進行と違和感と嫌な予感
さてそんな訳で、色々と試行錯誤が足りない事を痛感しつつ攻略コース「のんびり」レベル9も進んできた訳だが、ここに来てちょっと見過ごせない違和感を感じるようになった。
それは恐らく満華も同様で、探索中にきょろきょろと周囲を見回す事が増えている。別に何か困っている訳ではないし、むしろ快適ですらあるが、それでも仕様と言うのは無理があった。
これに関しては考えても原因が分からないのは分かっている。違和感を覚えたまま先に進むしかないのも確定だ。だが、それでも一応、認識の共有はしておいた方がいいだろう。
「……満華」
「なーにくーちゃん」
「レベル9になってから、一度も他の人と遭遇してないけど、仕様だと思う?」
「遭遇。うーん確かにくーちゃんからすればそうなのかも知れないけどー。とりあえず、仕様って言うのは無理があるんじゃないかなー」
そう。レベル9に上がってから、他のタイプの敵も出てこないし、見つけることが出来る塔も1つだけだった。これまでは接触のあるなしに関わらず、塔はだいたい2つか3つがデフォルトだったのに、だ。
ここに来るまで、これだけ仲間を増やすこと、あるいは仲間になり得る相手と出会うことを推奨してきたのに、突然その方針を変えたとは思えない。だから、仕様じゃないのは間違いないだろう。
そこは満華も異論がないようで、「安全地帯」でのんびりする姿勢のまま、うーん、と考えている。
「でも、実際誰も会ってないのは本当だよねー。レベル6とか7の最後のことを考えると、仲間を増やすのは推奨だと思うんだけどなー」
「そこは私も思ってる。実際必要かとか、性格とか相性とか、そういうものは別にして、人数が多い事を推奨してるのは確かだと思う」
「まぁ合わない人はしょうがないよねー。と言ってもー、レベル8で全員振り落とされちゃって、レベル9に挑んでる人がいない、っていうのも無理があるしー」
「いくらレベル8が厳しいって言っても、流石にそれは無いと思う。第一、「メニュー」や「アイテムボックス」が無くても、私達よりよほど周到に準備をしてた人はいるし」
「そうだねー。すごい装備の人はいっぱいいたから、越えられた人はいると思うー。というか、あのキャンピングカーすごかったよねー」
「あぁ、確かに。あの人たちは少なくとも抜けてる筈……だとすると、やっぱり誰にも会わないっていう方がおかしいか」
「そうなると思うよー。理由までは分かんないけどー」
やっぱりおかしいな? という認識を共有、確認したところで、私も強化の為にパーツにばらしていた銃(アンチマテリアルライフル状態)を組み立て直した。そうだな。おかしいよな?
他に選択肢も無いし情報も無いから、どっちにしろ違和感を覚えたまま進むしかない。……とはいえ。
「そういう仕様じゃない上に、突破者がいないって訳でもないなら、他の理由って事だから……どっちかというと、人の、申請者の側の問題、かな」
「具体的には分かんないけどねー」
いずれにせよ、警戒はしておくべきだろう。警戒して防げるものでもないかも知れないが、警戒しないよりはすぐに動けるだろうし。
なんかここに来てモンスターからも武器含む装備がドロップするようになったから、大量に手に入る素材と合わせて装備の強化が捗っている。この分だと、メインで使っている靴とマントぐらいは限界突破して強化できそうだ。満華の分も含めて。
装備は防御力の他に、多少ステータスというか他の能力にも影響する事が分かっている。強化すればその影響、もしくは補正も大きくなるようなので、何かあったとしても対処できる確率は上がるだろう。
「……なんか、すっごい嫌な予感がするんだよなぁ……」
「どうしたのくーちゃん?」
「いや。……人の側の問題、って色々考えてたら、何かろくでもない事になってそうだなって」
「まぁ問題を起こすような人がいる時点で嫌だよねー」
スキルが無いから金属は加工できないけど、布と革の分なら強化できるんだから、そっちでできる限り強化と対策はしておこう。防御力の他に、状態異常とかも警戒しとこうか。
過酷な地形にある乾燥とかも大別すれば状態異常になるみたいだし、そういう耐性系はどれだけあっても腐らないから、つけておいて損は無いし。




