武器の強さに取り回しと持ち運びの項目は入っていない
『スキルの選択が終わりましたので、初期装備の設定に移ります。ただし特殊事例によりボーナスが付いた為、武器選択が存在しません』
「え? 武器選べないの?」
『本来であれば本人の適性に応じた複数の武器から1つを選ぶ形となりますが、ボーナス分だけ強力な武器になった分、それを仮とはいえ複数提示する事は出来ないということになりました。ご了承ください』
「それ本当に扱える武器が来るんだよね?」
大丈夫かそれ。強力な武器、の、強力、の中に取り回しは入っているんだろうか。いくら武器としては上等でも、自分より大きな剣とか重石以外の何物でもないぞ? 本当に大丈夫?
そう思っている間に机のようになっていた部分は沈み込んで元通りになり、再びせりあがってきた。さっきと同じくらいの高さまで上がってきて、今度はこっちに向いた面がぱかっと開く。そのまま差し出されるように、ずいっと手前に出てきた。
ただ、その、だな。……出てきたものっていうのが、うん。
「…………確かに、強力な武器ではあるだろうけど……」
たぶん、いや絶対に、私の身長より長い。本体の大きさに目を奪われたが、その横に三脚みたいなものが置いてあるから、手に持って持ち歩くものじゃない筈だ。
鉄の塊、というには随分と現代的なそれは、私の語彙では銃としか言いようがない。もっとも十分にゴツいし、そもそもどうやって持ったらいいのかも分からないんだけど。
……が。選択肢が無いし、確かに「強力な武器」ではあるので、非常に長い……銃身? の部分と、引き金の後ろ辺りをもって、まずは持ち上げ
「おっっっも!?」
られず、数ミリ動かしたところで断念した。え? これを持ち歩かなきゃいけないの? いやいやいや無理無理無理。
とはいえ、繰り返すが選択肢はない。悲しい事に。……とりあえず、まず横にあった三脚のようなものを手に取る。軽く動かしてみると、間違いなく三脚だ。私が知ってるものより数段はゴツいけど。
しっかりとせり出した部分の前に立てた高さ1m弱のそれを本体と見比べて、どこをどう乗せれば安定するのかを確認。……たぶんこの、本体についてる足みたいな部分のもうちょっと奥かな。バランス的にも。
「たぶん、最低でもこの台から降ろさないと、少なくとも入手扱いにはならないだろうし……。正直使い方とか全然分からないけど……。アイテムボックスにも、一回は自力で持てないと入らないだろうし……」
自分で自分に「やらなきゃいけない理由」を言い聞かせ、再度その巨大な銃に手を伸ばす。よりゴツい、たぶん本体に当たる場所の下側、触って力を入れても何も動かないことを確認した部分と銃身っぽい長い部分を掴んで、深呼吸を1つ。
「っせぇ……のっ!!」
足もしっかりと踏ん張って、何とか数センチ持ち上げたその勢いで三脚の上へと移動させる。幸い三脚の先端部分はUの字になっていたから、向きも同じにそろえていたそこに、半分落とすような形で乗せた。
いや。いや、重い、重すぎる! どうやってこんなの持ち歩けって!?
『武器選択が終わりましたので、防具選択に移ります。任意の防具を3つ選択してください』
割とこの、持ちやすい高さで短時間の移動でもぜーはー言ってる訳だが、全く意に介した様子もなく謎の声は続ける。それを聞く目の前で、床からせりあがった机のようなものはまた床へと引っ込んでいった。
というか、この演出いる……? とちょっと現実逃避しながら、その床が再びせりあがってくるのを見る。なんだっけ。防具か。身を守るもの。3つって事は、どこの部位かを選ぶとかか。
金属鎧とか持ってこられてもどうしようもないな……と思いながら三脚に乗せたでっかい銃をそのまま様子を見ていると、今度は天板が2つに割れて横へスライドしていった。……時々妙なこだわりが見える気がする。
「この中から3つ……?」
さきにこのでっかい銃をアイテムボックスに入れる方法を探すべきか、と思ったが、一応先にどんなものがあるかを確認しておく。……ちょっと、武器の重さを軽減する装備とか無いかな、と思ったのもある。
今度はショーウィンドウに並ぶみたいに、チョッキみたいなものやはちまきみたいなものが並んでいた。見るからに鎧という感じのものもあったが、こちらも手を近づけるとざっくりした説明文が出るようだ。
「……とりあえず、靴は確定かな。あとは確か銃って、でかいやつほど反動があるとかどっかで聞いたような気がするから……肩とか、首?」
どちらにせよ防具選びは時間がかかりそうだったので、先にでっかい銃をアイテムボックスに入れておくことにした。流石に出しっぱなしはちょっと。それに、アイテムボックスに入れたら説明文ぐらいは出てこないかな、というのもあるし。




