休息と様子見と想定外
久しぶりの安全なベッドだったからか、階層数で言えば過去最高な現在位置における相応のグレードだったからか、いつもより寝すぎたらしい。満華に起こされたからな。
なんかあったのかと思ったが、単純にいつもの睡眠時間を過ぎても起きてこなかったから様子を見に来たらしい。なおかつ、何度か様子を見に来ても起きる気配が無かったから、声を掛けて揺さぶって起こしたんだそうだ。
「何なら二度寝していいから、とりあえず一回起きなよくーちゃん」
「二度寝はしていいのか……」
何の基準だ? と思った訳だが、起きると意外と動けるらしい。幸い「安全地帯」の周囲を囲まれているという事もなく……何か出入り口の辺りを不審にうろうろしている人間数人分の反応はあるが……平和な起床ではあった。
数人分の反応を満華に伝えつつ、アイテムボックスの中に入れていた素材の状態を確認。問題なく加工できる形になっているな。しばらくは強化作業といくか。
パーツに加工されているから使うのに躊躇わなくていい銃から強化していると、満華が何か、バレーボールより一回り小さいくらいの透明な球体を掲げて見せた。まぁ透明なのは縁の部分だけで、真ん中は白く曇ってるんだけど。あと、ちょっと楕円形というか、卵型だ。
「あっ、そうだくーちゃん。みてみてー!」
「うん? …………卵?」
「そう! なんとね、ひーちゃんの卵ね、宝石だったみたいなんだー!」
「ギャゥ!?」
「それは驚きだな……何か本人(竜)も驚いてるが」
宝石、で、あのサイズというと……あぁ、あれか。素材を集めまくっていた中で、何かクリティカルでも出たのかゴロッと一抱え程もある晶石の塊が出てきたやつ。「宝石加工」のスキルを持っているから、晶石は満華の取り分だったからな。
私の弾も晶石を使うが、スキルを持っている満華が加工した方が威力が出るらしい。これ以上火力を上げてどうするんだという気もするが、まぁ、強敵が出てくる可能性も高いというか、まさにこの階層で待ち構えている可能性が高い訳だし。
近くのソファーの端でのびて転寝していたらしいひーちゃんが、卵が宝石だったと聞いて驚いているが、もしかして知らなかったんだろうか。……いや、普通は知らないか。
「だからー、変な人がいるみたいだし、この子が孵るまではお休みでいいかな?」
「いいぞ。私ももうちょっと休みたいし、素材が手に入ったんだから装備を強化しておきたい」
「ありがとー! あ、これ加工出来た宝石と強化して欲しい装備ー!」
卵に引き続き、孵る、というワードを聞いたからか、いきなり落ち着きを無くして満華の周りをおろおろ、違う、うろうろしだすひーちゃん。ちょっと面白いじゃないか。本人(竜)はそれどころじゃないんだろうが。
どっさり、とそれなりの大きさの箱に山積みにされた宝石と、マントやスカーフなんかの装備をまとめて渡される。私の方と大体半分ずつ、いやこれひーちゃんの分の装備もあるな。均等になるように分けて強化しよう。
もしかしなくても、満華が今楽しそうに抱え込んでいる卵が孵ったら、推定新しいドラゴンにも装備が必要だろうが……まぁ、そちらはそちらで新しく作るとしよう。卵を抱えたまま満華も生産道具を取り出して、晶石を加工し始めているし。
「それにしても、透明なドラゴンって想像つかないな」
「うーん、透明かどうかは分かんないかもー。ひーちゃんの時もこういう、透明で白い卵だったしー」
「……なるほど。属性被りも有り得る、と」
「ギャウ!?」
まぁたぶん無いだろうけどな。卵の中身が周りの環境や状態に左右される事なく、完全にランダムとかでない限りは。
……完全にランダム、っていうのが有り得ないとは言い切れないから、おろおろしているひーちゃんにかけられる言葉は無いけど。




