順調な攻略と階層の大きな変化
10階層目の探索は順調に終わった。「植物繊維の塊」はちゃんと糸と布になっていたし、中にはそのまま綿の塊になっていたものもあったので、上手くマントの肩部分に、緩衝材のような形で縫い付ける事が出来た。
また「防弾のショートベスト」と「精密な長手袋」の強化も出来た。マントは強化扱いにならなかった事を考えると、革製品は無理なのかもしれない。……初期設定でちゃんとした靴を選んでおいて良かった。靴もたぶんこっちのカテゴリーだろうから。
そして私としては本題、ちゃんとした服も「基本の裁縫箱」に表示されるガイドに沿って手を動かすと、作る事が出来た。服作りは流石にやった事がなかったから不安だったものの、一安心だ。
[素朴なカーゴパンツ:装備:足:メイン
ポケットが非常にたくさんついたズボン
丈夫で動きやすいが特に効果はない]
丈夫で動きやすければいいので問題はない。ポケットをたくさんつけたというか、どっちかというと弾の素早い装填の為のストック用だ。連射数、というのとは違うが、アイテムボックスを操作せずに撃てる数が増えた。
ちなみに上着も作ったが、こちらは装備という判定にならなかった。もう「防弾のショートベスト」があるからか? よく分からないけど、着替えられたからとりあえず問題はない。
服をちゃんと着る事が出来たし、10階層目のボスを撃破して更に反動も耐えられるようになった。まぁまだ手で持って撃つのは非常時だけにしておきたいが、それはともかく。準備がしっかり整った状態で、11階層目に移動した訳だ。
「…………」
その11階層目だが、広さは10階層目と変わらない。ただし灰色の石でできているような壁に、簡単なパターンとはいえ模様が入っていた。そして松明が角度をずらし、一ヵ所に3本ずつ設置されている。
おかげで今までよりずっと明るいが、この階層になって一番大きな変化は、しばらく「安全地帯」を探して歩いた先にあった。
「……原形の欠片も残らず文字通り粉々になったけど、たぶん、見えた範囲だと、武器を持ったゴブリン……かな?」
ここまでと同じく「存在感知」を半分無意識に発動させながら通路を歩いていたのだが、その進行方向から、知らない反応が集団でやってくるのを感知した。もちろん通路の曲がり角まで戻って三脚に乗せた銃を取り出して待ち構える。
集団、というのは初めてだし、この銃は威力こそ破格だが、基本的には単体を相手にする為の武器だ。多数を相手にするのは難しい。まぁ単体の敵ばかりが出てくるなんて事はありえないだろうから、「採取ポイント」での稼ぎを兼ねて速射の練習をしっかりしていたんだけど。
それでも命がかかっている上に、上手く狙えるかは分からない。と、緊張しながら待っていたら、通路の曲がり角からその反応の主たちが姿を現して。
「ペンキをかぶってもそうはならないだろっていう緑の肌の、ボロボロの服と、錆びたりしてる武器を持った、二頭身の生き物。……たぶんゴブリンで合ってると思うんだけど」
驚いたことは驚いたけど、今までの慣れというか習慣というか、集団の中心を狙って自分でもびっくりするぐらい滑らかに弾を撃ち込んだ訳だ。撃ったことに気付いたのは次の弾を装填した時だったけど。
ただ、まぁ……過剰火力の面目躍如、というか。こっちに気付く間もなくゴブリン(?)に当たったんだと思うんだけど、どうやらその着弾というか、弾のソニックブームというか、そういうのが発生したらしい。
驚きから戻ってきて自分が撃ったことに気付いた時には、そこにはもう真っ黒い液体が血のように広がっているばかりで、形あるものは何も残ってなかった。二度びっくりした。
「アイテムドロップも、ここまでと同じブロック型の栄養食とスポーツドリンクだし」
しかし何というか、いきなり敵のカテゴリが変わったな。数が出てくるにしても、今までが全部メカメカしい相手だったから、そっち系統なのかと思った。




