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進むか進まないかの相談と理由

 …………そう言えば、一応少なくともシステム上は、さっきの階層は「全員が仲間」になっていたな。

 という事に気付いたのは、アナウンスを全て聞いて、そこからたっぷり間を開けてからだった。そうか。特殊条件。レベル10の突破しか考えて無かったな。そもそも、満たせると思ってなかったし。

 ここでアイテムボックスを確認。マギゴールドは……無事に10万以上あるな。足りなかったらとても残念な事になっていた。


「とは、いえ……」


 正面を見る。私が今持っているものを含めて、10枚のカードが乗せられる台座と。……その奥に音もなく出現した、1人用の普通のドアを。

 完全突破証明書は、この攻略コースとレベルを示す「申請者証明書」に記録される形で発行されるようだ。これを持って奥の扉をくぐれば、異世界アイカの手続きを進められるとアナウンスは言っていた。

 うん。ちょっと混乱してるな。……とりあえず左手の扉に行って、部屋作成。入室条件を「私のフレンド」に限定してと。


「くーちゃん! どうしよう!?」

「まぁ混乱するよな。まず落ち着こう」


 私が部屋に入っていくらもしない内に、満華が飛び込んできた。うん。混乱するのは分かる。だから落ち着こうか。幸い、ここで考える分なら制限時間は無いんだし。

 待機部屋にはそれなりの設備が揃っている。とはいえ食べ物や飲み物がストックしてある訳ではないので、私が手持ちのスポーツドリンクを出してのお茶休憩だ。……茶葉から淹れてペットボトルに移しておいた紅茶系の方が良かったかな。

 ともかく、椅子に移動して飲み物を飲んで、ルーチンワーク的に一息つくと、満華もそれなりに落ち着いたらしい。


「いやぁー……びっくりしたねー」

「ほんとに。言われてみれば、全ての申請者が1つの集団になってたからそりゃそうなんだけど」

「あの塔が1つになってたもんねー。その後分かれたけどー」

「裏切りからの大惨事もあったし」


 そんな事を言いつつ満華は自分のアイテムボックスからみかんを取り出して、私の方にも差し出してきた。受け取って皮をむき、房を口に放り込む。甘酸っぱい。これでこたつだったら完璧だったな。

 武装解除もしてそこまでやって、ようやく落ち着いたって言えるだろう。魅了による裏切り騒動もあって、そもそも思ったより落ち着いてなかった気もするし。

 で、落ち着いたところで、改めてさっきのアナウンス……これからの事についての話だ。


「……正直に言えば、レベル10に挑んでみたい気もする」

「まぁちょっと中途半端な感じもするからねー。条件を満たしたって言っても、あれはたぶん、集団になった状態で、っていう話だろうしー」

「ただ、あれの事を考えると、さっさとこのダンジョンを後にした方がいいような気もする」

「それはー、うん。それはそうとしかー。くーちゃんの話からして、絶対やばいとは思ってたけど、あそこまでダメだとは思わなかったよー」


 まず基本的な部分。先に進むか、ここに留まるか。どちらにせよ、選ぶ理由はあるし、選ばない理由もある。そこは満華も同意のようだ。意見のすれ違いが無くていい事だな。


「メニューを始めとしたスキルや装備は残るものとして……ここに再挑戦できるかどうかもまだ分かんないしな」

「そうだねー。「安全地帯」の便利さはひーちゃん達のいる場所で何とかできそうだしー、ご飯もなんとかなるけどー、くーちゃんの弾とか装備用の素材とかは、調達できるかどうか分かんないもんねー」

「それに、このダンジョンは恐らく「チュートリアル」だ。実際の異世界っていうのが未知なんだし、レベル8の時みたいに、準備不足があったら詰む可能性もある」

「それはそうー。それに、アイテムボックスにはいくらでも入るんだからー、ストックはいくらあってもいいよねー」


 レベル10に挑む理由はこんなところか。私としては、レベル10に挑んでおきたいし、挑んでおくべきだと思う。チュートリアルっていうのは、最後までやり切ってこそのものだ。

 ……もの、なんだが。


「ただ……どーしても、あれがな……」

「あれがね……逃げたいよね。分かる。よく逃げられたねくーちゃん」

「あの都市伝説が本当じゃなかったら無理だったな。スマホに位置追跡アプリも入れられてたし」

「待ってそれ初耳だよくーちゃん。え? だから場所が分かったとか?」

「いや、スマホはたぶん、元の世界の部屋に置いて来てる」

「くーちゃんスマホ持ってないの!? それも聞いてないよ!?」

「言わなかったし、満華と会った時は必要なくなってたからな」


 正直存在も忘れていた。好きに調べものやゲームも出来ないどころか、それらを全て監視する為のツールとか、重荷以外の何物でもないな。改めて考えると。持ってない事に気付いた時はほっとしたが、あの時は今からすると、まだまだ感覚が麻痺しきっていた頃だし。

 ともかく。先に進むというか、レベル10に挑まない理由としては、その一点に尽きる。その一点が大きすぎるだけで。

 ……どうしたものか。


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