、ナイフを水晶に当てる。

 古の英雄よ、ここに目覚めよ!


「にゃうん?」


 はい。

 ……言ってみたかっただけです。


 言葉はともかく、水晶はナイフに反応した。

 強烈な光が放たれる。


 うおっ、やっぱりまぶしっ。


「にゃーう!」


 ぴかっと強烈な光を放ち、水晶が消えてなくなった。


『うーん……』


 水晶から出てきたのは、中学生くらいのエルフだった。


 おっとりとして可愛らしい顔立ち。

 ぴくぴくと長い耳が動いている。


 金髪としなやかで小さめな身体。

 でも凹凸はそれなりにあって……なぜかワンピースの水着だった。


 この世界、もしかして際どい服装の決まりがあるの?

 ギンもかなり露出が多いのだが……。

 わからん。

 

『んん、んんー……』

 

 彼女は完全に気絶しているらしく、反応がない。

 水着が上下しているし、呼吸はしているけれど……。


 でもパニックで暴れられるよりはいいと思うしかない。

 とにかく陸に戻らなければ。


 そのまま彼女を連れて浮上する。


「ぷは……っ」


「にゃうん」


 浮上完了。

 うっすら遠くに浜が見える。


 女の子はまだ起きない。


 ……頬をむにむにしてみる。

 お、まぶたが開いた。


「な、なにー? 人が気持ちよく寝てるのに~」


 女の子がこちらを見た。

 とても綺麗な青い瞳だ。吸い込まれそうなくらいに。


 おっと、まずは挨拶だ。


「……どうも。無事ですか」

 

「えー? 男の人? これって……」


「とりあえず話は陸に戻ってからで」


 急いで浜辺に戻る。


 浜ではギンが正座して待っていた。

 猫ちゃんをモフりながらではあったが。


「ルニア、やはりあなたの気でしたか」


「ギン? 生きてたんだ……」


 ふらふらとルニアがギンの前で崩れ落ちる。


「あ~、よかった~!!」


 そのままギンの姿を見たルニアが泣き始めた。

 しかもガン泣きだ。


「ちょ、ちょっと! 泣かないでください!」


「ぐすっ、うあぁー……無理言うなー……!」


 ルニアが落ち着くまで、しばし。

 そこからギンが事情説明。


「で、今は聖域で暮らしています」


「うわー……凄いね。とてつもない幸運だ」


「ですね。全部、主様のおかげですっ!」


 キラキラ。

 ギンの目線がまぶしい。


「……なんか変わったね、ギン。

 前はもっと尖ってたのに~」


「ひあっ!? そ、それは……」


「そうなのか?」


「にゃうん?」


「あれは戦争中だからです!

 気が立っていましたし、今と違って当然です!」


「ん、そういうことにしておくね~」


 昔はつんつんしてたのか、ギン。

 今では可愛いワンコだけど。


「で、あなたはこれからどうするのですか?」


「そんな帰りたい気分でもないし、ここに置かせてくれると助かるな~」


「住むのなら大歓迎だよ」


「にゃーう!」


「ありがとう、じゃあ改めて……。

 ルニア・フェル・エルハザードだよ。ルニアって呼んでね。

 んふふ、これからよろしく~」


 ということで。


 金髪ワンピース水着エルフのルニアが新しい住人に加わった。

 これでまた、色々とできることが広がるぞ。


 楽しみになってきた……!

ここまでで第1章、完結です!

また明日も複数回更新いたします。

宜しくお願いいたします!


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