探索と武器とあって良かった便利能力
間を飛ばして5本の特殊な松明をアイテムボックスに入れて、その内の1本を左手に持った状態で階段を上がる。その先にあったのは、最初の部屋と同じ、見た目は石でできた部屋だった。
こちらも一定間隔で松明が設置されているが、距離のせいか最初の部屋から持ってきた松明に比べると暗い。そしてそこからは「存在感知」と「マルチハイディング」を意識して使いながら、通路を移動していく。
なお登ってきた階段は、部屋を見回している間に消えていた。戻る事は出来ないようだ。まぁともかく、と、かなり警戒しながら探索を進めていった。
「……本気で、メニューオプションを取っていて良かった」
で。そう疲れ切った声で呟きながら靴を脱ぎ、部屋の真ん中に寝転がる。この部屋は不思議な事に絨毯がひかれていて、ものすごく薄いが布団も隅にある。狭い流し台と一口だけだがコンロもあって、扉が1つしかないが冷蔵庫もその隣にあった。そして松明ではなく、壁にあるスイッチで操作できる電灯だ。流し台の反対側には扉があり、そちらは洗濯機とトイレ・お風呂のある水回りである。
どうやらメニューオプションの中には「マップ」があり、今まで通った場所や「存在感知」で探した範囲にあったものが自動で記録されていたらしかった。いやぁ、何の気なしに最大縮尺で「マップ」を見てみたら、壁の向こうに部屋があってしかも「安全地帯」とか書いてあるから、どうやっていくんだろうと思った。
入り方? その「安全地帯」と書かれた部屋の回りをしばらくうろうろしてみたら、一部の壁に違和感があったよ。しばらく触ったり叩いたりしてみたら「破壊可能」って出てきたから、あのでっかい銃で吹っ飛ばした。
「まさか1発で壁が壊せるとは思ってなかったけど」
一体どれだけ火力があるんだろうな。ちょっと考えるのが怖い。対策したつもりではあったけど、ヘルプ通りに撃った時の反動も本当に痛かったし。肩を殴られたのかと思った。
これもオプションに入っていたのか、メニューからは経過時間を確認する事が出来た。初日にこの部屋を見つけられたのは運が良かったのか、それとも見つけられる位置に配置してあったからか。
ちなみに、現在。最初の部屋から出て、5日が経過している。いや、この部屋を基準にして動いているとはいえ、広いんだよ。予想通り迷路になっていたから、目的地が設定できる地図が無かったら迷子になってたな。
「けど1発で済んで良かった。あそこで3発以上使わされてたら、弾切れが見えてたし……」
そしてこの非常に広い迷路を歩き回って確認出来たのは、こっちに攻撃するそぶりを見せる二足歩行のメカだ。多少形が違うので何か違うんだろうが、今のところ全て一撃で吹き飛んでいる。
本当に破格というかオーバーキルな射程と威力なのだが、一度撃つたびにしばらく肩が痛くて動けなくなることと、アイテムドロップで手に入る弾の数が3個から0だってことが割と問題だ。
たぶん3個落とす奴はあれだろう、と絞り込めてきたので、そいつだけは絶対に倒すことにしている。他のと比べて大きいというか厚みがあるので、たぶん正面から至近距離で戦ったら厄介な奴なんだろう。
「まぁ他のも、食べ物を落とすから全部仕留めるんだけど」
もちろんアイテムドロップで、なので、床に落ちたりはしていない。……箱に入った栄養補助食品的なブロックか、ペットボトルに入ったスポーツドリンクだけど。あとたまにどー見ても眠気を追い払うための栄養ドリンクっぽい瓶。
中身を食べた箱やペットボトルは再利用できるらしいので、ペットボトルの方は流し台で洗ってアイテムボックスに放り込んである。瓶は効き過ぎる体質だから手を付けていない。
ただ救済措置なのか本来の仕様なのか、過剰火力を叩き込んでバラバラの破片になってしまったメカの残骸も回収できるし、それをアイテムボックスに入れておくと、しばらくすると別のものに変換してくれるらしい。
「……マギゴールドって書いてあるし、たぶん本来の仕様なんだろうけど」
手のひら大の残骸は食べ物だったり弾だったりに変わるが、折れたネジや爪より小さい金属くずとかはそれに変換されている。取り出してみると、それは一番大きな硬貨ぐらいの金貨だった。これが特殊通貨らしい。
問題があるとすれば……ここが最初の場所だからか、それとも私の倒し方が悪いからか、あのメカ1体につき、マギゴールドが1か2しか手に入らないって事だ。
これを10万、というのは、気が遠くなるどころじゃない。しかもヘルプから説明を読み返す限り、どこかでこのマギゴールドを使って「買い物」が出来る場所がある。
「先に進むと、もっとアイテムドロップが美味しい相手とか出てくるのかな……」
とはいえ、それはたぶん強い相手って事なんだろう。
……せめてもうちょっと、移動だけでもすぐできる程度に、あのでっかい銃の反動を何とかしてからそういう奴は相手にしたい。




