初期設定の完了とやり込み系の探索
のんびり、と書かれたカードは見た目通りに金属のようで、そこそこ重量があった。アイテムボックスに入れてみると、カードの名前は「申請者証明書」というらしい。ヘルプを確認すると、この「申請者証明書」を使って他の申請者と連絡を取ったり買い物をしたり出来るらしい。(要「メニューオプション」)
『それでは以上で初期設定を終わります。申請者様が無事に手続きを終えられることをお祈りしております』
……お祈りされても……。とちょっと反応に困ったところで、正面の壁が凹んで、幅2mぐらいの階段に変わった。1人だと広いが、複数人だと通り辛そうだ。まぁそもそも段差がある時点で武器であるあのでっかい銃は出せないんだけど。
しばらく待っても何も起こらなかったので、階段の脇にある松明の下へと移動してみる。……しまった、離れたところにあるものの情報を確認できるスキルも取っておくんだったか。
今はちゃんと靴も履いているし、軽くジャンプしてみてもアイテムボックスに入っているあの銃の重量は感じない。という事で、松明を入手できないか試してみる。
「この後、明かりが無いと詰む可能性もあるし……ここは安全、っていうんなら、取れないなら取れないで、それを把握しておくことは大事だし」
逆に言えば、ここで取れればこの後明かりが必要っていうのが確定でもある。……松明って消耗品でいいんだろうか? ちょっと違う気がするな。
片手が塞がってしまうし熱そうだが、私の場合武器を使うのにアイテムボックスから出すというひと手間がある。そこで放り込むなら一緒だろう。という事で、松明を下から観察。
細長い金属の輪に斜めに突き立っている、という感じだな。たぶんジャンプして飛びついて、その勢いで上に放り投げれば……天井にぶつからなければいける筈だ。という事で、レッツジャンプ!
「あっつぅ!!」
……松明を掴んで、台座である金属の輪から外すことは出来た。出来たが、思ったより火の近くを掴んでしまったのか、滅茶苦茶熱かった。
着地してすぐぱたぱたと柔らかい服の部分で手の平をはらい様子を見るが、幸い赤くなっただけでミミズ腫れにはなっていないようだ。良かった、と言うべきか。
で。と、放り出した松明を確認する。無事に床に落ちて燃えている。少なくとも見た目は石で出来ているからか、床が燃えたりはしていないらしい。火がついている場所と反対側をもって、アイテムボックスに入れてみる。
[松明:道具:消耗品:特殊
火を点ける事で周囲を照らし、温める道具
火を点けてしばらくすると燃え尽き「炭の棒」に変わる
特殊:この松明は燃え尽きない]
…………燃え尽きない松明?
いや、うん。確かに、この部屋? に来てからずっと変わらないなと思ったら、特殊な松明だったようだ。燃え尽きない松明かぁ。……ファンタジーをこんな形で実感する事になるとは。
ちょっと「炭の棒」っていうのも気になったが、尽きない明かりは貴重だ。説明を見る限り、温度的にもあれば助かるだろう。何せこっちは着の身着のまま、防寒具なんてないからな。
「マントは暖かくてもそこそこ止まり。食べ物も、どうやって手に入るのかはともかく、もし水があっても煮沸してからの方が安全。……まぁ全部取ると次の人が困るかも知れないし」
5本ぐらいあればいいだろう。たぶん。さっき触った感じ、近い場所だとより暖かいみたいだし、暖を取る焚火代わりにするにしてもそれぐらいあれば十分なはずだ。
ただ特殊な分、火のついた棒、という武器には出来そうにないな。火が消えても点けなおすぐらいは出来そうとはいえ、点けなおしたら普通の松明に戻ってるという可能性もある。
部屋の壁際に並んでいる松明は20本以上ある。なら5本ぐらい持って行っても大丈夫だな。……たぶん。
「消耗品と書いてあるからドロップアイテムでも手に入るんだろうけど、それはそれで火を点ける手段が必要だし……」
一応その場でアイテムボックスに入れた特殊な松明を取り出すと、変わらず火はついていた。良かった。これで火が消えて普通の松明になっていたらどうしようかと思った。




