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孵化と名前と兄弟と闇

 卵が孵ったのは、私が一通りの強化を終えて装備を返し、ご飯を食べて二度寝して、自然に起きて再び装備の強化を進めている頃だった。一応時間を見ると、満華に卵を見せられてから20時間ほどが経っている。……もしかして、孵化にかかる時間は24時間か?

 思ったよりもぐっすり二度寝していた事にちょっと驚きつつ、孵った手乗りサイズのドラゴンを見る。ふむ。


「緑色って事は風属性?」

「みたいだねー。鱗じゃなくて羽だけど、これはこれで可愛いー!」

「ピー」

「ギュ……」


 こう……鳥をドラゴンにした感じの、全身が羽毛に覆われたドラゴンだったんだ。手足は4つだし翼は別だし尻尾もぐねぐね動いてるから、鳥じゃなくてドラゴンなんだよな。大人しくお座りしてたらぱっと見鳥にも見えるけど。

 どうやら眼の色が金色なのはひーちゃんと一緒らしい。そのひーちゃん、中型猫サイズですっごい複雑そうな顔して新しい鳥ドラゴンを見てるけど。下の兄弟に親を取られた子供か? 大体間違ってない気がする。

 私の状況にも似ているが……まぁ、私の場合はそもそも私を優先される事自体が無かったというか、妹だと思ったことがほぼ無いからな。最初からあの2人は私の親ではなかったし、妹を名乗るあれも私を使う側の人間だった。


「……仮にも親を名乗るなら、4歳の子供を1人で風呂に入らせないよなぁ……」

「ギャウ?」

「ピ?」

「くーちゃん今なんかすごい事が聞こえた気がしたんだけど!? どういう事!?」


 よしよし、とひーちゃんの頭を撫でながら私の扱いについて思い出したことを零すと、ドラゴン2人は疑問形だが、満華が顔を引きつらせてしまった。あ、うん。流石に私でもそれはあり得ないって分かってるから大丈夫。


「4歳の時に、生みの母親が失踪してな。一応あの戸籍上の父親も、私が小学校に入るまでは毎日帰ってきてたんだが、その内容がコンビニ弁当を置いていく事と風呂の水を抜く事と、後は月に2回ほど雑にごみを捨てるだけだったんだよな」

「掃除と洗濯はどうしてたの!?」

「掃除はしてなかった。私が一番最初に出来るようになったのが掃除だったからな。洗濯は、何かごわごわしてサイズの大きい下着が山になってたから、安い服を使い捨ててたんじゃないか?」

「くーちゃん、もう戸籍上のってつけても親呼びしなくていいと思う」

「人間としてクズなのはとっくに知ってる」

「クズどころじゃないよそれはー。……待って? 小学校に入るまでは毎日帰ってきてたって、小学校に入ってからは違うの?」

「月に1度顔を見せれば良い方だな。本人の機嫌が。生活費のつもりなのか、万札を数枚置いていくだけだったが」

「くーちゃん小学1年生の時から1人暮らししてたの!?」

「水道代や電気代はクズとはいえ払っていただろうから、完全な1人暮らしではないけどな。流石にその時ばかりは近所の人の助けを借りた。見た目上の家族が4人になってからは、流される噂のせいで疎遠になったけど」

「もうどこからどう言ったらいいか分からないよー……」


 流石にそれがおかしいっていうのは分かってるからな? 当時はそれどころじゃなかったとはいえ、授業参観や遠足のお弁当で「普通の家庭」の基準は知っていたし。

 うん。だから小学校も高学年に上がる頃には、「あれは親ではないんだな」という理解と共に諦めていたんだ。少なくとも戸籍上の、恐らく半分は血が繋がっている筈の父親については。

 ただなぁ。……小学生に対して、略奪愛について理解しろという時点で問題しかない上に、略奪された側の子供について触れられているものはほとんどないだろう? そういう事だ。


「一応当時は継母について多少期待が無くも無かったが、10歳の時に形式上の葬式をして、その場で声を上げて楽しそうに笑ってる親子を見て完全に諦めたな。その後家に上がり込んでくるとは思わなかったし、する気もない家族団欒を強制してくるとも思わなかったけど」

「ねぇくーちゃん。やっぱりおにーさまに連絡入れていい? ちょっと社会的制裁だけじゃ足りないと思うんだよ」

「雑草を排除するのに焼夷弾を投下するようなものだろ、それ。過剰火力過ぎるし自滅するのが分かり切ってる相手にかける手間じゃない」


 なお新しく加わった鳥ドラゴンについては、翡翠みたいだからすーちゃん、と名付けられた。

 ネーミングセンスについてはさておき、ひーちゃんがバランス型だとするなら、すーちゃんは速度特化と言ったところだろうか。能力については実戦で確認するしかないが、とりあえず装備を作らないとな。


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