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接触と相手の話と顔

 装備を黙々と強化しながら不審な気配に対する動きを考えていた訳だが、しばらくすると何故か勝手に引き上げていった。ここまでは本当にしつこかったのに、何の気紛れだ。

 と思うのもつかの間、今度は真っ直ぐ近づいてくる少人数の集団を感知した。しかもその中に、あの隠密系騎士が混ざっている。とうとうと言うべきか、やっとと言うべきか。


「満華ー」

「なーにー?」

「大集団のとりまとめ役が来てるから、外に出る準備をしてくれ」

「分かったー」


 入り口が開きっぱなしの亜空間へと声を掛けて、広げていた生産道具と素材を片付ける。持ち込んだものをそこらに置いていたりはしないから、片付ける物も特にない。筈だ。それでも一応一通り見て回るけど。

 少なくとも自分が使っていた範囲の部屋を確認し終わったところで、中型猫サイズのひーちゃんを肩に乗せた満華が戻って来た。その背後で亜空間の入り口が閉じる。


「とりあえずくーちゃん」

「何?」

「あの人がいるんだったら、引き続き交渉役は任せていいかなー。私達が2人組だっていうのはもう言ったから、出来るだけ私の方がお話し得意って言うのは伏せておきたいんだー」

「何となくそんな気はしてたから大丈夫だ。自信は無いけど」


 手札は出来るだけ伏せておきたい、というのは同意だから、問題はあるかも知れないが仕方ない。そもそも最初から言葉少なにして、あんまり喋りたくないっていう空気は出していたし。

 お互いにしっかりと顔を隠した状態だっていうのを確認し、外を気にしているひーちゃんにも隠れてもらう。そうしてこちらの準備が整ったあたりで、騎士達っぽい反応が「安全地帯」のすぐ近くに到着した。

 さてどう出るつもりだ、と、外に出るタイミングをみるために「安全地帯」の出入り口の脇で様子を窺っていると。


「同盟者が迷惑をかけたようだ! すまない!」


 そんな、とてもよく通る声が聞こえてきた。念の為その場で壁に触れて音声周りの設定を再確認する。……うん。完全に内からも外からも音は通らない設定になってるな?

 だが実際声は聞こえている。という事は「安全地帯」の仕様ではなく、あちらのスキルか装備効果なのだろう。なら、声が届く前提で動いてる、って事になるな。


「……仕方ない。いくか。妙な動きをしていた方は撤収しているし」

「なら大丈夫かなー」


 念の為リボルバー状態にしてある銃をもう一度確認し、私が先で満華がその後ろについて行く形で「安全地帯」を出た。その先にいたのは、「存在感知」で分かっていた通り、前に接触してきた隠密系騎士と、同じく全身を金属鎧で包んだ2人の人物だった。

 1人は隠密系騎士より更に一回り大きく、ゴツイ。鎧自体もずっしりと重量感を感じる見た目で、とても防御力が高そう、かつ、重そうだ。そして背中に、その大きな見た目と同じくらい大きな両刃の斧を背負っている。

 もう1人も同じく全身金属鎧だが、こちらは随分と軽量化されているらしく、全体的に細身で動きやすそうだ。ベルトの左右にそれぞれ細身の剣を下げていて、その1人は鎧の頭部分を外し、小脇に抱えていた。染めた感じのしない、鮮やかな赤毛をポニーテールにした女性だ。


「ふむ! 聞いていた通り詳細が全く分からない風体――女性2人と言ってなかったか? どこで判断したんだ?」

「答えてくれた方が女の子の声でー、質問で2人は同性って返ってきたんで。やぁ、お久しぶり?」

「つまり明言された訳ではないと。なるほど! ともあれ、先ほどの謝罪は本心だ! 本当にすまない、そして、声掛けに応えてくれた事に感謝する!」


 その目もまた鮮やかな緑色で、何か色々はっきりした人だなと思ったんだが……これは、見た目通りで大丈夫そうか。ちょっと後ろに下がったところにいるでっかいのが気になるけど。


「……あんな大声を出されれば、寝てても気付く。ところで、置手紙は読んだ?」

「置手紙。あれか。あれなのか。壁にすごい勢いでめり込んでたやつ。取り出すのに時間かかってこのタイミングになったけど、読んだよ」

「字が綺麗な人間は性格も良いと決まっている。だから是非とも同盟に参加してもらいたい!」

「オーケーオーケー、ちょっと待ってくれ。この話を進め過ぎるリーダーにもっかい説明してくるから」


 念の為本人である証明として、本人でしか分からない情報で確認を取ると、そんな返事があった。なるほど、無事読んでもらえはしたらしい。

 ただそこに繋がる形で話が一足飛びに進みかけたので、隠密系騎士が赤毛の女性、姫騎士っぽい人の腕をつかみ、そのままずるずる引きずってちょっと離れた物陰に連れて行ってしまったが。


「……あれだな。典型的な、カリスマと幸運とプラス思考で何となく全てが上手くいくタイプだな」

「……そうだねー。で、実務を担当して走り回ってるのがあっちの人かなー」


 姿勢を変えず、小声で満華と印象を確認する。あっちの人、というのが隠密系騎士の事だろう。確かにそんな感じだ。

 ……となると問題なのは、あの、全く動きの無い大きな姿の方なんだが。あれか? 威圧担当か?


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