敵と装備と諸々の仕様
手の痺れと痛みを何とかこらえながら、それでも出来るだけ銃をリボルバー状態にして戦闘に参加しつつ階層の探索を進める。1階層目なのにかなり広いし、何より戦闘が多い。これ、大丈夫だろうか。
なお弾に関しては、もともと持っていた弾に「カテゴリーチェンジ」を使うと6発分の弾になった。今まで集めた弾が無駄にならなくて良かったのと、いちいち銃そのものを変化させる事にならなくて良かった。
どうやらこの「カテゴリーチェンジ」というスキル、変える相手が大きいか重い、あるいは強力だと余計に疲れるらしい。あと生き物には使えない。だから銃そのものを変えるより、弾だけを変えた方が楽なのは確かだ。
「……うん。レベルアップしたらだいぶマシになった」
「くーちゃんの適応力もすごいねー?」
「適応力……というより、レベルアップの仕様? 頑張って鍛えた分が反映される感じだから」
「そうなんだー。あ、だからひーちゃんもたくさん戦った時の方がもっと強くなってたのかな?」
「ギャーウ」
という事で、何とか1階層目をクリアした。ボス部屋と天突く塔の仕様は変わらなかったから一安心だ。もっともこれも、レベル10になったら変わるかも知れないけど。
どうやら5階層ずつ変わっていくのは攻略コース「のんびり」の仕様だったらしく、屋内と屋外が入り混じる地形のテーマは5階層ごとに変わるみたいだ。あの何もない荒野の階層はやっぱり特殊だったらしい。
しかし戦う必要がある分だけたくさん素材が手に入る。せっせと各種装備を強化していって……その途中でふと気が付いた。
「満華」
「なにー?」
「ちょっとこれ着て、それで靴下これ履いてみて」
「わ、すごーい! くーちゃんとお揃いのマントだー! 靴下もすごいふかふか! でも暑くない! すごい!」
で、その「安全地帯」から出るときにひーちゃんには中型猫サイズになってもらい、満華のマントの下に入ってもらったら……うん。やっぱりというかなんというか、一気にエンカウント率が下がった。
靴ではなく靴下なのは、満華が履いていたのは運動シューズで、元々衝撃を吸収する能力が高いからだ。もちろんこちらも布が足せるので、強化できる範囲で強化している。
それにしても、ここまで変わるかぁ……という感じだ。そうだな。満華に渡したマントは防御力と環境耐性優先で、隠密性についての能力はほとんどつけてなかったからな。
「……くーちゃん。ごめん?」
「いや、気付かなかった私が悪い」
これはマジだ。装備は私の担当なのだから、少人数の利点である隠密性を生かす装備になっているか気付かなかったのは私が悪い。というか、隠密性を考えていない装備を作って渡していたのは私のせいだ。
装備が重ねられるようになったんだから、これからは全部の装備に少しずつ気配を消す強化を入れておこう。1つ1つは少しでも、重なればだいぶ大きい筈だ。現にその強化をメインで入れたとはいえ、他と比べれば強化値が低いマントと靴下でこれなんだから。
「キュー」
「ひーちゃんの分は流石に作れないかな……」
「ギュッ」
「まぁひーちゃん、大きさ変わる上におっきいからねぇ……」
「ギュ……」
……まぁ、限界はあるけど。どうやらひーちゃんの場合、装備したものと一緒に大きさが変わるらしい。だから大きさが変わるのは別に問題にならないんだが……流石に翼があって、飛ぶからな。マントは作れない。
じゃあどうすればいいか、っていうのも思いつかないので、小さくなってマントの中に入ってもらうのが基本になるだろう。そもそもが全身緋色、鮮やかな赤色なのだから、大きさもあって目立たないというのは無理があるし。
ともかく。静かに動くことによって、こちらが先手を取れるようになった。私の銃はどちらの状態でも静音性も強化されている扱いになるらしく、十分離れたところからなら撃っても敵が寄ってこなかったから。
「……くーちゃん」
「どした」
「私ちょっと考えたんだけど……素材をとる時って、もしかすると、一緒に行動してる人の平均値で発見されてたのかも知れないー」
「と、言うと」
「だって、前はどれだけ先に倒しても襲われてたのに、今は全然来ないじゃない? 復活するスピードが速くなってる筈だし、それならいくら先に倒してても、絶対に来るはずだと思うんだ?」
「……なるほど」
もしくは、「採取スポット」に対する行動で湧いて出てきてた可能性もあるな……もっと早く気付くんだった。いやまぁ、その分だけたくさん銃を撃つことになったから、早く慣れられたとも言えるんだけど。
まぁ、うん。今気づいたからよしって事で。……他にはないだろうな?




