待ってみた結果とその対応
幸い素材はたくさんあったし、どうやら「ひーちゃんのいるところ」ではある程度だが通常の素材を生産する事も出来るらしく、満華やひーちゃんの分も含めて装備(服)のサイズ調節をしたりしてのんびり過ごす事、3日。
「……流石に動かないとまずいか」
「えっ、でもまだいるんだよねー?」
「いる。でもなんか適宜交代してるみたいだし、補給もしっかりしてるみたいだから、割とこっちの方がジリ貧かな……」
「ご飯はいっぱいあるよ?」
「それはそうなんだけど」
そうだがそうじゃない。と返したところで、もう一度「存在感知」を最大まで展開する。……やっぱり人がうろつき続けているな。人形とかではない筈だ。個人の識別は出来ないが、正体不明ではないから。
ちなみに、籠城をするというだけなら何の問題もない。水道の水は普通に飲めたし、「ひーちゃんのいるところ」には果樹がたくさんあるようだ。そしてこれはある程度果物をとったら種になるんだそうで、それを植えればまた生えてくる。
で、果物が手に入るという事は、果物の加工品(菓子パンを含む)が手に入るという事だから、何も問題はないんだよな。
「それに、流石に暇になりそう」
「あー……それはそうかもー」
「前に言った要注意人物が追いついてくる可能性も上がるし」
「ストーカーさんは嫌だよねー」
という事で、外に出ることにした。向こうがどれだけ隠蔽しているかにもよるが、少なくとも私の「存在感知」では罠が仕掛けられていたりはしない。「安全地帯」への入り口になっている、大きな岩の周りをそれなりの人数がうろうろと歩き回っているだけだ。
外に出る方法としては、ひーちゃんに乗っての強行突破か、私の「マルチハイディング」を活用しての隠密行動かという選択肢がある。隠密行動の方が安全だとは思うんだが……。
「少なくとも干渉を避けている「安全地帯」が囲まれ続けているんだから、向こうにレベルの高い感知系スキル持ちがいるのはまず確定してるっていうのが問題になるかな……」
「そうだねー。それに私達は穏便に済ませたくても、囲んでる人たちはそうじゃないかもしれないしー」
「ギャーウ」
相談の結果、強行突破という事になった。時間はたくさんあったから、ひーちゃんの装備も鞍関係以外、身を守ってダメージや状態異常を軽減する類も作れたし、満華にもマントを縫ったので、まぁまぁ防御力と隠密性も上がっている筈だ。
外からこちらの動きを観察されているかも知れないので、一応まず出入口となっている壊した「壊れる壁」から90度の方向へ2人と1体で近づいてしばらくじっとする。そこに出入口があって、そこから様子を窺っているように。
「くーちゃん、どうー?」
「素直にこの先に待ち構えてるね。人数を集めてご苦労様だ」
「ご挨拶したいのかもしれないよ?」
「出入口で待ち構えた上、人数でとびかかって捕獲するのは挨拶とは言わない」
「それもそうだねー」
……そんな会話をしても動きに変わりはない。これは、中の会話は聞こえてないって事でいいかな。まぁ、あれだけ細かく設定をいじったし、その中には音声を漏らさない関係のものもあったから、これで会話が聞かれていたら、レベルをクリアした時の場所で苦情を入れよう。
というか、メニューにもヘルプにも、質問を送る事が出来るという意味のサポート機能が無いんだよね。まぁ最初のうちにその機能があったら、それこそ何でもかんでも質問し倒してただろうけど。
考えが逸れた。さて、靴もちゃんと(靴底をしっかり拭いてから)履いたし、マントや帽子、ゴーグルを始めとしたフル装備もオッケー。銃は邪魔になるのでまだアイテムボックスの中だけど、ベルトやポケットにはしっかりと銃弾を補充している。
「ドラゴンが飛び出してくるまでは想定済みの可能性があるから、気を付けてね」
「そうだね! それじゃひーちゃん、お願い!」
「グァアアッ!!」
とりあえず今は、身動きが取れない状態を解消するべきだろう。




