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厄介事と関わる覚悟

 レベルが上がると、感知した物の詳細が分かるのと、感知範囲が広がるのを交互に繰り返すタイプだったらしい「存在感知」は、頑張って使い続けたかいあって、かなりレベルが高くなっている。

 それはつまりその感知範囲も順調に伸びているという意味で、つまり、どんなに高速で動いていても、その感知範囲の端っこで反応を捉えたなら、1分弱ぐらいは準備をする時間があるっていう事だ。

 だから私はまず周囲の地形を確認し、手近にあった中では一番太い木に登って、ロープとベルトを使って、しっかりと自分の腰から下を固定した。その状態で、普段は邪魔だから折りたたんでいる、銃自体についた足を展開する。


「普段は逃げられないから、絶対にやらないんだけど……」


 銃についている足が乗りそうな枝の場所を確認して、そこに鼻緒のない下駄のようなものを乗せて固定。これで多少銃口の向きを変えても落ちなくなった。装填作業をする為に、銃口を下げる必要もない。

 その上で、ベルトに並んでいる弾を一度全てアイテムボックスに戻し、属性弾を取り出して並べ直す。全く、酷い出費だ。空を飛ぶと言ってもメカはメカ。「アイテムドロップ」で手に入るのは、通常の弾なんだから。

 そこまでやって、改めて銃を構えて、木の枝に座った状態で狙いをつける。「存在感知」で反応の場所自体は分かっている。ジグザグに飛びながらも、方向としてはこっちに向かっている事も。


「……まぁ、仕方ない」


 だから後は……当てるだけだ。

 スコープを覗き込む。そこで初めて、空を飛ぶ「誰か」の姿をはっきりと確認できた。思った通りメカとゴースト(仮)の混ざった群れに追いかけられているのは、驚いたことに、赤い色も鮮やかな、ゲームに出てくる感じの洋風ドラゴンだった。

 よく見ればその、首と翼の根元に何かある……というか、誰かがしがみついているようなので、そのしがみついているのが「申請者」なのだろう。しかし鞍も手綱もない状態でよくしがみついていられるな。


「それにしてもドラゴンライダーか。ファンタジーだなぁ……」


 あれをライダーと呼んでいいのなら、だけど。そう思いながら、後ろについてくる群れを振り切ろうとジグザグ飛行をしている赤いドラゴンから視線を外す。狙うのは、その後ろだ。

 あれだけ群れているのなら、外すのは逆に難しい。属性弾は、例外なく当たったところで爆発する榴弾だ。だから、どこかに掠り当たりでもすれば、少なくともメカは一掃できるだろう。

 呼吸を整える。狙いを定める。簡単な事だ。ドラゴンを避けて後ろのどれかに当てればいい。ジグザグ飛行はランダムに見えるが、それでも、目で見える分だけ、私の銃の弾速よりは遅いんだし、パターンもある。


「……援護したのに、外したからだと判断されて、攻撃されたら詰むかな」


 その場合は、まぁ、申し訳ないけど落ちてもらうしかないだろう。あの大きな翼に穴を開ける事になるだろうか。頭と胴体は出来るだけ外すつもりだが、当たりに来たらどうしようもない。

 ……結局、期待するしかないんだよな。ドラゴンの背中にしがみついている誰かの、人格と善性ってやつに。

 は。と、思わず、鼻から笑いが漏れてしまう。それを期待して、期待して、一体どれほど裏切られてきた事か。それでもそれを望むしかない自分に対する、呆れと失望の笑いだ。


「――そんな善人、いたとしても、私の所へはやってこない」


 呟いたところで、ちょうどドラゴンが飛ぶ角度を変える。転換の動作。これがフェイントでなければ、今まさにどいたばかりの場所は射線が通る。

 角度を変えたドラゴンに追いすがろうと、メカとゴースト(仮)の群れも方向を変える。まるで包み込もうとするような形だ。私が一番嫌いな、他の何かを掴んで捕らえてしまおうとする手のような。

 だからそのど真ん中。一番吹き飛べば被害が出るだろう場所に狙いをつけて、引き金を引いた。


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