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とても厄介で迷惑な正攻法

「あの塔が、今いるこの階層にいる「申請者」のグループと同じ数だっていうのは間違いない」

「そうだねぇ」

「って事は、この階層にはあれだけの人数がいるって事になる」

「賑やかだね!」


 1つ1つ、事実から始めて、次にほぼ事実を並べていく。確実な部分から情報を共有していかないと、何かすれ違いが出るかもしれないから。相手の考えを読む能力はない。だから、うっかり間違いが無いように確認する事はとても大事だ。


「そしてこの階層は、攻略コース「のんびり」レベル6の、最終階層」

「もう一息だね!」


 そう。もう一息だ。それも間違ってない。ただし。


「それでもって。条件付きで、完全突破証明書が貰えるレベルなんだよ」

「あっ、そうだっけ!」

「そうなんだよ。……私達は、その条件を満たしてないけど」

「そうなの?」


 そうなんだよな。だって、とりあえず分かっている範囲の「全条件」っていうのは、まず地図の完成率。後から確認したら、このオープンワールドに入ってから、素材の採取率っていうのが加わってた。そして。


「だって、敵の撃破率が、絶対に100%にはなってないからね」

「なんで? 見つけた相手は全部倒したよ?」

「一緒に行動してない人の分は含まれないから」

「そうなの!?」


 そうだよ。この撃破率は、あくまで自分と、一緒に行動している人が撃破しなきゃいけない。もしかしなくても、採取率だってそうだろう。はっきり言って、実質達成不可能な条件だ。


「えっ、それじゃ、誰も達成できないよね!?」

「普通にやってればね」

「だよね!? ……ん? 普通にやってれば?」

「普通にやってれば」


 ただし。その条件を満たす方法は、存在する。だからこそあの乱立状態になってるんだろうし。

 そしてその方法は、少なくとも私、そして満華とひーちゃんにとっては、最悪に


「迷惑な方法をとれば、達成できる」

「えぇっ、できるの!? あれっ、でも迷惑? 迷惑はダメだよ!」

「私達がその方法を取る必要はない。そもそも、このまま自分と装備を強化し続けられれば、レベル10のクリアも問題なくいけるだろうし」

「あっ、そっか」


 そう。私達がその方法を実行する必要はない。このレベルをクリアして、さっさとクリアするだけで完全突破証明書を得られるレベル10に辿り着けばいいだけの話だ。


「あれ? じゃあ何で今話をしたの?」

「……それが、この階層における、一番の厄介ポイントだからだよ」

「そうなの?」


 そう。問題は他の誰かがその方法を実行するにあたって、私と満華が「巻き込まれる」って事だ。何故ならその方法とは。


「だってその迷惑な方法っていうのは、同じ階層にいる「申請者」の、全員と仲間になるって事だから」

「……なんで?」

「仲間になれば、その階層での討伐率は共有になる。後はしっかり探索をすれば「全員が仲間」の状態で階層を抜けられる」

「そうなんだー!」


 すごーい! とばかり感心している満華だが、ひーちゃんは私の言わんとした「この階層がやばい」理由を察したらしい。ぼふっ、と、小さく火を吐いた。あ、飛ぶだけじゃなくて火も吐けるんだ。

 まぁ満華も、頭のスペックだけで言えば十分に賢い。感心してからしばらくして、ん? という感じで首を傾げた。


「あれ? でも何でそれが「やばい」の?」


 ……気付いた訳ではなかったようだが、まぁ、直接被害を被った事はないし、ひーちゃんが大体全員追い払っていたからな。分かっていた。分かってくれないのは。


「私達は、この階層に既に足を踏み入れている」

「そうだね?」

「かつ、私と満華とひーちゃんは、他に仲間は必要ではない」

「そうだねー。直接会えて逃げなかったのはくーちゃんだけだし」

「そしてこの階層には、「申請者」が相当な人数いる」

「たくさん塔があったもんね!」

「その理由は、完全突破証明書狙いの、全員を仲間にする為という理由でほぼ間違いない」

「そっかー、そうなるんだね! ……あれ?」


 必要ではないどころかむしろ邪魔なのだが、それを言って伝わらないだけならともかく何故か傷ついた顔をするからな。本当の事だと思うんだが。

 けど、流石にここまで懇切丁寧に話の流れを並べると、何が「やばい」のかには気づいてもらえたらしい。


「……くーちゃん」

「何」

「もしかして、その人達って、私達の事も仲間にしようとするのかな?」

「間違いなくするだろうね」

「それで、塔がたくさんあったって事は……その人達同士でも、仲が良くない、のかな?」

「そうでなきゃ塔は数えるほどになってると思う」

「……仲の良くない人達が、それでもこの階層にいる人達を、それぞれが、全員仲間にしようとしてる、って事、かな……?」

「そうだよ。推測だけど、かなり大きい可能性で」


 だんだんと顔色が悪くなっていく満華には悪いが、そういう事なんだよな。


「…………それって、かなり、喧嘩になったり、するんじゃないかな……?」

「そこに突っ込んでいって捕まえようとする手を掻い潜ってボスを倒して次の階層に行かなきゃいけないんだよ」

「それはすっごい大変な事だよね!? うん、これは確かに「やばい」よ!」


 無事伝わったようで何よりだ。


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